第二十二話「す、すれいぶにーる?」
き、緊張感つくれねぇ・・・
さてさて、学院へと向かう訳ですが・・・
「・・・これはどういう事?」
以前、送ってもらった時の馬のない馬車が用意されてた。
「どうもお嬢様の周りは危険が多い様なので特別に許可を頂きました。学院までお送り致します。」
なるほどね。まぁ、仕方ないか。
中ではミミが待っていた。
「おはよー♪ホント、ドルちゃんと並ぶと姉妹みたいでいいね♪」
ミミにも好評か。
御者台?みたいな所にローラ、何故か釣竿みたいなものを持っている。
後ろにワタシとドルガー、ミミ・・・ん?メイはどうした?
「・・・・・」
メイ・・・居ました。何故か馬が居るべき位置に・・・タキシード?に馬の被り物を被って・・・
「・・・なにしてるの?メイ・・・」
「今日の私はメイではありません!すれいぶにーるとお呼びください!!」
「・・・・・・」
「すみませんお嬢様・・・なんか、変な方向に張り切っちゃってまして・・・」
・・・これで行かなきゃなのか・・・ある意味拷問だよ・・・
馬車を引くタキシード&馬面(被り物)の自称「すれいぶにーる」、御者台からその鼻先に釣竿で人参を吊るすメイド。
予想外?にスピードは早い。メイ力持ち・・・すれ違う人が固まってこっち見てる・・・恥かしいなこれ・・・
編入初日だし、ドルガーを連れて職員室へ向かう。
「あらあらあら、随分可愛くなっちゃったわね、ドルガーさん♪」
いつも校庭にいたのを見てたからかかなり驚いてる。でもなんか嬉しそう。
「てっきりあのままだと思ってたからどうやって教室に入ってもらおうか考えてたんだけど・・・問題無いわね♪」
いや、あのままだったら入らんて・・・
早速教室へと向かう。ユニ先生に手を引かれて・・・何故に手を繋ぐ?
ユニ先生、顔がとろけ切ってる・・・あ、鼻血・・・あんたもかよ・・・
教室でも大騒ぎだった。新たな幼女に沸きかえる。
席は当然の様に私の隣に決まった。
その方が絵になるとか・・・
今日の午前中は美術?外で写生をするんだとか。
何を描くか考えて・・・校庭から見える景色、ドルガーと出会った山を描くことにした。
とりあえず校庭の隅に座り・・・何故か正面にミミが座る。
その横にクラスメートが扇状に座る。
「・・・みんな、何描くの?」
『幼女姉妹!!』
・・・どうしたもんかねぇ、この状況。
隣のドルガーは・・・何故か厳しい顔をしている。
「嫌なら嫌って言っていいのよ?ドルガー?」
「いや、そうでは無く・・・・」
山を睨みつつ指差す。
時々、木が跳ね上がる。
「・・・・なに?あれ・・・」
ずばーんっ!!
ずばーんっ!!
ずばばーんっ!!
「うぅぅぅ・・・がぁぁぁ!!」
ずばーんっ!!
ずばーんっ!!
「ぐぁぁぁぁ!!!」
ずばーんっ!!
『・・・・クッ、クッ、クッ・・・』
「メイドめぇぇぇぇぇ!!!」
ずばーんっ!!
『・・・そうだ、いい感じに仕上がって来たぞ・・・』
ずばーんっ!!
「うぅぅぅ・・・がぁぁぁ!!」
既に『元勇者』の意識は無く・・・
魔剣から溢れる黒く禍々しいオーラが一段と大きくなり・・・彼を飲み込んだ。
『クッ、クッ、クッ・・・』
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