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転生珍獣王女奮闘記  作者: 千里
15/66

No.15 貴女だけには渡さない~妹姫の策略


<ローズニアside>


お城が静まった夜更け。

私は部屋をそっと抜け出し、ある部屋に向かう。

途中で人とすれ違わない様に、慎重に道を選びながら目的の場所につく。


「…気配では大丈夫よね?」


ここは、あのエメラル国の王子様の泊まっている部屋。

鍵は母に用意してもらっていた。

既成事実を作ってしまえと。

でもそれでは面白くない。

だから、お金で侍女を買って香を炊いた。

深い眠りにつくフィールの花の香を。

どんなに、毒に耐性があっても、この国にしかないフィールの花は盲点よね。


そっと忍び込むと、寝室に向かう。

きっと目的のモノは、ずっと身につけているはず。

目的のモノとは、エメラル国の王子が産まれる時に持っている宝石。

それは、エメラル国をちょっと調べれば

知ることが出来る。

そして、だいたいは皆身につけていると。

だから、すぐに気がついた。

誕生日パーティーで、サンエーリ様が首に銀の鎖が見えたから。

鎖の先に何があるか分からないけど、正装でも取らない所をみて想像がついた。


それからは、ある人にフィールの香を頼んで用意して今にいたる。

眠りこけているサンエーリ様は、寝顔も綺麗でうっとりしてしまう。

こんな人に、愛を囁かれたら…フフッ。

それなのに…サンエーリ様は私も見なかった。


「サンエーリ様が悪いのですよ?」


お姉様なんて、瞳に映して微笑むから…。

私に目もくれずにお姉様を見つめるから。

首に掛かる鎖を引っ張る。

プチッと切れてトップに輝くのは、水色の石。

それをハンカチに包んで胸の間にしまう。


そのまま部屋をそっと出て、人のいない道を辿って部屋に戻る。

侍女はもう休んでいるし、皆私は寝ていると思っているはずだ。

踊り出しそうな気持ちを抑えて、部屋に 戻ると小さな隠し扉を開く。

これを知っているのは、私だけ。

ハンカチに包んだまましまうと、私はガウンを脱いでベットに入る。

高揚した気持ちを抑えて、込み上げてくる笑いを布団を被って隠す。


明日には騒ぎになるはずだ。

そしたら、見つけましたと返そう。

きっと感激してお茶にでも誘ってくれるかもしれない。

あのお姉様が好かれるのだもの、私ならプロポーズしてくれるかも。


どちらにしても、未来は明るいに違いない。

私は目を閉じて明るい未来に意識を馳せた。

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