第8話 舞踏会は朝明けまで
ギルドナ王国に入ってからの数日は外出も控えていた事もあり。宿泊施設内ではゆっくりと過ごす事が出来ました。
今夜はギルドナ王国で開かれる〖天朝のルルエラ〗様を称えるお祭り、〖天朝の舞踏会〗当日です。
そして、私達はマキナ公国の国賓代表としてギルドナ王国の舞踏会会場へと向かうのですが、今、現在、何故か私達は〖宿泊施設〗の屋上へと来ています。
ゴオオオオ!!
「凄いですね。魔機浮上船ですか? あれでギルドナ王城まで向かうんですね」
「ええ、ギルドナ王国の首都は今、施設爆破事件で危険という事もあり、ギルドナ王が手配してくれたみたいですね。空ならば攻撃は届かないという判断らしいですが」
「英断だな。この世界で空を飛べる奴なんて限られているからな。本当に一握りだ。俺の様にな! この美しく白い翼を持った俺の様に……ごがぁ?!」
「アンタ。それ、魔力で造ってる紛いものの翼でしょうが。天使族の人達に謝りなさいよ。懺悔なさい」
「アイナ! お前なぁ~! 俺のスーツが汚れんだろうが!」
「貴様~、幼馴染みの私の美しいドレス姿を褒めずに、自分の白い翼を自慢するとかどういう頭してんのよ?」
「美しいドレス姿?……おお、確かに今日は一段と可愛いじゃねえか! アイナ。今日の舞踏会で一緒に俺と踊ってくれよ!」
トゥンク!
「……あ、あのロロが私を可愛いって……そ、そう。私と踊ってくれるの……そう」
「アイナちゃんが照れてるね」
「……良いわね。幼馴染み……素敵だわ。どっちも良い雰囲気で羨ましい」
「スピン……目が染んでるよ。大丈夫だって、舞踏会には居るって、スピンの好みの男」
ドレス姿のアイナさん。アンバー、スピンさんが楽しそうに談笑しています。皆さん、今日の為に〖メイヤの洋服店〗で買ったドレスが欲にあっていますね。……私も着ているのですが、人形の体なので何とも違和感が凄いですね。
ゴオオオオ!!
「マキナ公国の国賓の皆様。御迎えに上がりました! 私はギルドナ王国副宰相のアルバン・ベルクと申します。挨拶が遅くなり大変失礼致しました。道中の襲撃事件は大変遺憾に感じております。我が王もこの事については深く遺憾の意を示しており……」
「〖意〗ですか。ギルドナ王国側はマキナ公国代表として、僕達がギルドナ王国内側で受けた襲撃事件の否を認めないようですね」
「認めてしまったら、マキナ公国から賠償を請求されるからだろう。まあ、マキナ公国側はギルドナ王国内にいるアークス教団を壊滅できればどうでも良いからな。賠償請求なんてしないだろがな」
「いや、私達が襲われてるのに、何もしないとかヤバイでしょう」
「しねえって、〖天星〗様は、昔からそういう人なんだよ。だから今回、俺達をマキナ公国代表としてここへ来させたんだ。アークス教団を壊滅させあるだけの力を持つ俺達をな」
「いやいや、それでマリーが危険な目に合うのは可笑しくない? ギルドナ王国の首都に入ってから、あの娘。一度も部屋から出てきてなかったしさぁ」
「……マリーはアークスの襲撃程度じゃあ、塞ぎ込むたまじゃないだろう。天朝のルルエラの眷属はよう」
「ロロ?」
ロロギアさんは私を一瞬だけ睨み、直ぐに目を反らしました。何故でしょう。ロロギアさんの目は何処か私を怪しむ目で見ていました。
ゴオオオオ!!
〖ギルドナ王国 王城〗
国賓を出迎える楽団の演奏が場内に響き渡っています。ギルドナ王城の広大な敷地に魔機浮上船がゆっくりと下降し、無事に漂着しました。
「流石に空への攻撃はする人はいませんでしたか」
「空に攻撃するとか、どんな罰当たりな奴だよ……まあ、居る所にはいるか。なあ、リク」
「……ええ、そうですね。南側の方達は特に」
リク先生とロロギアさんが魔機浮上船を見ながら何か話し合っています。何でしょうか? 舞踏会の後の事を打ち合わせでしょうか?
「おお! 今回は国賓としてご来場頂きありがとうございます」
「……はい? えっと……貴方は?」
私の前に銀髪で高身長の男性が、私の手をいきなり握って現れました。
「おっと! これは失礼。俺はギルドナ王国 次期国王 ルイ・ギルドナと申します」
「……貴方がギルドナ王国の王子様ですか?」
「ええ、そういう貴女はシュリル家のご令嬢。マリア・シュリル嬢ですね?〖呪い人形〗事件の被害者の」
ルイ王子は握っている手の力を少し強めました。私の耐久力を試すかの様に。
「つっ! あ、あの、な、何故、その事を貴方が知っているんですか?」
「そりゃあ、知っていますよ。この国で起こしてしまった事だ。責任を感じずにはいられない。そして、調べ解決しなければいけませんからね」
「はい?……解決する。ですか?」
「ええ、それには貴女のお力と聖女様のお力が必要……」
「それよりも。その手をマリアさんから離して頂きたいのですが?」
スパンッ!!
「ルイ・ギルドナ!!! 何してんだ? お前ええ!!」
「おっと! お相手が来たようですね」
「リク先生、ロロギアさん!」
ルイ王子は私の手をバッと離すと、私から少し距離を離しました。
「少し隣にいないだけで、これですか」
「マリーは昔から持てるからな。ちゃんと見とけよ。リク! ルイ・ギルドナ!! 何故、お前がここに居る? マリーに何の様だ?」
「ロロギア……先輩に向かって何て口の聞き方してんだ。たく、俺はここ国の王子だからに決まってんだろ」
「あ? アンタがこの国の王子だと? 物騒な国の?」
「……物騒な国とか、失礼な事、言ってくれるな。おい」
「貴方がギルドナ王国の王子様ですか……」
「そういう君はテリクス家の秘蔵っ子か? これはこれは……アルフェウスさんは凄い助っ人を寄越してくれるな。シュリル嬢といい、ロロギアといい、流石がお師匠様だな」
「……お父様が貴方のお師匠様……ですか?」
「おう。昔からメチャクチャ世話になってるぞ。なんなら君とは小さい頃、何度か合っているしな……てっ覚えていないよな」
「は、はぁ、そうなんですか……」
「まぁ、細かい話は舞踏会の時でも離そうか、しかし、良く来てくれた。助っ人達よ。今宵は我がギルドナ王国の天朝の舞踏会をお楽しみ下さい……そして、アークスの最後の夜をな……」




