第25話
「あのこと?」
「今日、ドロマ地区の民家の地下室から〝人魚の涙〟という宝石が見つかったらしいの。今世間はこの話題で持ちきりよ」
ドロマ地区!? しかも人魚!!?
ツバサは無意識にシチューに視線を落とす。
ドロマ地区はディノが任務を受けた地区だ。しかも任務内容は〝人魚狩り規制〟と言っていた。変なことに巻き込まれてなければいいが……。
「あの、その〝人魚の涙〟って、ただの宝石じゃないんですか?」
ツバサの発言に、ティーナは手に持っていたパンを一度置き、柔らかな笑顔で答えた。
「クロードという人物を知っているかしら?」
ツバサが首を横に振るのを確認して、ティーナは話を続ける。
「セルバーンは高い技術力を有している国だというのは知っているでしょう? クロードはその技術研究家の中心人物だったの。残念ながら、ブラッディ・サンセットの時に亡くなってしまったのだけれどね。彼が残してくれた技術力があって、セルバーンは類を見ないほど速く復興を果たせたわ。――時々怖くなることがあるの。ぼろぼろだった街が見る見るうちにきれいになっていって、まるであの戦争自体がなかったものみたいに、あの戦争を忘れようとしているみたいにセルバーンは生まれ変わった。正直気持ち悪く思ったこともあるわ。――ってごめんなさいね。〝人魚の涙〟の話よね」
いえ、とツバサは短く答えてから、眉を顰めた。
「それでその……クロードさんは〝人魚の涙〟とどういう関係が……?」
するとティーナは、一拍置いて口を開いた。




