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俺のスキル!!

沢山のブックマークありがとうございます。皆様には感謝しかありません。

 いつも起きる時間よりもだいぶ早く目覚めた。それでもルミナは俺よりも早く起きており、リビングで朝食準備をしていた。


「おはよう、ルクス。今日はいつもより早いのね。まだご飯できてないからコーヒーでも飲んで待ってて」


 朝から笑顔で挨拶してくれるルミナに癒されながら席に座る。

 

「おはよう、ルミナ。いつも早起きだね」


「そうかなー。ルクスが寝坊助さんなんだよ」


 そう言って俺の目の前にコーヒーを置く。あっ、コーヒーと言えば……


「そういえば、昨日ギルドでグレイブさんがコーヒー出してくれたんだけど、このコーヒーと同じ味だったんだ」


「へぇー。グレイブさんも同じ所で買ったのかな」


 ルミナは台所で食材を切りながら、背中を向けたまま答える。


「でも、グレイブさんそのコーヒーは一杯千ピアもしないって言ってたんだ」


「えっ……」


 食材をリズミカルに切っていた音が一瞬止まった。が、すぐに元通りのリズムに戻る。


「間違いないん……だよね」


「う、うん。俺がコーヒーのような濃い味を間違えることは無いと思うけど……」


「私、騙されたのかな……」


「そ、そうかもしれないけど次から気を付ければいいから。パン屋には俺が今度行ってみるからさ。もしかしたらパン屋も騙されてた可能性もあるし」


 俺は慌ててなだめてしまった。ほんと我ながらルミナに甘い。


「うん、ありがとう……」


 ルミナは小さい声で答えている。声が震えているようにも聞こえる。料理中もしばしば手を止め、涙を拭っているようだ。


 かなりショックだったのかな。でも黙っててもルミナの為にならなかっただろうし……


「ルミナもう泣かないで。ルミナはやっぱり笑顔でいてくれないと」


「えっ泣く?」


 ルミナは振り返り、不思議そうに聞いてくる。


「えっ?だって涙……」


 今もルミナの目は赤くなって、濡れている。


「あぁ、これ?玉葱スープ作ろうと思っていっぱい切ってたら、涙が止まらなくなっちゃって」


 ルミナの後ろには大量の玉葱がみじん切りにされていた。


「もうルクスったら。10万くらいで泣くわけないじゃない。たしかに悔しかったけど」


 これには流石にイラッときた。


「ルミナさん、ちょっと座りなさい」


「えっ、まだ途中だよ」


「いいから」


 それから俺の説教タイムが始まった。少しはお金の大切さが伝わってくれるといいが……途中ほんとに泣かれそうになったので、それ以上言えなくなってしまった。


 説教が終わり、ルミナがつくってくれた朝ご飯を食べるとギルドへ向かった。


 今日は待ちに待ったスキルを教えてもらえる日である。グレイブさんの言うことが本当ならば……


 グレイブさんの部屋につき、今日は普通にノックする。扉はまだテープでグルグル巻きだ。我ながら冷静さを欠いていたと思う…何度も転生して他の人の百倍の経験をしているはずなのに、感情のコントロールがうまくいかないときが多い。もっと、落ち着いててもいいはずなんだが……


「はーい、どちらさま?」


 部屋の中からグレイブさんの声がした。


「おはようございます、ルクスです」


 扉が開き、お茶でも飲んでいくかと言われたが断った。俺はスキルを教えてもらえるという、逸る気持ちを押さえられなくなっていたのだ。


 あまり行きたくなさそうなグレイブさんを引っ張るようにギルドから連れ出し三人でプリンさんの所へ向かった。


「やっぱり行かなきゃダメだよね?」


 歩きながらグレイブさんか駄々をこねている。


「グレイブさんが自分から行くっていったじゃないですか」


「そうなんだけどさぁ」


 何か会いたくない理由でもあるのかな?まさかこの券が使えるか不安なのか。今さら教えてもらえないなんてあり得ないよ。


 暫く歩くとプリンさんの家についた。やっぱり遠いな……前はルミナが手を繋いでくれたから早く感じたけど、今回は駄々をこねるおっさんが一緒だったから余計疲れた。


「おーい、起きてるかー。早くこないと名前叫ぶぞー」


 グレイブさんが大きな声で叫ぶとバタバタと音を立てながら二階から前回と同じように長い赤い髪を寝癖いっぱいにして降りてきた。


「うるせぇー、なんだよクソ親父。毎回毎回いい加減にしやがれ。今日はなんのよ、う、だ」


 プリンさんは俺達の姿が目に入ると、大声で怒鳴っていたのが尻窄みになっていった。


 親父??えっ、もしかして……


「え?グレイブさんってプリンさんの父親?」


「おい、今なんつった……」


「あっ」


「おい、親父。ばれちまったもんは仕方ねぇ、私のせいもある。だが誰が名前教えていいっていったよ。あぁ!!」


 この娘ほんと口悪い……


「ご、ごめんなさい」


 なるほど。単純に娘に嫌われたくなかっただけなのね。口滑らせてごめんなさい。


「じゃあクレアさんのお姉さんになるんですか?」


 ルミナが果敢にプリンさんに尋ねる。


「あいつとは母親が違うよ。まぁ私の母は早くに死んじまったから、一人で此処に住んでるんだけどな」


「昨日のランカーの特典を説明しただろ。一父多妻ってやつだ。まぁ結局私のもとには誰も残らなかったんだけど……」


 グレイブさんは悲しそうな目をしている。


「ちっ、もうこの話はいいよ。あれだろ、スキル教えろっていうんだろ。クソ親父が前に頼み込んできたよ。まぁ小遣いも貰ったことだし、見てやるよ。中に入りな」


 小遣いが1000万か……


 家の中に入ると、それはもう酷かった。掃除など今ままでしたことないだろうというくらいゴミが溜まっており、ホコリが舞っていた。二階の部屋に案内されると、ゴミの山には変わりないが真ん中のテーブルに光輝く鏡が置いてあった。


「さぁどっちから見るんだい。鏡の前に座りな」


 俺とルミナは顔を見合わせる。


「ルクス、先にいいよ。ずっと楽しみにしてたもんね」


「えっ、じゃあ遠慮なく。ありがとう」


 俺は鏡の置いてあるテーブルの前で正座をする。やばい、ドキドキが止まらない。一体俺はどんなスキル持ちなんだろうか。きっと、いや絶対いいスキルを持ってるはずだ。今までの才能の欠片もなかった99回と違う点は多いのだ。その原因がいま明らかになる。


「じゃあ、始めるよ」


 プリンさんはそう言うと、鏡の前に両手をかざす。すると鏡の光が一瞬強くなり目を開けていられないくらいの光が部屋を覆う。それが収まると鏡に文字のようなものが浮かんでいる。自分は見たことのない文字だ。おそらくプリンさんだけが読める文字なのだろう。


「な、なんて書いてあるんですか」


 恐る恐る尋ねる。プリンさんはチラっと鏡を見て、衝撃の一言を告げた。


「やっぱり何もないね」


「えっ!?」

 

 



 


次回予告:なんでスキルなし?えっルミナは?


 です。更新は近いうちにやりますので、宜しくお願いします。

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