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第62話

 本当のことは分からない。だが、リリアは確かに人間と人魚とのハーフなのだと、ツバサは思うのだ。


「ということはだ……、俺たちはリリアの母親をとっ捕まえて持ち帰らなきゃならねぇってことか」


 何にも考えていなさそうな頭で恐ろしい発言をするラックに、マザーが目の玉を飛び出しそうなほど驚き、絶句している。事情を知らないマザーに唐突に何を言うんだと、ツバサはラックを睨みながらも急いでフォローに回る。


「ミスティ湖にいる人魚が狙われている可能性があるので、保護しなきゃいけないって意味です。ねえ? 先輩」


 怪我した腕に力を込め、ツバサはラックの背中をバシンと叩く。ラックは、いっ、と一瞬悲鳴染みた声を上げながらも、すぐに作り笑いをマザーに浮かべ、そうなんスよ、と続けた。


 そんなことよりも気になるのは、なぜクロードが街の方へ駆けて行ったのかということである。考え込むツバサに気付く様子もなく、安堵したマザーは先ほどのツバサの台詞に首を傾げる。


「ツバサさん、人魚が狙われているというのは一体どういう……? 人魚は童話の中だけの存在だと思っている人の方が多いと思うのですが……」

「……実はおれたちがここへ来たのは、リリアの護衛とは関係ないんです」


 ツバサはここへ来た経緯を伝える。人魚の存在を知っているマザーにこれ以上隠し立てする必要はないと思ったのだ。それに、これはツバサなりの礼儀でもあった。


 マザーはツバサの話を聞き終え、そうですか……、と口にする。それから視線を上げて続けた。


「一つ今の話をお伺いして思ったのですが、皆さんは勘違いをされているように思います」

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