第23話
「何かもう任務さえこなせりゃ何でもいいや。――部屋案内してくれんだろ?」
両手を後頭部で組んで歩き始めるラックはリリアを一瞥する。
「……こっちよ」
リリアがラックの横を通り過ぎ、先頭を行く。
ツバサはリリアの背中をぼんやりと眺めながら、先ほどのラックの言葉を反芻していた。リリアとこの教会の繋がり。是非知りたかった。その他にも、彼女が今までどういう人生を送ってきたのか、リリア自身のことに興味がある。
カノン班は左奥の扉へ案内された。
狭い四角い部屋。奥に扉がもう一つ。恐らくトイレとシャワールームだろう。ベッドが四つ角に設置され、その隣に荷物を置けるバスケットが用意されている。左側の壁には小さな窓が拵えられていて、隣の白い建物の壁が見える。
「客人用だから狭いけど我慢して。夕食になったら呼ぶわ」
何となく自分たちのベッドの位置を決め、少ない荷物を床に下ろしたところで、リリアが部屋を出て行こうと背を向けた。
《リリア殿!》
機械音に振り向くリリア。無言でダイスに続きを促す。
《コンセントの場所をお教えいただけるか? 我は充電しないといずれ動けなくなってしまうのでな。電気は命の源、コンセントは生命線なのだ》
「……洗面台の横にあるわ」
《了解した。礼を申す》
「…………」
態度が上からの機械、ベッドかたーい等とベッドの上でバタ足している少女、長細いリュックサックの中からエノキダケの抱き枕を笑顔で取り出す不良。
リリアは彼らのいる部屋から出て、扉を閉めた。そして体を百八十度回転させ、扉に寄りかかる。彼女からは深い溜息が零れた。