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転生珍獣王女奮闘記  作者: 千里
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30/66

No.30 秘密のお茶会


<リリースside>


カチャッとカップと皿がぶつかる音で、お茶会は開かれた。

メイドもいない二人だけの部屋に、やけに音が響く。


「俺からの条件は一つ。面白いか面白くないか」


「その基準は?」


「俺次第だよ。面白いと思えば、契約なしで生かすし、面白くない場合は遂行する」


ワタクシの目の前で、堂々としているのは…ハルク・クレッシェンド。

赤毛の髪の毛が際立つ美青年だ。

表側普通の伯爵家の青年だけど、裏方も担っているのがクレッシェンド家。

気分屋なのがたまに傷だけれども、腕は確かであるのは、一部には有名な話し。


「第一王女を暗殺すればいいんでしょ?」


「えぇ、そうよ。アレは生かしておけないのよ」


「我が子なのに、怖いね~。まぁ、そんな人がいないと、商売にならないんだどね」


「報酬は確認後に渡すので問題なしでしょ?」


「もちろん。遂行するかは俺の気分次第だし、前金なんてもらったら動きにくくなるしね」


肩を竦めるハルクは、王妃である私の前でもふてぶてしいくらいに自分を貫いている。

それでも我慢するのは、アレが毒で寝込んだ程度だったから。

誤算だったのは、ディルとサンエーリ様が一緒にいた事。

現在、王太子と王子暗殺未遂の捜査がおこなわれている。

ワタクシの場所までは捜査は届かないはず。


「どんな姫君なのか楽しみだな」


「規格外。薬師をする王女は必要ないの。王女とは気品と気高さ美しさがなければダメなのよ」


アレは気品もなければ美しさもない。

いくら陛下や周りが認めようとも、私は認めない。

アレはローズニアの邪魔をされては困るのよ。

美しい私の可愛い子。

あの子にこそ、大国の嫁入りが相応しいの。


「美しさね…」


「陛下とワタクシの子は、美しいのは当たり前のはずだったのに!」


陛下も美しいし王太子のディルだって、ワタクシの子に相応しく美しく成長したのに。

アレを見た時の衝撃は、今でも覚えているわ。

髪の色は陛下で目の色は前王様に似たのに、顔の造形は誰とも似ていない平凡さ。

絶望でしたわ。

だから余計に、次に産まれてきたローズニアが可愛くて仕方なかったの。

金色の髪も紅い目もワタクシ譲り。

美しく成長していくローズニアに、ワタクシは癒されてきた。


「大変だね~王族も。俺には全く理解出来ないけど」


「国の顔が美しくなくて、どうするのかしら。民に愛されてこその王族ですのよ?」


「それが美しさ?」


「当たり前ですわ!美しさを前にすれば、全てが膝を折りますわ」


「そんなもんかね…まぁ、いいや。会ってみれば分かるし。気分次第で決めるけど、もし乗らなくても他言無用。これはクレッシェンド家の規律だから安心しといて」


グッと冷めた紅茶を飲み干すと、すぐに立ち上がって優美な動作で一礼する。


「では、王妃様。ごきげんよう」


そのまま振り返りもせずに、窓へと向かって消える。

猫さながらの動作に、口角が上がる。

気分次第にせよ、暗殺の依頼は遂行出来た。

アレは平凡な顔立ちだから、もしもなんてないはず。

後は彼に任せてしまえばいい。

プロだろうから、ワタクシが依頼したとはバレないはず。


ワタクシはメイドを呼ぶ鈴を鳴らしなが、高揚感に酔しれた。

ワタクシの願いが叶うと信じて。


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