1章 桜の木の下にいた女
テストが終わり一週間今日は学校の始業式の日だ。
俺は今日からレベル4としてこの学校に又一年間通学する。
能力者レベル判別テストの評定がそのまま自分のレベルになり、そのレベルにあったリング(指輪)が国から国民全員に配布される。
リングは各々が好きな指に嵌めたり首にネックレスのようにしてかけたりと色々な方法で保持している。
保持の仕方に規制はないが、ただ一つあるとすればリングは常時持ち歩かなければならない。
俺は左手の人差し指にリングを嵌めて家を出た。
学校までは無人タクシーを利用している。
タクシーと言っても燃料はガソリンではなく水素エネルギーを永久機関化し環境に優しい水素エネルギーを利用しているので運賃も距離ではなく30分10円と時間で値段が変わる。
また昔に比べると値段が馬鹿みたいに安い。
今時代、車、バイク、自転車等を持っている人は日本人口の1割程しかいない。
その1割の人口も趣味で持っているだけなので、実際に乗って運転することは基本ない。
5分程車内でくつろいでいると学校に着いたので俺はタクシーを後にした。
学校の正門に着くと桜の花は満開となり、風が吹けば花びらが舞い、まるで自分がアニメの中にいるような感覚に陥ってもおかしくないぐらい、春の少し冷たい風が地肌にあたり、桜の花びらはひらひらと空中を優雅に漂っていた。
背後からいきなり声がしたので慌てて振り返るとクラスの友達の藤原がいた。
「久しぶり!元気にしてたか?」
「元気だ。 藤原も元気にしてたか?・・・・いやどう見ても元気だな」
そんな何の変哲もない会話をして俺と藤原は大学のホール(体育館)に移動した。
ホールに入るとまず携帯端末化されたパンフレットが配られ端末に表示されている座席に俺は座った。
偶然か必然化は知らないが藤原は俺の隣の席だったので俺は少し緊張が解けた。
まぁ今日の始業式は新二年生だけだから別に違和感はない。
俺の通う大学は学年ごとに入学式をする。理由はホール(体育館には)一学年の2000人と保護者5000人、後は職員等を含めた計8000人が収容限界人数なのだ。
座席配置の感じとしては職員が左側の端の方に集まり生徒はレベル7が最善列レベル1が最後列となっている。
しかしこの学校にはレベル7が一人しかいないので最善列はレベル6とレベル5が大半を占めていた。
国のレベルの別の人口は
レベル7 約500人
レベル6 約30000人
レベル5 約1500000人
以下省略と今日のニュースで発表があった。
そう考えればレベル7の人が俺の通う大学に一人いるだけでも凄いと思うし、それが同じ学年と思うとその子を天才としか言えない。
ホールの中では私語厳禁なので無言で始業式が終わるのを待った。
始業式が終わると俺は、学校の図書館に一人駆けて行った。
何故そんなに急ぐのかと言うと、今日は先輩と図書館で会う約束をしているからである。
先輩と会うのは久しぶりだが俺は図書館に着くと、
春休み前と変わらず少し砕けた口調で
「ゆうな先輩、用事ってなんですか?」
「お久しぶり。ちょっと坂田君にお願いがあるの。これを小山さんに渡して欲しいんだけど・・・お願いできる?」
先輩は少し申し訳なさそうな顔つきでこちら見ている。
俺は別にそれぐらいだったらと思い、笑顔で
「わかりました」と返事を告げた。
すると先輩は安堵してなのかとてもゆったりとした口調で
「ありがとう」
と告げ学校の図書館を後にした。
一人になった俺は当てもなく校内の桜が並ぶ通りにあるベンチに腰をつけ少しゆっくりしたくなったので空を見上げることにした。
10分ぐらいのんびりしていると声が聞こえてきたので、そちらに注意を向けてその先を見つめて見ると一人の男と一人の女がいた。
俺は男も女もどっちも知っていた。
男は全然話したことないが学校中でイケメンと言われている新3年生の先輩の高山 結城で女は学校中で知らない人はいないレベル7の小山 美紀だ。
俺はとりあえず邪魔したら悪いと思いベンチに腰を掛けたまま見て見ぬふりをして二人のやり取りを見た。
「先輩、用事ってなんですか?」
「えっと・・小山は彼氏いるの?」
「私ですか? 私には彼氏いませんよ。それに彼氏を作った事すらないです」
「ならさ、もし良かったら俺と付き合ってよ? 絶対小山を幸せにするから!」
「先輩、本気で言ってます?」
この時俺には小山が何か困っているように見えて仕方なかった。
しかしこの時俺にはどうしようもできなかった。
「本気だけど」
「先輩の気持ちは嬉しいです。でもお付き合いはできません。」
そう言うと小山は先輩に対して一礼し俺がいる方に向かって、歩きだした。
この時俺は、体全身から冷汗を書いていた。
レベル7で人の気配などにはかなり敏感の小山が俺の盗み聞きを見破ったと思ったからだ。
そして小山は人の目を気にせず俺の腰かけていたベンチに満面の笑みで笑い隣に腰かけた。
俺はこのS女(小山)とは高校からの付き合いなどでヤバいと肌で感じ立ち上がろうとしたその刹那、俺の左手首は小山の右手によって掴まれていた。
俺は観念してもう一度座り直して
「小山、いきなり人の手首つかんでどうしたの?」
とぼけて訪ねてみるといきなり手首がとても暑くなったので
「ごめんなさい。俺が悪かったからその力を元に戻して?」
すると
「分かればいいんよ。ところであんたこんな所で何をしてるの?」
「なんとなく空を見てただけだけど・・・・」
「相変わらず坂田は不思議な奴やね」
小山は火を基本とする力を得意としているので俺の左手首が先ほどいきなり暑くなったのはそのせいなのだが、どう見ても高山先輩と俺に対する口調が違う気がするのといつまで俺の手首を掴んだままでいるのかと、考えていると
「坂田、あんた、ゆうな先輩から何か貰ってない?」
「そういえば、貰った貰った。はい。これ」
俺はゆうな先輩から貰ったものを小山に渡した。
「ところで小山一体それは何?」
「これ?これは・・・・秘密!」
「はいはい。わかりました。どうせいつものパターンで聞いても教えてくれんのやろ?」
「ん?よく分かっとるね」
なんだろうこの馬鹿にされた。
俺は高校で同じクラスだったせいか、小山の性格は何故かある程度分かっていた。
まぁこれでも高校3年生では一応総務(学級員)をしていたからであると俺は思っている。
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