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アナタは異世界で何をする?  作者: 鉄 桜
第一章・幼年期から青年期まで。
35/64

第14話

皆さんおはようございます。

発明大好きアオイくんがまた何か作ったようです。

他にも伏線になりそうな物も作ってるような事もチラホラと……まあ拾うかは別ですが(ボソッ)。

感想や評価が徐々に高まるのは見ていてウキウキしますね。

やる気が出てきますよ。なんせ作者は単純ですからねww

皆の感想&評価&ネタ提供が作者の力になっております。

それでは続きをどうぞ。


 


 


 十八歳になった。昨年はある時を機にして益々訓練が厳しくなった。

 殺しの技術がメキメキと上達するって平和ボケしていた元日本人としてどうなんだろうか……。

 なんかの準備のような事を言っていたけどまだ詳しくは教えてくれないのも気になる。言葉の端々からは“外”に関する事だとなんとなく思うんだけど……はて?

 工房(アトリエ)にある和風スペースの炬燵に入りながら考えていたんだ。


「あっ、そう言えば……」


 そんな時に突然だが俺は思い出した事がある。今の今まで忘れていたモノだ。

 それはエーデルの今の身体を作った時を同じくして作成された男性型ガイノイドの身体だ。

 使用する事がなくなったので勿体無いよなと考える。

 これを素材にして何かに使えるかも?それなら行動してから考えるか?……踏む。


「……よし」


 思い立ったが吉日とも言う。早速炬燵から出て工房に隣接している倉庫へ向かった。

 倉庫の中は一言で表すなら真っ白い部屋だ。

 棚には剣や盾などの武器からメカニカルな銃器が所狭しと並び、無骨な砲や大小様々なミサイルなどの兵器が壁際に並べられている。倉庫の右奥には浮遊する車両や前世とは違い表面がつるっとした戦闘車両が並んで駐車されていて、その向かい側には様々な形状をした無人機械や奇抜な形をした航空兵器が保管されている。


「さて、どこに仕舞ったのかね……」


 携帯端末を操作すると空間ウインドウが展開され直ぐに目的地までのナビゲーションが開始された。

 狭い地下空間のはずなのにこれだけ多くの物を格納できる広い空間を有しているのには勿論理由がある。より多くの収納空間を確保するために倉庫内の四隅と中央を基点に空間を歪ませて収縮と拡大を繰り返して歪曲させる事で拡張し更に広げた空間を固定化する事で元々の広さよりも数十倍の広大な空間を確保できている。

 これを“空間拡張”と言い、亜空間格納庫の基礎技術となるものだ。

 とまあ蛇足説明は横に置くとして今は探しものを優先しよう。

 そのまま白い倉庫を歩いていると円筒形の強化ガラスに入った人型の金属骨格が見えてきた。


「おっ。あったあった。これだ。」


 携帯端末の指示に従って数分歩いたら目的の物はアッサリと見つかった。

 少し拍子抜けしたけど見つかったなら文句はない。とりあえず運び出す前にアイゼンに連絡を取り開発に使うかもしれない資材を一通り届けてもらうように生産プラントへお使いを頼んだ。

 それから揺り篭(クレイドル)を工房に運び出して壁際に設置していると一時間が経っていた。


「さてと後はアイゼンを待つだけだけど。……ふむ」


 運び出したクレイドルを前にまずは携帯端末を取り出すと異常がないかを走査する。

 長い間を放置されていた割に少しも埃は積もってない。綺麗な状態で保管されていたようだ。それに一通り走査してみたけど異常も見当たらない。これなら今直ぐにでも使える状態だ。


「む?むぅぅ……」


 ここに来て少し悩む。アイゼンに連絡して資材を届けてもらうように指示したもののまだこの子を使って何をするかまでは考えていなかった。

 さてはて困った。今のままではこの子はただの抜け殻だ。これではどうしようもない。かと言ってただ情報生命体を移転するだけでは芸がない。

 クレイドルに収まった高圧縮合金の人型骨格と生体ナノマシン溶液を前に頭を悩ませる。

 エーデルの注文が激しかったフルオーダーメイドの女性型ガイノイドとは違いこちらの男性型ガイノイドはやや強化されてはいるものの能力的には通常型の強化型ガイノイドだ。

 同じ動力炉を搭載しているし構造強度も高い事から出力はエーデルと同等、だけど機体性能そのものはエーデルには遠く及ばない。

 うん。こうして改めて見直してみると実にちぐはぐだった。


「さてどうしようか。どうするか。いやこの場合は俺がどうしたいのか、か?ふむ……」


 こうして考えると今までは行き当たりばったりに行動してきたからとても悩む。

 そうしてうんうん唸りながら考えていると部屋の扉が空気の抜ける音とともに開いた。


「ちーッス!頼まれた資材持って来たッスよ!あえ?親方どーしたんスか?」

「ああ、アイゼンご苦労様。いやこれ使って何かできないか考えててさ」


 時間を確認するとあれから三十分が経っていてクレイドルの運び込みと合わせて一時間半が経過していた。

 持って来た大量の資材をチョーカーの亜空間格納庫から取り出すとアイゼンは結い上げたツーサイドアップテールをぴょこぴょこ揺らしながら俺の横に並んでクレイドルを覗き込んだ。


「へえ。これってエーデル姉ぇの身体作った時のッスか?」

「まあね。奥に仕舞っていたのを思い出して何かに使えないかと引っ張り出してきたんだ」


 そこにあるのなら使うのが道理ってものでしょ。ちゃんと使えるのに使わないなんて勿体無いじゃないか。

 まあまだ何に使うかはまだ決めてないのだけど……とアイゼンに大雑把に話した。もしかしたら何かアイデアを貰えるかもしれないと思ったから。


「なーる。それで決めかねて悩んでたッスね。と言う事は開発方針もまだッスか?」

「うん。何しろこの子は頭真白の状態だから」


 まだここからならどのような方向へも作り直せる、と言いながら苦笑した。

 アイゼンがきょとんとした表情で見ている。


「直接戦力と考えるならイリスが居るからもう十分に足りてるッスし、後方任務もペルレができるッスし、全体の統括はマグノリエがやってるッス。何より人手ならリーリエが居るから足りてるッスよ」


 どうするんスか、とアイゼンが事実を告げてから聞いてきた。

 その顔は純粋にどうしたらいいのか、またはどうしたいのかを聞いているものだった。

 アイゼン自身の事は出してこなかったけど彼女は絶大な膂力と手先の器用さで細工や小物作り、陣地構築や築城などの職人に突出した技能を有している。

 現状は必要な人材はほぼ確保できていると言っても過言ではないわけだ。

 でも、だからこそこの子をどのような方向性で開発するかと悩むわけで、むむむ。


「そうなんだよなぁ。レギオンと違って増殖機能は搭載してないし、後付ってのも基本構造的に考えてちょっと不具合が怖くてできないし」

「いっその事エーデル姉ぇみたいに単一機として作ったらどうッスか?それか特化機にしてみるとかッスね。例えば……情報収集とかどうッスか?」

「情報収集。……諜報活動、か。ふむ……」


 情報収集ね。なるほどそういうのもありと言えばありか。

 今のレギオンなら偵察型装備や索敵型装備などがある。だけどそれはあくまでも戦場などにおける戦術的意味合いが強い。

 アイゼンの言った事をそのままに考えるならもっと深く情報を得る仕様を考える必要がある。

 最低限でもレギオンの特化型装備よりも高い隠密性を付加しないと単一特化機として作る意味がない。

 敵の陣地や施設の奥深くに侵入しても発覚されないだけの隠密性能と必要な情報を収集する諜報能力、それに万が一敵に発見された場合の逃走能力。最低でもこれら三つは必須だ。

 ただ、ネックなのはエーデルと同じように動力炉に賢者の井戸(ピガズィ・ミーミル)を搭載している点か。

 これから生み出される膨大なエネルギーの隠蔽と利用法を考えないと魔力を用いた探知魔法はともかく機械によるセンサーが誤魔化せない。

 ただの隠密機なら少量のエネルギーで十分なのだから考えさせられる課題だ。

 む?……特化型の隠密機?んー……。


「なんか忘れてる気がするような……」

「どうしたッスか?なんかぶつぶつ悩んでたみたいッスけど」

「んー、アイゼン。使ってない特化型隠密機に心当たりない?ここまで出掛かってるんだけど思い出せなくてさ」


 喉の部分で手を持ってきて水平にヒラヒラさせる。

 もう少しで思い出せそうなのに思い出せない。このもどかしさが気持ち悪くてなんとも言えない。

 アイゼンが腕を組んで『うーん……』と唸りながら考えてくれている。脳内では検索項目にヒットするものを洗い出しているのだろう。

 暫く考えていたアイゼンがバッと顔を上げて手を打った。


「あっ!あれじゃないッスか?アタシらの前に作ったって言う黒い暗殺者シュヴァルツ・モイヒェルメルダーッスよ。開発直後は色々改良してたってエーデル姉ぇからは聞いたッスけど」


 俺も彼女に習ってポンッと手を打った。


「ああっ!そう、それだっ。ありがと。いやー、スッキリした。うん、あれかぁ」


 喉に引っ掛かった小骨が取れた気分だ。言われて思い出すとはこれも歳かな……。

 あれって作ったはいいけど使い所がなくてお蔵入りしてたんだ。一応は稼働データだけはレギオンの各種装備の参考に使ってたのに実物の事はスッカリ忘れてた。

 いつもの訓練で使うって事は正面から一対一で対戦するって事だから隠密型の特化機、黒い暗殺者シュヴァルツ・モイヒェルメルダーは仕様に合わない。

 それでもやろうと思えば戦えない事もないけどそれでは特化機として組んだ意味が無い。やるなら不意を付いた一撃。誰にも知られずに目標を影から仕留める事こそが上策だ。

 そのような仕様なのに正面からってバカかと思って使い所が全くなかったんだよな。


「お役に立てたなら光栄ッスね。でもこれって試験稼働だけで今は使ってないみたいッスけど、これがどうかしたんスか?」

「んふふ。さっきアイゼンが情報収集に特化した機種はどうかって言ってたじゃない。だから使えそうなものはないかってね。あれは強化服だけどこっちの男性型ガイノイドのほうをその仕様で作るなら少し手を加えるだけで行けそうじゃない?」


 規格は違うけどちょちょいっとこの二つに手を加えれば一つの特化機ができなくはない。

 完成予想図としては通常はガイノイドとして行動して顔や骨格の形成機能や変声機能を搭載する事で変装して行動する。暗殺や強行偵察や潜入には強化服から改造された強化外装“黒い暗殺者”を纏って行動する。

 そういう諸々を大雑把にだけどアイゼンに説明した。熱く語ってみた。


「どうよ?アイゼンどうよ?」

「んーむ、確かにできなくはないッスけど情報収集を主目的って考えるとちょっと高性能過ぎないッスか?それにエネルギー値が高過ぎッスよ。どちらかと言うと一撃必殺の暗殺型に使うのが正しいと思うッスけど」

「じゃあ兼用で方針を固めよう。潜入偵察型と一撃必殺の暗殺型。これなら情報収集能力と戦闘能力を兼ね備える事ができると思うんだけど。どうよ?」


 グイグイ行くよ。新しいものを作る事に興奮しているようだ。もうグイグイ行くよ。

 アイゼンの手を取って彼女の目を見る。

 あっ、手が柔らかげふんげふんっ、な、なんでもない。

 で、どうよ?やれると思えない?どうかな?


「ちょっ親方っ、手!?まっ、ままたそんな簡単にっ。実際はそう上手く行かないッスよっ?全体の強度計算は一からやり直しッスしっ、有り余るエネルギーの割り当て調整も必要ッスねっ。それにっ――」

「あー、わかってるって。言われなくてもそれくらいは承知してるさ」

「わ、わかってるならいいッス。わかってるなら。……もういきなりは困るッス。アタシにも心の準備ってものが(ボソボソッ)」

「あ?なんだって?」

「なんでもないッスよ!?」


 手を放してアイゼンの額に手を当てる。

 アイゼンがビクッと身体が固まるのを確認したけどそれは一時無視する。

 んん?おいおい大丈夫かよ。顔が赤いよ?体温も随分高いし、これは熱暴走?原因は排気機能に問題か?

 ナノマシンに機能不全があるなら再調整する事も考えるけど……。


「そこんとこ自己診断してみてどうよ?」

「違うッスよ!?」

「え?違うの?じゃあなんで赤くなってんのさ。大丈夫なの?」

「こ、これはっ……んっ。だ、大丈夫ッスよ。異常なしッス。行動に問題ないッス。……ホントッスよ!?」

「ちょっ、わかったからっ!そんなに意気込まんでもわかったから落ち着けって!なっ?」

「うぐっ。ごめんッス」


 この後はなぜか少し動揺しているらしいアイゼンが立ち直ってから更に話し合い開発方針を煮詰めていった。

 その話し合いの時に基本部分を決める際の事だ。

 アイゼンが言うにはどうも俺は同性との相性が悪いようだからまずは性別変更から始めるらしい。

 意味がわからない。確かに魔物や機械人形では女の子のほうが知り合いは多いけど男の知り合いだって、知り合いだって……んん?今思ったけど、クッ、俺に男友達はできないのか。

 いやいやいやっ。これからだ、これからに期待しよう。努力すれば知り合いくらいなら……。


 俺が同性との相性が悪いなんて納得したくないなぁ。


 


▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 


 諜報という特殊型機械人形の開発に入ってから一ヶ月が過ぎた。お昼ご飯も食べ終わって工房へ向かっている時の事だ。


「あっ、居た居た。おーいっ、アオイちゃーん」

「ん?」


 この声は、母?

 十字路の廊下で立ち止まり声がした方へ向くと緩やかに走り寄ってくる母の姿があった。

 母のダイナマイツなボディがプルンプルン揺れている。どこが、とは言わないが。

 やがて傍へ来た母はいつもの微笑を顔に浮かべていて、俺達は廊下で向かい合う事になった。


「母さんどうしたの?」

「その、ね。少し気になる事をエーデルちゃんから聞いたのよ」

「エーデルから?何の事だろ……」


 そう言いつつもピタっと表情が固まった気がした。

 どうしよう……。思い当たる事がありすぎて逆にわからない。

 あれか?生命工学に手を出して植物とナノマシンの親和性と融合について無断で実験している事か?もしかしてこの世界ではバイオコンピュータモドキを作るのはダメだったのだろうか?だがもう栽培は始まってるし……。

 それとも某青●ヌキのような大陸破壊爆弾という劣化品を作った事か?興味本位で作っただけで物騒すぎて使うつもりなんて欠片もなかったのだけど不安にさせてしまったのだろうか?危険防止に封印処置してあるし……。

 いや、まさかアレか?……エーデル達に着て貰いたい衣装集のデータが見つかった!?キワドイ系から可愛い系まで用意していたアレを!?

 イ、イヤァァアアアッ!!違うんだ!それはエーデル達に着て欲しいなっていう妄そげふげふっ、想像であってその衣装データは俺の体型には不一致なんだってばぁぁああっ!

 もう女装はイヤダァァァ……!!


「実はアオイちゃんが諜報戦に優れたガイノイドを作ろうとしているって。なんでそんなの作るのかなって気になったのよ。……どうしてかしら?」


 え?えっ!?違う、の?ヒラヒラ着なくていいの?フリフリも?よ、よかったぁぁ……。

 落ち着いて話しを聞いてみればそんな事か、ってなものだった。まったく、慌てて損をしたものだ。

 それでも面には出さないのはこの世に生を受けて十八年のポーカーフェイスのお陰だ。


「特に意味はないし、敢えて言うなら“作りたかった”が理由になるけど。こういうのって作ったらダメだった?」

「う、ううん。そうじゃないの。でも本当に?ママ達に黙ってこっそりと“外”に送り出そうかなとか考えてない?」

「しないよ!そんな事!」


 そんな恐ろしい事できるわけがない!

 ただでさえ今の訓練が絶賛鬼スパルタンな母と父を騙してなんて怖くてできるわけがない。仮に実行したとしてもそれがバレた時の事なんて考えたくもない。

 何よりも俺だって 命 が 惜 し い!


「うーん……本当に?」

「しないってば!俺ってそんなに信用ないの?」

「ママとしては信頼しているのだけど、ほら、アオイちゃんって時々斜め上の事を平然とやらかすから心配なのよね。召喚術の件とかレーザーで壁を貫くとか……」


 誤解だ!それはとんでもない誤解だ!

 召喚術については……遺憾だけど認めざるを得ない。それにちょくちょく影で悪魔や精霊を呼び出しては魔物と一緒に遊んでるし。……これはまだ黙っておこう、うん。

 高出力レーザーに関してだけどあれは実験中の事故だった。決して故意ではなかった。光学兵器というSF兵器にちょっと心が躍っていたんだ。

 まあ実験を工房で行なったのは反省している。移動を面倒がらずにちゃんと実験区画でやるべきだった。

 ――って!?


「信頼できても信じる事はできないって事なの!?」

「ハッキリ言うとそうなるわね!」

「断言された!?」


 その日は母の誤解を解くのに時間を取る事になったのは言うまでもない。

 まったくもって酷い誤解だ。


 


▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 


 アイゼンと話しを煮詰めた日から三ヶ月が経った。

 開発メンバーはアイゼンとエーデル、助手にペルレとリーリエ。今日まで色々と議論を交わしながら手を尽くしてきたがついに完成させる日が来た。

 多数決で決まったのだが最初の開発に男性型から女性型への設計変更から始まった。

 理由は、聞くな。聞かないでくれ……。

 俺だって、俺だってな男友達くらい作ろうと思えば、きっと……クゥッ。

 こほんっ。で、だ。

 設計図はエーデルのものを流用し、細かい部分を見直して基本骨格の強度計算と再設計、供給されるエネルギーの調整や全体のバランス計算などなどを行なった。

 皆の尽力と基本構成が今までのエーデルの蓄積データから流用できる部分が多い事があり僅か三ヶ月という時間で完成させる事ができた。

 再設計さえ完了してしまえば後は簡単だった。生産プラントに放り込んでボタン一つで作り直すだけだったからな。

 本当に便利な世の中だなこの世界は。

 目前のクレイドルには一体の女性型ガイノイドが溶液の中を眠ったように漂っている。


「そんなわけで今は起動も終わって目覚めるのを待っているわけなんだ」

「あの、親方?どこ見て誰に言ってるッスか?」

「気にしないで。これもお約束だからさ」

「は、はあ。別にいいッスけど」


 戸惑うアイゼンは敢えて置いておく。

 そんな細かい事を気にしていたら大きくなれないよ?


「大きなお世話ッスよ!?」


 声を荒げるアイゼンはバッと両手で自分の胸を抱いて隠すようにした。

 この時になぜか楽しそうにしていたペルレの金色の目がキュピィィンと光ったように見えたのは気のせいだろうか。


「あら?少しですが大きくなったと以前に聞いた覚えが」

「なっ!?ペルレは黙ってるッス!!親方は聞いちゃだめッス!!ジッと見るのはもっとダメッス!!」

「え?俺?見るなも何も、えー……」


 意味がわからない。

 言い出したのは俺だけどそんなに気にする事か?女の子なら“背丈”くらい小柄なくらいが可愛らしいと思うのだけど……ふむ、これが世に聞く複雑な乙女心というものなのかね。


「マスター。意識レベルに反応があります。もう間もなく目が覚めるかと」

「了解っと。エーデルはそのままよろしくね」

「了解致しました」


 空間ウインドウに表示されるバイタルにはいくつかの波形が規則的に揺らいでいて意識が覚醒する兆候が見られた。

 エーデルが言うようにこれなら直ぐに目を覚ますだろう。


「リーリエ。あれは?」

「むふふっ。バッチリなのですよ!」


 よーしよーし。準備に抜かりなしだ。

 リーリエが手に持っているのは一口チョコくらいの小さな情報チップだ。その中にはコスチューム機能や亜空間格納庫など、各種専用装備を豊富に詰め込んだ機能パッケージが詰め込まれている。この情報チップをインストールすれば全て完了する。

 一応初期段階の暴走対策としている。エーデルの事はバレていないけどこれでも少しは反省しているんだ。安全処置的に考えて。

 因みにインストール方法は飲み込む事だ。それだけで彼女を構成するナノマシンが情報を取り込み、それが終われば情報チップそのものは分解されて吸収される。

 更に言うならこれは共通の規格を多く持つエーデルも同様の方法を取っているのだけどエーデル曰く『あまり美味しいものではない』との事だ。良薬口に苦しみたいなものらしい。

 ともかくこれならこれから目覚めるこの子の、はだ、はだっゴニョゴニョ……も露わにする事もなく前のような失態を犯す事も無い……はずだよな?


「あっ、間もなくのようですよ陛下」


 アイゼンをからかっていたペルレが言うと忠実に仕事をしていたエーデル以外の全員がクレイドルに注目した。

 覚醒が近付いた事でクレイドルがメンテナンスベッド型へ変形する。強化ガラスの中に充満するナノマシン溶液が排出されると空気が抜ける音と同時に開放された。

 そこに横たわるのは二十歳前後の外見をした女性型ガイノイドが裸で……はっ。


「ダメだダメだ。……あー、エーデル?」

「はい。全工程に不備は発見できません。三度ほど細部に渡り走査しましたが異常は皆無。成功と判断致します」


 目のやり場に困っているとそれとなく察してくれたアイゼンが笑いながら横たわるその子にシーツを掛けてくれた。それを横目にしながらもエーデルは淡々と事実を報告してくれるのだけど黙って聞いているこちらの身としては若干の羞恥心が湧いてくる。

 メンテナンスベッドに横たわる女性型ガイノイド。年の頃は二十代くらいで顔は十二分に美貌と言っていいほど、と言うかエーデルにソックリだった。髪を肩まで短くして二歳から三歳ほど成長したらこんな感じかなと思わせる。

 だけど“ぼんっ!きゅっ!ぼんっ”のグラマラスボディのエーデルに比べて全体的にスレンダーな身体だ。呼吸に合わせて上下する胸がシーツ越しにもわかる。

 綺麗と言うよりも可愛い感じかな、とそこまで考えて我知らず女性の身体を凝視していた事に気が付いた。

 数回頭を振って変な考えを振り切ってエーデルが表示する空間ウインドウに目を移した。

 そこに表示される確認項目には全てチェックが入っていてガイノイド本体も数値上では問題は見られない。エネルギーの循環系も全身に満遍なく行き渡っている事から状態は極めて良好である事を示している。


「よし。順調順調っと」


 これなら大きな問題は早々ないはずだ。エーデルも細かくチェックしてくれているから尚更安心だ。


「っ……。……?」


 目を覚ました彼女は数回瞬きするとぼんやりとしていた。目覚めた直後だから意識がハッキリしていないのかと思ったけどこれが彼女の平常運転みたいだ。

 半分眠っているような目ってこれはこれで紛らわしな……。


「おはよう。気分はどうかな?」

「ぁ……ん、全状態良好」


 身体機能その他まとめて問題なし、っと。見ると状態をモニターしているエーデルも小さく頷いた事から問題は検地されていないらしい。

 ここまでは順調のようだからとりあえずは安心と言っていいかね。

 後は軽く自己紹介と彼女の名前を付ける事か。やっぱり最初に名前を口にするなら気軽に他の誰かに教えてからじゃなくて一番に伝えたい。


「そっか。俺はアオイ・ルメルシエだ。これからよろしく“撫子(ネルケ)”」

「んん?……ねる、け?」

「そう。ネルケ。君の、ネルケだけの名前だ」

「ね、るけ?個体名称、ねるけ……。ん、ネルケ?」


 寝惚け眼を本当に少しだけ見開いてきょとんとしているネルケ。何度も名前を反芻してちゃんとした発音を確認している様子だ。

 これは驚いてる、のか?もしかして直ぐに命名とかいきなりすぎたのか?もう少し間を置くべきだったのか?……いやいや、ヒトの赤子と違って目覚めたその時からある程度の自我や自意識は確立されている機械人形なのだからそういう気遣いは侮辱もいい所だ。

 んむ?ならばなんら問題ないではないか。うんうん。


「ネルケ。撫子という花があるのだけどその別読みだ。花言葉には純愛や大胆などがある。気に入ってくれるだろうか?」

「……ん。ワタシはネルケ。ん。……なんかスースーする?」

「おぅふっ!?リ、リーリエっ!」

「はいなのですよっ」


 慌てて背中を向けてリーリエに後の事を任せた。

 グハッ!お、お嬢さんや、いきなり身を起こすのはいかがなものかと思いますよ?裸にシーツが掛けられていただけなんだからさ。

 ……とっても眼福だったけどな!あれこそ無駄の無い“すれんだぁぼでぇ”だ!色白な肌!僅かな膨らみの先には小さな桜色のポッチが、がががっ!?

 こほんっ。……んんっ。あー、失礼。中身は健全な男なので年甲斐も無くはしゃいでしまったようだ。


「それじゃネルケ、お口を開けてあーんするのです」

「ん?わかった。あー……んっ、んむ?むぁみ?」

「大丈夫なのですよ。そのまま噛まずにゴックンするのです」

「ん?んっ……あ、これ」


 背中越しに会話が聞こえる。

 きっとメンテナンスベッドの高さに苦慮しながらもリーリエが精一杯背伸びして“あーん”したのだろう。微笑ましいね。

 ただ一つ気になるのは素直に対応するネルケだ。諜報という血と腐敗の匂いが香る世界で活動するには無防備ではないかと少しだけ不安になる。専門知識などは与えているから知識面や技術面では問題ないけど必要なら母式スパルタ教室も実地して経験も補う事も考慮するか。

 などと今後について考えていたら事態は進んでいた。


「王さま。無事に読み込みができてるみたいなのですよ」

「こちらでも確認しました。予定通りにインストールされております。着床まで三、ニ、一、コンプリート。全ての機能と装備が使用可能になりました」

「そっか。それじゃネルケ、使い方はわかるね?だからお願いだから服を着て下さいお願いします目のやり場に困るからどうかこの通り。つまり何が言いたいかと言えば服を着て!今直ぐに!」


 リーリエとエーデルの現にもう大丈夫かと安心して振り向いたらそこには変わらず白く眩しい肌とポッチを露わにしたネルケがポケッと首を傾げてボーっとしていた。

 もう慌てたね。またも背中を向けて叫んでいた。命令なのか懇願なのか自分でもわからなかった。


「マスター……」

「王さま……」

「陛下……」

「親方……」

「ん。わかった?」


 エーデル、リーリエ、ペルレ、アイゼンが呆れたような目で見詰めてくる。対してネルケだけは意味がわからないというように首を傾げて疑問符を乱舞させていた。

 うっさいよ!こっちは羞恥心で困ってるんだっての!それとネルケは了承してるのになんで疑問系!?

 そうして背後で一瞬だけ光り輝くとエーデルからもう大丈夫だと声が掛かった。振り向いた先ではジト目のメイドさんが四体と寝惚け眼な忍者が一体。

 ……あ?なに?


「にんじゃ?」

「ん。クノイチ、似合う?」

「いや、似合うかって聞かれれば……うん、似合うけど」


 今のネルケはまさしく女忍者クノイチの格好をしている。

 黒地に赤の縁取りがされたミニスカな忍者服とでも言えばいいのか。細かく編みこまれた鎖帷子に包まれた胸元や肩から露出する白くしなやかな腕と短い裾から伸びる足は太股までがニーソに包まれていて眩しい。

 防具として頭部には“忍”という文字が掘り込まれた額当て、手先から肘と爪先から膝までを覆う黒い手甲と脚甲が無骨な輝きを放っている。拳部分や膝や肘の部分にある頑丈そうな突起がとても痛そうだ。見える武器として腰の後ろには刀よりも短い忍者刀を差している。

 これらを見た感想を言うならアニメや時代劇に出てくるようなお色気女忍者というものだった。ちょっと歩いただけで裾の中が見えてしまいそうだ。

 でも似合ってる。なんと言うか違和感が無い。なぜだ?


「なあ、ネルケ。なんで忍者?」

「ん。今取得したコスチューム機能の項目には“由緒正しい諜報服”とあった。ワタシの存在意義にも合致する」

「へ、へえ。そう、なんだ」

「んっ」


 どうだ!と言わんばかりに胸を張っている。寝惚け眼も若干キラキラ輝いているようにも見える……気がする。こういうところはエーデル同様に読みづらい。

 それはさておきネルケの言う存在意義とは汎用性は度外視した情報収集、つまるところ諜報活動や暗殺に主眼を置いた特殊型であるという事だ。

 アイゼンやエーデル達と議論を重ねた結果が今のネルケを形作られている。


「まあそれはともかくとして、まずは皆の自己紹介と行こうか」

「ん?ん、けどワタシ知ってるよ?」

「え、そうなの?」


 意外な事だっただけに素で返してしまったけどネルケは一つ頷くとまるで確認のように最初にエーデルを指差した。


「エーデル。殿様の傍に仕えた最初の機械人形。最高の機械人形にして最強の従者。現 時 点 で 殿様の最大の理解者」

「…………」


 エーデル、何も言わずにナイフを手に取らないでくれ。ちょっと語気に気になる部分もあったけどネルケに他意はないはずだから落ち着いてくれ、頼むから。

 ネルケもエーデルが同型機に近い存在だからっていきなり挑戦的にならない。そういうのは訓練とかで発散してくれ。


「ペルレ。レギオンの知を拝命する子。艦橋要員や参謀本部など後方指揮官向きの機械人形。加えて内政や秘書官などの文官に特筆あり」

「うふふっ」


 なぜかわかっていたかのように満足げに頷いていた。

 ペルレは司令部の参謀とか兵站任務などの後方任務とかで力を発揮する性能を持っている。前線では艦船の艦橋要員や前線司令部の通信士や参謀などが適任だろう。


「リーリエ。レギオンの兵を拝命する子。高い汎用性とレギオン一の人員を有する機械人形。数こそは正義を体現した子」

「えっへん、なのです!」


 小さな胸をいっぱいに張って誇らしげにしている。孫を見てるようでとても微笑ましい。

 まあリーリエに関してはその通りだと思う。ある意味でレギオンの開発コンセプトに最も合致した子だ。


「アイゼン。レギオンの城を拝命する子。強大な膂力と器用さを駆使して陣地構築や築城など事建築や鍛冶師として高い性能を有する機械人形。物作りには定評あり」

「まっ!当然ッスね!」


 とりあえずこの場に居る四体を紹介し終わるとネルケはこちらに振り返り小首を傾げた。


「間違ってる?」

「いや。合ってる、けど……よく知ってるね」

「んっ。事前情報として入力されてた」

「なに?誰がそんな……」

「僭越ながら陛下。その件についてですが私が基本的な情報を入力させて頂きました。独断でしたが情報の共有化は優先すべき事項でしたので。……ご迷惑でしたでしょうか?」


 ふむ……とペルレの気遣いについて一考してみる。

 ネルケの存在は秘匿しているわけではないしここに居るヒト達なら誰だって知っている。改めて紹介して回るくらいなら時間や労力的に考えて極めて合理的と言えると思う。

 唯一機のエーデルや群であるレギオン達も出来得る部分では常に情報は共有化している。情報と経験の高速化と共有化は機械人形ならではだ。

 結論として別に不都合は無いと言って差支えがない。


「え?あの、エーデルお姉さ、がっ!?」

「マスター。必要ならばこのまま一気に。さあ」


 ぎょっとした。少し考え込んだだけなのに気がつくとエーデルがペルレの頭を掴んで持ち上げてプランプランさせてナイフを首に押し当てていたから。

 なにしてんの!?


「いいから!独断専行の処断とか必要ないから!まずは左手に握るペルレの頭と右手に持ったごっついナイフを下ろしなさい!可哀想でしょが!?」

「……了解、致しました」


 渋々っ!?嫌々ですか!

 ペルレを解放したのはいいけど然も渋々というような雰囲気だった。

 普段は仲がいいのにこういう時のエーデルはレギオンに厳しいよね。いくら多数を前提においているとしても一体一体は大事にしようよ。


「えふっ。こ、怖かったですわ。首が、ナイフが、細切れが。フフフ……」

「わかるのですっ。わかるのですよペルレっ。エーデルお姉ちゃんはやる時は容赦も躊躇もしないのですっ」

「えぐえぐっ。わかるのね?この気持ちがわかるのね?リーリエぇぇ。私怖かったの、怖かったのよっ。ふええんっ」

「泣くのです。今は思いっきり泣いて次から頑張るのですよ」

「うわーんっ」


 どうしよう。なぜかあちらでは一種の寸劇のような展開になっている。

 えーんえーん。うるうる。えぐえぐっ。泣いたり慰めたりと忙しそうだ。


「なんかあっちで大変な事になってるッスよ?いいんスか親方」

「わかってるけどさ、あの空気にどう割り込めと言うの?無理っぽくない?」

「そこを何とかするのが親方の腕の見せ所じゃないッスか」

「そんな無茶な……」


 アイゼンが無茶振りしてくるので困ってしまった。だって女の子――見た目が幼女と少女――の会話に割り込むんだよ?しかも泣くが入ってる所へ。

 正直言ってあの中に入るには微妙な勇気がいると思う……などと躊躇していたのがいけなかったのか直ぐ傍で動く影があった。


「マスターのお手を煩わせる必要はありません。やはりここは私が一思いに」

「のおおっ!?エーデル姉ぇそれはダメッスよ!!」


 まるで近くまでハイキングに行こうとでもいう軽い感じで早速殺りに行こうとするエーデルを慌てたアイゼンが必死に組み付いた事で止めた。

 それでもジリジリと前進している事からとてつもない力の攻防が続いている事がわかる。


「どーどー。エーデルはちょっと待とうか。余計に事態がややこしくなりそうだから」

「む、むぅぅ。了解致しました……」


 不満というよりも残念そうな顔――いつも通りの無表情だが――でエーデルは了承した。

 ふぅぅ。とりあえずエーデルは止まってくれたか。エーデルは時々何を考えたのか突飛な行動をするから驚かされる。

 その時クスクスと鈴を転がしたような笑い声が響いた。皆の動きが止まって声のするほうを見やればそこにはネルケが込み上げてくる笑いを我慢するように口を手で押さえている。


「ふふっ。皆、面白い。殿様の周りはあったかいね」

「そ、そうかな」


 暖かいというよりも殺伐とした惨劇の一歩手前だったと思うけど。具体的にはペルレの首がオサラバ的な意味で……。

 ちょっとネルケの視覚機能に重大な問題が無いか不安になった瞬間だった。

 色々な思いを吐き出すつもりで深く息を吐く。


「エーデル」

「はい。今日は紅茶に致しましょう。先日イングバルド様が“外”に出られた時にいい茶葉が手に入りましたので」

「そう。それじゃそうしようかな」


 先程の狂戦士ぶりはどこ行ったのか今は従者の鑑と言わんばかりにきちっとしていた。エーデルの傍に居たアイゼンもホッと息を吐いて安堵している。

 この切り替えの速さこそがエーデルの最大の強みと言えるのかもしれない。逆に言えば薄情とか思われかねないから今後は少し注意しておく必要があるかもしれない。


「あら陛下、そういう事でしたら今朝焼いたクッキーもございますわ。是非ご賞味頂ければ光栄なのですがいかがでしょうか?」

「クッキーか、いいね。ちょっと甘いものも食べたかったしお願いしようかな。皆も一緒にお茶にしようか」


 各々から承諾の言葉が飛んでくる。

 さて、お茶会か。この人数だと隅にある和風スペースでは手狭だし折角だからシーちゃんやクーちゃんの居る農業区画へ行こうか。あそこなら人工とは言え太陽光もあるから暖かいはずだ。あの二頭にネルケの事を紹介しておきたいというのもある。


 その日は楽しいお茶会の後に全員に対してネルケの紹介をする事で時間が過ぎて行った。







新キャラがまた増えたですね。

ネルケ。撫子の別読み。

クノイチにしたのは大きな理由はないですよ?

敢えて言うなら諜報って言ったら『忍者じゃね?』と思ったからです。

まあとりあえずこの第一章で主要なメンバーは出揃う予定です。

第二章ではアオイよりもエーデルの主眼で進む可能性が大。

迷宮とかダンジョンって心惹かれますよね?フフフ。

ではでは。


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