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久しぶりの猛毒魔法

普通に遅くなり申し訳ない。

次回の更新もお楽しみに。


 ハピネヴェースの悲鳴にも似た声が森に響く。しかし、戦斧がハプドヴァースに振り下ろされる事はなかった。


「悪いけど、こいつには先約が入ってるからなっ!」

 キリヤはハプドヴァース達の間に割り込んで、竜炎武装で作成した長剣ロングソードで弾いた。


「何者だっ!?」

 オークの魔人は驚いたように叫んだ。

「お、お前は!?……何故、俺を助ける?」

 ハプドヴァースも驚く。


「言ってなかったけ?……この森の各種族のボスを殺しに来たって」

 勿論、そんな事をハプドヴァースは知らない。


「小娘よ! 今の話が本当ならば、何故にソイツを殺すのを止めたのだ?」

 オークの魔人もキリヤが実力者なのを感じ取ってか、冷静に相手を分析していた。


「こいつはお前らの後って約束してんだよ」

 キリヤは質問に答えながらも相手のステータスを確認する。


 ステータス

 ・名前/オクドー

  種族/上級魔人 《豚魔人》

  能力スキル   

  通常ノーマル/ 『身体強化』,『剛腕』,『嗅覚』,『突進』,『斧術』

  希少レア/ 『自然治癒率UP』,『蛮勇』

  固有ユニーク/ 『猪突猛進』



 相手のステータスを確認したキリヤは十分に勝てる事を理解し、余裕の表情を浮かべた。


「そうか、なら小娘にも我が軍の礎になってもらうとするか」

 オクドーは下卑た笑みを浮かべ、武器である戦斧を構える。


「御託は良いから、掛かってこいよ」

 キリヤは右手の指を自身の方に曲げて挑発する。その行為に感化されたかは、不明だが、オクドーは正面から踏み込む。


「小娘風情が調子のんなぁぁ!! 」

 身体を縦に真っ二つに出来る程の勢いで戦斧が縦に振り下ろす。


「こんなもんか」

 勢いよくオクドーに振り下ろされた戦斧をキリヤは右手ひとつで受け止める。


「―――――――ッ!?」

 受け止められたオクドーは驚愕の表情を顔に張り付けて唖然とする。


 キリヤは自分の身体能力を測る為にオクドーが振り下ろす戦斧をワザと受け止めたのだ。念の為に竜炎武装でガントレットの作成と右腕を身体変換で頑丈に変換してある。そして、魔力で覆い強化してあった。それに『闇夜之暗殺者ナイトアサシン』の補正も加わり、キリヤの身体能力は信じられない程に上がっている。

 例え、力自慢の上級魔人の攻撃でも、そうそうに打ち破れないだろう。勿論、相手も能力スキルを発動したりすれば、結果が違ったカモしれないが。


「本気を出してくれないか? これでは修行にもならねぇんだよ」


 キリヤの力に驚いていたのは、なにもオクドーだけではなかった。キリヤの後ろに庇われていたハプドヴァースも驚きの表情を隠せていなかった。自分と戦った時は本気ですらなかったのか? と考えてすらいるが、あの時のキリヤは間違いなく本気だった。勿論、伝説級レジェンドの能力は封印していたが。

 彼は今まで魔力による身体強化をあまり使っていなかった――――正確に言うと、あまり使うメリットを理解していなかった。その為に防御不可能と思える時ぐらいしか使わなかった。だが、ハブドヴァ―スとの戦いで魔力での身体強化の使い方を学んだのだ。


「……そうだっ! 我らの軍に来ないか? かなりの高待遇で迎えてやるぞ!我らはいずれ、この森林を支配する。それに協力せぬか?」

 オクドーは思い付いたかのように仲間になってほしいと申し出てきた。


「そうだな、仲間が居ると便利そうだな……もしかすれば、あいつへの牽制ぐらいにはなるかもしれんし」

 キリヤは少し考える素振りを見せたのを好機と捉えたのか、オクドーの言葉が続く。


「そうだぜ、オヤジは仲間には甘いぜ。それにアンタの実力と美貌なら正妻にもなれるだろう」

「は? オヤジ? 正妻?……」

 キリヤはこいつ、何を言ってるんだ? と思っていると、オクドーの言葉はまだまだ続いた。


「もし、オヤジの正妻になれなければ、オレの嫁に来ればいい」

「絶対無理! てか、キモい。死ねよ。つーか、殺す」

 キリヤは即答した。キリヤは雌の蟷螂に転生したが、心は男のままだ。それに、オークってマジ無理と思っている。確かに魔人に進化している奴等は人型になっているが、オクドーを見れば分かるが不細工なのだ。まぁ、相手が白馬の王子様でも断る事に躊躇いを見せない自信のあるキリヤだったので、お断りである。


「なっ、何故だ!? 何がダメなんだ?」

 オクドーは、断られたことが不思議でならなかった。

「先ずは、それにすら気づいていないだけでアウトだろ……てか、ボスってお前じゃないのか?」

 キリヤはオクドーの話から察すると、ボスはオクドーの親父な気がしたので確認を取ってみた。


「ああ、そうだぜ。オヤジがオレ等のボスだぜ。いずれは、オレになるがな」

 何かを自慢する様に語ってるオクドーをスルーしながらキリヤは考える。


(コイツ殺すの意味ないじゃん! てか、ハプドヴァースはボス以外に敗けてたのか……)

 

 キリヤがハプドヴァースを負け犬の様に見ていると、その視線に気づいたハプドヴァースが「どうしたんだ?」と尋ねてきたが、キリヤは「負け犬」と一言だけ言い捨てる。


「なっ!! ち、違うぞ! オレが敗けたのはお前と戦った後だったからだ! それに、オレと最初に戦っていたのはアイツのオヤジであるオクゾールだったんだ」

 ハプドヴァースは必死に言い訳をしていたが、キリヤはどっちみち敗けたんだなと思っていた。


「……ところで、そのオクゾール? ってのは、どこ行ったんだ?」

 ハプドヴァースの話だったら、ソイツと最初に戦っていたなら今、ソイツはどこに行ったんだろうか?とふと、疑問に思ったので、聞く。


「しまった!! あいつを止めなくては、ここは任せたぞ! ハピネス急げ!皆を避難させるぞ」

「はい。お兄様」

 何かを思い出したかのようにハプドヴァースは急いでから飛び立った。その後にハピネヴェースも続いて行った。



「あれ?……俺ってば、置いてけぼり」

「あははは。あんなボロボロの状態でオヤジを追いかけて行ったのか。無駄な事を」

 オクドーは事情を理解しているみたいで、ハプドヴァースを笑っていた。


「アイツは何を焦っていたんだ?」

(はっ!? まさか、俺から逃げたのか!?)

 キリヤはハプドヴァースが逃げ出したと思い、追いかけようとしたら、オクドーからその理由を聞かされた。


「オヤジがあいつ等の拠点に向かったんで、追いかけに行ったんだろう。もう他の仲間も大勢向かってるし、無駄なことだな」

 今から向かっても遅いとオクドーは笑っていた。


「なんだ、俺から逃げた訳じゃないんだな」

 キリヤは一人納得していた。仲間を救いに戻ったのだと。


「そういえば、アンタの名前教えてよ。オレの名前はオクドーってんだ」

 オクドーが自己紹介をしてきた。キリヤからすれば、既に知っている事であったので意味はなかったが。


「答える必要はない。俺は忙しいんでな」

 キリヤは殺す相手じゃなかったのが、ハプドヴァース達を追いかける為と言いつつ、面倒だったので名前を教えなかった。そして、そのまま背中にある翼で飛ぼうとしたが……



「ちょっ、待てよぉぉぉ 《斧斬刃》 」

 オクドーが戦斧から魔力の斬撃を放ってきた。そんな攻撃に当たる様なミスはしないが、飛行を中断してしまった。

「悪いが、お前の親父さんを殺しに行くから、お前の相手をする程、暇じゃないんだよ」

 キリヤは煩わしいと思いながら、オクドーを睨みつけた。


「オレの女にもならないだけじゃなくて、オレを無視しようとは、いい度胸だ!どっちが強いか教えてやる!普通の攻撃を少し防いだぐらいで良い気になるなよ」

 今までと違ってギラギラとした目で睨んでくる。


「そうだな、元々はお前で試そうと思っていたし、良いだろう。相手になってやるよ。ただし、後悔すんなよ! 」


「はっ! 行くゾォォ 《剛爆撃》 」

 オクドーの振るった戦斧がキリヤに当たる直前で爆発した。キリヤは爆炎が直撃したのだったが、キリヤは無傷だ。


「何だとっ!? 何故だ……」

 オクドーはどうなっているか、分からないみたいだ。無理もない事だろう。キリヤはオクドーが放った爆撃そのものを喰らっているのだ。


「やはり、コツがいるな。その調子で攻撃してこいよ」

 キリヤの所持している『捕食者プレデター』は生物以外にも魔法……いや、魔力も喰えるのだ。しかし、喰えない魔法もある。ハプドヴァースの放った暴風波ストームブリンガーなんかは喰えないと直感で理解できた。理由は分からないが、それを確かめる実験を今、行っているのだ。


「どうなってんだぁぁぁ 《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》《剛爆撃》 」


 オクドーは何度も何度も技を連発している。それこそ、やけくそのように。そして、遂にオクドーの魔力も底をついた。


「はぁはぁ……」

 オークは魔力が少ないとは云っても上級魔人にまで進化すれば、かなりの魔力量である。それだけの魔力を使いきって、オクドーは肩で息をしていた。


「もう十分かな。これなら実戦でも使用できるだろう。そろそろ、追いかけないとな」

 キリヤは何度かタイミングを外し、攻撃を受けていたが、既に回復されている。

「なんだよ……どんだけ、強いんだよ!! それでも、オヤジの元には行かせねぇーぞ!」

 オクドーは魔力を使い過ぎてフラフラになっているが、なんとか気力で立ちキリヤを止めようとしている。キリヤの存在はオヤジでも危険だと思ったからである。


「そんなフラフラな状態でどうすんだよ?」

 キリヤはそう言ってからオクドーの肩に後ろから手を置いた。

「まったく気付かなかっただろ? 実力の差は明確だな。だが、安心しろ。命までは奪わないからな。とりあえず、寝てろ 」

 次の瞬間にオクドーは地面に倒れ込んだ。


「久しぶりに使ったが、上級魔人にも効くんだな」

 キリヤは『猛毒魔法ポイズン・マジック』で睡眠性の毒を生成した。その毒をオクドーに使用する。


「まぁ大分弱ってたし、当然か」

 その場で眠っているオクドーを放置してハーピィ達の拠点に向かい移動を開始する。




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