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プランDでいきましょう!! -聖女の涙-  作者:
第三章 孤独な人魚
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第56話

『どうも怪しいんだよ。クロードがバアル地区にある自宅から遠く離れたドロマ地区にわざわざ研究に来ていました、なんて。しかも作ってたものが宝石でしょ? 何で他の研究と同様に自宅で作業しないのさ?』


 ディノの話によると、クロードという人物は基本的に自宅で研究を行っていたらしい。研究に必要な材料を調達するため外出することはしばしばあったようだが、それ以外は自宅に籠っていたそうだ。これは研究家であれば知る者が多い話らしい。


「でもさ、今は〝人魚の涙〟って議会所に保管されてんだろ? だったら民家の地下から出てきたっていうのは本当だろ」

『それがそうでもなさそうなんだよ』

「どういう意味だ?」

『誰も〝人魚の涙〟を見てないんだよ。マスコミにも公開しないし、ドロマ地区からケントロ地区に運ぶ時も外から中が見られないような箱に入れられてたらしいし』

「……じゃあ〝人魚の涙〟がどんなものか詳細に新聞に書いてあった、あれは何なんだよ」

『ツバサ知らないの? あんなのは公開情報だよ。クロードは生前、自分の研究についてノートに書き記していたんだ。ブラッディ・サンセットで焼けたバアル地区の再建の時にクロードの家から発見されたもので、今はその研究成果が広く公開されてるんだよ。ノート自体は博物館かどこかに展示されてた気がする。バアル地区の中心部に家があったら確実に燃えてただろうけど、外れに家構えてたから半壊で済んだみたい』


 新聞に〝人魚の涙〟の写真は載っていなかった。それは敢えて載せなかったのではなく、載せられなかったから……? それと研究所風な地下室が映っていたのもフェイク?


 もしディノの話が本当だとすると、セルバーンは何らかの目的があって世間にデマを流したことになる。それが、今回リリアが攫われたことと何か関係あるのか?


『まあとにかく、俺はこれからケントロ地区に向かって親父に色々訊いてみることにするよ。ツバサたちの班の任務にどんな意味があるのか分からないけど、何か進展あったら連絡して。俺の方も連絡するようにするからさ』

「解った」


 ツバサはそこで電話を切った。目の前には消毒液をまだ持ったままのラック、浮遊するダイス、左側には扉から入って来ていたカノンがこちらを見つめていた。彼らの目がツバサに説明を求めている。

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