シャルルちゃん発見!
なんとかルミナを慰めて、再び森を歩き始めていた。
「ひぃっぐ、ひぃっぐ」
いや、まだ慰めきれてなかった。歩きながらルミナはまだ泣いている。
「そんなに嫌だったら、魔法とかでやつけちゃえばいいのに」
「いやよ、もしバラバラになって体の一部とか汁とか飛んできたらどうするのよ」
泣きながらも俺のことをキッと睨み付ける。燃やしちゃえば大丈夫だと思うけど…しかしここまで苦手だと虫の形をした魔物とかいたら逃げ出すだろうな。
ルミナの弱点をまとめてみると、盗賊相手だと震えてしまい、かわいい魔物は倒せない、虫系は泣くほど無理……ってところかな。まぁかわいい魔物なんていないだろうから、盗賊と虫か。いつか克服してもらわないと。
しかし、シャルルちゃんが見つからない。戦った痕跡すら見つからない。一体どこにいるんだろうか……
その時だった。
「キャャャャャャーー」
という叫び声が再び聞こえた。
今回はルミナじゃない。ルミナも泣き止み辺りをキョロキョロ周りを見回している。シャルルちゃんの声か。
俺には叫び声がした方向がはっきりわかった。
「こっちだルミナ、そんな遠くない」
「うん」
俺が叫び声がした方へ走り出すとルミナも後ろをついてくる。
森をかき分け叫び声のしたであろう場所につくと、そこでは数十人の村人のような人達いた。木材を積み重ねてそこに火を灯して燃え上がらせ、それを中心に村人達が飲んで、食ってとパーティーのようなことをしていた。
ん?たしかこの辺で叫び声がしたはずなんだが……そう思い村人一人一人を見ていくと……いた!!シャルルちゃんだ。
シャルルちゃんは両手で目を隠している。シャルルちゃんの前では村人の一人が裸踊りをしていた。
俺はシャルルちゃんに近づき話しかけた。
「シャルルちゃん?」
するとシャルルちゃんは勢いよく振り返える。
「だから私をちゃんづけで呼ばな……い……で。えっ、ルクスさん??なんでここに?」
シャルルちゃんはよほど驚いたのか、目を丸くしている。
「いや、プラシアに戻ったらシャルルちゃんがクエストを受けて、戻ってこないってギルドのみんなが騒いでたから何かあったと思って」
「もう、みんな1日遅れただけで大袈裟なんだから」
呆れたようにため息を吐いている。
「でもよかったよ。見た感じ怪我とかもなさそうだし」
「うん大丈夫だよ。ということはルクスさんは私を心配してこんな所まで来てくれたんだ」
いかにも嬉しそうな表情で俺を見る。
「あっ、うん。一応ね」
何故か恥ずかしくなり、右手で自分の後頭部をかいてしまう。
「あっ、ルミナさんも久しぶりね。来てくれてありがとうね」
「はい、久しぶりです。でもほんと無事でよかったです」
ルミナも不安から解放されてか、笑顔が溢れている。しかし、今のこの状況があまり理解できない。
「ちなみにこの人達は誰?」
俺が尋ねると、シャルルちゃんは周りを見渡してから答えた。
「あー、この人達はフォールズの森で暮らしている民族みたいなの。森にキングライオンが現れて迷惑してたところを私達が倒したからお礼がしたいって言って、この状況なの……しかも二日目……私はもう帰ろうって言ったのに、パーティーメンバーがせっかくだからって。ちなみにあっちで酔いつぶれてる二人がそうよ」
シャルルちゃんが指差した先には二人の若い男が寝転んでいた。あの二人とクエストを受けているのか……もしかして、どちらかと付き合ってたりするのかな?あとで聞いてみようかな。
「ちなみにさっきの叫び声はシャルルちゃんだよね?」
「あっ、聞こえちゃった?あれは、族長が酔っぱらっていきなり裸になりだすからビックリしちゃって」
あぁ、さっきシャルルちゃんの目の前で全裸で踊っていた男か。今は族長も酔いつぶれているようだが……全くシャルルちゃんに汚いもの見せやがって。でもその叫び声で見つけることもできたし、今回は許してやるか。
「魔物に襲われたんじゃないかって、こっちこそビックリしたよ」
「そうなのよ。ルクスったらいきなり走り出すから付いていくのがやっとだったわ」
「ははは。この辺りの魔物なら大丈夫だよ。さて、今日はもうお開きかな。族長さんも寝ちゃったし。私達はこの辺で一泊して明日の朝帰るから、一緒に帰りましょう」
「そうだね。まだまだ聞きたいこといっぱいあるから明日聞くよ。じゃあ俺達もこの辺でテントを張って一泊しようかな。よかったら一緒に入る?結構いいテントだよ。広いからあと数人は入るし」
「大丈夫だよ。自分のテントがあるし……二人の邪魔しちゃ悪いしね。もう恋人同士なん…で…しょ?」
シャルルちゃんは顔を伏せて聞いてきた。俺とルミナは一瞬顔を見合わせたが、俺が正直に答えた。
「よくわかったね。実は最近付き合い始めたんだ」
「そう……おめでとう。ルクスさんずっとルミナさんのこと好きだったもんね」
「えっ。バレてたの?」
「バレバレだよ……じゃあ私も寝るね。おやすみなさい」
そう言うと、素早くテントを取りだし、中に入ってしまった。ルミナの顔をみると何故かルミナも複雑そうな顔をしていた。




