誘拐犯見つけた
「なかなか現れないわね」
「まぁ、そんな都合よく来たりしないよ。こうゆうのは辛抱が大事なんだ」
俺達は、ドラゴンの誘拐犯を捕まえる為おとり捜査を行っている最中なのだ。
今はドラゴンの集落から離れた所で、変なしゃべり方の赤いドラゴンを一匹で泳がせている。ドラゴンも最初は警戒してかうろうろ動き回っていたが、あまりに何もないので今は眠っているようだ。
やがて夜になり、辺りは真っ暗になった。うーん、困ったな…魔法のライトを使えば見えるようになるけど、それじゃあ誘拐犯は現れないし…今日は撤退かなと思っていると赤いドラゴンが騒ぎだした。
「なんやお前ら。なにする気や」
おっ現れたな。すかさず、全力でライトを使う。辺りが明るくなり、まるで昼間と変わらないくらいになった。
姿を見せたのは二人組の男だった。急に明るくなったことに驚いているようだ。赤いドラゴンは縄でぐるぐる巻きにされていた。簡単にやられ過ぎだよ、お前…
「やっと姿を見せたわね。他のドラゴンを返しなさい」
ルミナはやっと出番が来たと張り切っていた。
「ちっ、罠だったか。しかしなんだ、お前ら。ドラゴンに手を貸してるのか?まさかドラゴンと人間がつるむなんてな」
「バカねぇ、あなた達。ルクスは手を貸してるんじゃないのよ。ドラゴンの主なの。主だからドラゴンを守るのよ。わかった?」
だから主じゃない…いい加減わかってほしい…
「なっ、ほんとうか。たしかドラゴンの世界では主を倒した者が新しい主になると聞いたことがあるが…まさかこんな子供がドラゴンの主を倒したのか…」
やっぱりそのルールは本当だったんだね…
「とにかくあなた達を捕まえるわ。覚悟しなさい」
「ふん、俺達を捕まえるだと?笑わせる。俺達は捕まえるプロだぜ。小娘とガキにやられてたまるかよ」
「おい、あの娘少し恥ずかしい目に合わせてやろうぜ」
「おっあれをやる気か?」
「ふふふ、楽しみだぜ」
おいおい、何をする気だ…恥ずかしい目?なんか興味あるな…
「「くらえ、トゥバインド」」
二人の男が両手を前に出し同時に魔法を放つ。
両手からそれぞれ縄のようなものが飛び出した。ルミナは見たことのない魔法に反応が遅れまともにその縄を受けてしまう。
やばいと思ってルミナを助けようとしたが、動きを止めてしまった。…やられた!この魔法にはこんな効果があったのか!!俺はその魔法の威力に茫然としてしまった。
魔法をまともに受けたルミナは足を縛られ、手を縛られ、胸が二本の縄で上下から挟まれて強調されていた。その姿に目が離せず、俺の動きも止められてしまった。
「キャーーーーーーーー」
ルミナは大声で叫んでしゃがみこむ。
「はっはっはーいい眺めだぜ。いくらあがいても無駄だぜ。ドラゴンでも切れないんだからな」
「しかし、まだまだガキだな。色気が足りないぜ。俺はもう少し胸が大きいほうがタイプだぜ」
男の一人がそう言うと恥ずかしさでしゃがんでいたルミナが無言で立ち上がった。
「誰が胸が小さくて、色気がないですって?」
ルミナの縄からギチギチと音が鳴っている。
「まっまさか」
その音に男達も慌て始める。
バチーーーンという音と共に、手を縛っていたロープがちぎれ、ルミナは無言で足と胸を縛っていたロープを外していった。
「ばっばかな。ドラゴンでも切れないはずなのに…こんな小娘に…」
ロープを引きちぎったルミナは少しずつ男達に近づく。男達はその恐怖に腰を抜かしてしまい逃げることがままならない。
「誰が幼児体型よーー」
「「そこまで言ってないですーー。ぎゃーーーー」」
男達の断末魔がドラゴーン山脈にこだました。
ルミナは男達が気絶したことを確認すると、俺の方を向いてゆっくり近づいてくる…
「おっおつかれさま、ルミナ。おっお手柄だね」
もはや、その言葉は意味がなかった。
「なんですぐに助けてくれなかったのかな?ルクスならすぐにあの縄切れたよね?彼女が危険な目にあってるのに、なにジロジロ見てたのかな?もしかしてルクスも私のこと色気ないって思ったのかな?」
「い、いえ、すごくエロいなと思いました」
ルミナの顔が一気に赤くなって、拳を振りかぶる。
こっこわい、おそろしい、誰かたすけて…
「ルクスのバカー」
渾身の右ストレートが俺の顔面にクリーンヒットした。50mぐらい飛ばされ10カウントを迎えるのであった。




