エピローグ
アスティは直ぐさまミリア達に引き渡され、傷の手当てが行われた。ミリアによると幸い命には別状は無く、アスティの意識もすぐに回復した。
そして、エターナルブレイドだが、アスティが搭乗していたグラディオンの自爆を受けたことで機体の損傷が激しく、稼働できない状態となっていた。このことによってケネス王子の敗北が決定した。クレストルニア連合軍の被害も無く、アスティのグラディオン1機の犠牲のみによって勝負は決したのである。このことを確認後、クレストルニア連合軍は解散し、それぞれの国へと撤退していった。
「このたびは我々、クレストルニアの平和のために、力を貸して下さったことに感謝いたします。」
ケネスは王宮の謁見の間にいた。目の前にはファルボ、ミリア、そして、右肩を負傷したアスティがひざまついている。国王が先の戦闘で死亡したため、実質的にバルディアの国家代表はケネスとなる。正式な戴冠式は行われていないので臨時的な物ではあるが。
王宮自体も軍司令部が破壊されたままだ。ただ、謁見の間は何とか無傷だったため、そのまま使用している。
「皆様方のクレストルニア移住の件、我がバルディアで引き受けることといたしました。この状況で食料や水は十分とは言えませんが。とりあえず住居が確保されるまでこの王宮でおくつろぎ下さい。」
「ご配慮ありがとうございます。そして、もう一つお願いがあるのですが。」
ファルボが口を開く。
「何でしょう?」
「投降してきた強行派の方々にも寛大な処置をお願いいたします。彼らも思想は違えど我ら同郷プルセリアの住民。彼らの受け入れもお願いいたします。」
「了解しました。彼らもこの地で暮らすことを許可いたしましょう。」
「ご配慮ありがとうございます。」
ケネスの提案により、バーミリアの乗組員は住居が確保されるまでの間、王宮内で過ごすこととなった。先の戦闘でバルディアの首都は住宅地にも大きな被害を受けたため、確保にはまだしばらくかかるだろう。
ケネスはその夜、自室のベランダに出て夜風に当たっていた。この時間の風は昼間と違い少々肌寒い。いつもならば「風邪を引いてしまいます。自室にお戻り下さい。ケネス様。」とマリアンが言うのだが、そのマリアンはもういない。少々寂しい感じもする。
ケネスが部屋の中へと戻ろうとすると、客室の一つにまだ明かりが灯っていることに気がつく。あの部屋はアスティの部屋だ。
アスティは夜空に輝く満天の星空を眺めていた。
「アスティさん、まだ起きていたのですか。」
「・・・ええ、私はこの星空が大好きなので。いつまで眺めていても飽きることはありません。」
ケネスもアスティの隣に並び同じく夜空を見上げる。
「・・・私は実はケネス王子ならばエターナルブレイドを使ってこの星の支配者となっても良かったと思ったんです。」
隣のアスティが夜空を見上げながら突然話しかける。その内容に少々驚くケネス。
「ひょとしたらケネス王子ならば、この星の住民をまとめ上げて平和な国を、星の再生が出来るじゃないかって、思ったんです。」
「僕はそんな大きな器は持ってはいませんよ。」
しかし、ケネスはそのまま話を続ける。
「でも、この星の民を一つにまとめることは出来ると思うんです。だって、強行派の侵攻に対してもこの星のみんなは一致して対抗しようとした。この星の再生だって、出来る気がするんです。今回の戦いでそう思いました。」
「その道は非常に困難かも知れませんよ。強行派の侵攻とは違いますから。」
「分かっています。容易に出来る事では無いと思っています。」
アスティはケネスの方を向いて話しかける。ケネスは夜空を見上げながら話を続ける。
「でもその為にアスティさんに協力をお願いしたいんです。僕の理想のために、力を貸して下さいませんか?」
ケネスはアスティの方を向き、右手を差し出す。
「僕に・・・力を貸して下さい。」
「・・・私の力で良ければ・・・喜んで・・・。」
アスティはその手を両手で握り替えした。
そして、クレストルニアの夜は更けていく・・・。
エターナルブレイド 終わり




