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プラシアへ

 次の日、俺は昼過ぎまで家を出なかった。果たして情報屋に払った100万は無駄にならなかったのか不安でしょうがなかった。


「ルクスー、いつまでもそうしてても仕方ないから外に出てみようよ。それに私達にはやらなきゃいけないこといっぱいあるんだよ。あんまりゆっくりできないよ」


 確かにそうだ。ロッソへ行きドラゴンについて調べ、セラさんの学校にも行かないといけない。ルミナのいう通りやる事がいっぱいだ。


「よし、とりあえずグレイブさんに挨拶して旅立つか」


「そうだね。でもルクス、一度プラシアに帰らない?」


「ん?どうして?」


 まだプラシアを離れて一月も経ってないのだか、早くも恋しくなったのだろうか。


「せっかくドラゴンの鉱石が手に入ったから、武器屋のおじさんに報告したいなって。それに最近、雪華(ゆきばな)も小さく感じてきたし……」


 ルミナも俺も成長期なのかどんどん身長が伸びている。今使っている武器は子供用のサイズだと言っていたしな。


「じゃあプラシアに行ってから、ロッソへ向かうか。久しぶりに母さんやシャルルちゃんにも会いたいし」


「ふーーん」


 ルミナがじぃーと俺を見ている。まずい、シャルルちゃんの名前を出したのはまずかった。


 しかし、予想に反してルミナは特に怒らず淡々としていた。あれ?意外だなぁ。いつもならビンタの一つでも飛んでくるのに。まっいいか。


 俺は切り替えて、ボックスから地図を出してテーブルに広げる。


「まずプラシアへ七日間かけて行くだろ、そしてプラシアで武器ができるまで滞在して、そのまま北を目指せばロッソへ着くな。結構な長旅だから準備していかないと」


「そうだね、また馬車とテント生活かぁ。でもルクスとずっと一緒にいれるから楽しみだよ。それに旅してないと冒険者らしくないしね」


 ニコッと可愛い笑顔を俺に向ける。この笑顔はずるい……いつもドキドキさせられる。


 これからの行動も決まったところで、勇気を出して外に出た。結果として、前日のような人々が怯える状況はなくなった。むしろ好意的に挨拶してくれる人や、握手やサインを求められることもあった。


 情報屋の影響力恐るべし!みんな流され過ぎだよ!!今俺が一番敵に回してはいけないのは情報屋だろうと心底感じた。


 ギルドに着き、グレイブさんの部屋の扉をノックして、中にはいる。グレイブさんは食後のコーヒーを飲んでいた。


「やぁ、ルクスくん。どうしたんだい?」


「そろそろ町を出ようと思いまして挨拶に来ました。アスールも最近平和で特に変わったこともないようですし」


「そうだね。でも赤き竜が来たときや、ドラゴンの件など助かったよ。ありがとう」


「いえいえ、グレイブさんならあれくらいなんとかなりましたよ。俺達こそスキルのことや、魔法のこと勉強になりました。まだまだ世界には知らないことが多いみたいです」


「そりゃまだ15歳なんだ。当然だろ」


 そういうとグレイブさんはハハハと笑っている。


「では色々終わったらまた来ます。とりあえず、一旦プラシアに戻ってからロッソを目指すので、何かあったら知らせてください」


「わかった、とりあえずプラシアかロッソの王都にいるんだな。危なくなったら遣いをよこすよ」


「遠いんで間に合えばいいんですけどね……」


「ははは、まぁその時は来るまで持ちこたえてみせるさ」


「ではそろそろ行きます。じゃあまたなグレイブ」


「えっ!?」


 俺は最後にグレイブと呼び捨てにして部屋を出た。いやーあの驚いた顔は傑作だった。俺は最近グレイブと行動を共にして尊敬するのを止めようと決めていたのだ。なんか少しスッキリしたな。


 ギルドを出て、俺達は新しいテントを探しにきていた。


「ルミナー、これはどうかな?」


「いいんじゃないかな?魔物から守る結界も強いし、広いし。これにしましょ」


 今使っているテントは古くなってきたので思いきって良いものを買おうとなったのだ。今までのテントは特に結界もなく、ベッドを二つ置いたらぎゅうぎゅうになるくらいだったが、今見ているものはベッドなら10個は置けそうな広いものだ。それに台所セットや、トイレなどもついているようだ。まるで、持ち運びできる家だ。


 値段を見てみると500万ピアと書かれている。ちょっと高いかなぁ。いや、ルミナも気に入ってるし、これから長旅になるから少しでも快適に過ごせるようにしよう。


「店員さーん、これくださーい」


 俺は500万ピアを取り出し、店員さんに渡す。


「ありがとうございましたーー」


 高い商品が売れて、店員さんも嬉しそうだった。店を出るときは、店にいる従業員全員で礼をしてくれた。入ったときは誰も見向きしなかったのにね。


 しかし、一気にお金がなくなったな。あと400万無いくらいかぁ……またどこかで稼がないとな。そう思いながらルミナと次の店に向かっていると、ルミナが紙袋を渡してきた。


「はい、ルクス。私の分」


 中身を確認すると250万ピア入っていた。テント代だろうか。


「えっ、いいよ、俺が払うよ」


 俺は別に不自由しないだけのお金があればいいので、全額払うつもりだったのだが……


「駄目だよ、ちゃんとしなきゃ。受け取ってくれないと私だけ野宿するからね」


 ルミナはお金を返そうとする俺の手をグイっと押し込む。


「わかったよ。ありがとうルミナ」


 そして、七日間分の食料や水を買い込み、馬車を手配してブランをたった。乗客は二人だけだったので道中は平和そのものだった。途中ガザンにも寄ってみた。炭鉱も労働者で活気づいており、元のガザンに戻るのも時間の問題だろう。


 そして約一月ぶりにプラシアへ帰ってきた。すでに日は暮れてた。


「とりあえず、実家に帰りますか」


「うん。アメリアさんもびっくりするだろうね」


 俺達が実家につくと、明かりが付いていない事に気づいた。まだ寝るには早い時間だ。とりあえず、中に入ってみようと扉を開けようとするがカギがかかっていた。どこかに買い物にでも行ったのだろうかと思っていたら、扉に張り紙が張ってあることに気づいた。


『しばらく家をあけます』


 アメリアの字でそう書かれていた。どこへいったのだろう……想像もできない。旅行でも行ったのか?行き先書いててくれればいいのに。まぁ事件とかではないだろうし、アメリアは元A級なのででその辺の奴にやられることもないだろうからそこまで心配もしなかった。


 仕方ないので、今日は宿に泊まることにした。


次回、久々シャルルちゃん登場……かな

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