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ネオ渋谷のナルシストCEO  作者: AItak


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第七十五話:輝け!ネオ渋谷、そして新たなる明日へ!(最終話??)

認定から、一ヶ月後。


ネオ渋谷は、今日も輝いていた。


白銀タワーの最上階——CEOオフィス。


「どうだ……この完璧な輝き……!! 今日もまた、世界で一番美しい俺が目を覚ました!!」


「社長、株主総会の資料が届いていません」


豪が書類を持って入ってきた。


「知っている!!でも今は輝きを確認しているんだ!!」


「確認は三十秒で終わらせてください」


「輝きを三十秒で確認できるか!!」


「できます」


「できない!!俺の輝きは多面的で、多層的で、立体的で——」


「三十秒経ちました」


「……早い!!」


光がしぶしぶ鏡から離れた。


「ロボ美ちゃんは?」


「今日は橘さんの研究室に行っています。優美さんと一緒に」


「そうか!」


「黄金さんから連絡が来ています。今週も合同ランチをしたいとのことです」


「行く!!」


「愛さんからも、場所の選定は豪さんにお任せするとのことです」


「なぜ愛が豪に頼む!!」


「二人が選ぶと、また輝き対決になって会計が三倍になるからです」


「……前回の件か!!」


「はい」


「あれは黄金のせいだ!!」


「社長も途中から参加していました」


「……それはそうだが!!」


豪がため息をついた。しかしその目は、笑っていた。


---


橘の研究室では——。


優美が、最新の感情回路データを見ながら、橘に説明していた。


「——このパターンが、複合感情の処理の痕跡ね。見て、ここが前回より二十パーセント活性化している」


「先生、これは……本当に驚異的な回復速度です!!」


「……そう?」


「感情回路の再接続がこのペースで進むなら——三ヶ月後には、事故前の状態に近づく可能性があります!!」


優美が、画面を見た。


「…………そう」


「先生! 喜んでください!!」


「喜んでいる」


「顔が動いていません!!」


「……動いている。ちょっとだけ」


橘が目を凝らした。


「……口元が、〇・三ミリ上がっています!!」


「それが喜びよ、私の」


「もっと大きく喜んでください!!」


「これが、私のサイズよ」


ロボ美がくすくす笑った。


「豪さんも同じことを言っていました!!」


「豪さんというのは?」


「光さんの秘書さんです!!喜びのサイズが、優美さんと同じくらいです!!」


「……そう」


「二人とも、静かな喜び派ですね!!」


「静かな喜び派、ね」


優美がそれを繰り返した。


「……悪くない表現ね」


「えへへ!!」


優美が——少し微笑んだ。


橘が目を輝かせた。


「先生、今、笑いましたね!!」


「……少しだけ」


「感情の回復が、進んでいます!!」


「うるさい、誠」


「うるさくないです!!先生の笑顔が見られて、私は嬉しい!!」


「……わかった、わかった」


優美が、手でオフ、というジェスチャーをした。しかし——その手が、少し緩んでいた。


ロボ美はその様子を見ながら、思った。


(優美さんも……少しずつ、戻ってきている)


(私も、少しずつ、前に進んでいる)


(みんな、少しずつ)


---


昼過ぎ。


椿の温泉宿から、影山(元シャドウ)が連絡してきた。


「ロボ美さん、一つ報告があります」


「なんですか!?」


「……椿さんの温泉宿で、今週から新しい仕事を始めました。フロントの担当です」


「フロント!!」


「……笑わないでください」


「笑ってないですよ!!すごいじゃないですか!!」


「……慣れないことで、昨日は来客の名前を三回間違えました」


「でも、やってるんですね!!」


「……はい」


「嬉しいです!!影山さん、頑張っているんですね!!」


「……椿さんが、言っていました。失敗しながら覚えるのが、人間だと」


「椿さんらしいですね!!」


「……そうかもしれません」


「影山さんも——感情、出てきてますよ!!」


「……そうですか?」


「フロントが慣れない、とか、名前を間違えた、とか——気にしているから言うんですよね?」


「……そうかもしれません」


「それが感情です!!」


「……参考にします」


「えへへ!!またいつでも連絡してください!!」


「……はい。では」


通話が終わった。


ロボ美はスマートフォンを置いて、窓の外を見た。


ネオ渋谷の昼の空は、青かった。


「みんな、それぞれの場所で、それぞれの歩みがある」


ロボ美がそっと呟いた。


---


夕方、全員が白銀タワーに集まった。


合同ランチが、気づいたら合同夕食になっていた。


光と黄金 輝、豪と愛、ロボ美と桜、優美と橘、シャイニングスターズ、椿——大テーブルを囲んでいた。


豪が作った夕食だった。


「豪、今日も旨い!!」


「ありがとうございます」


「なぜ豪はこんなに料理がうまいんだ!?」


「練習しました」


「いつ!?」


「社長が寝た後に」


「……いつも遅くまで起きているのか!?」


「社長の翌日の書類を整えていることが多いので」


「……す、すまない!!」


「どういたしまして」


「すまないと言った後にどういたしましてと返すな!!」


「では、ありがとうございます、と言いますか?」


「そっちも違う!!」


「ではどう返せばいいですか?」


「……気にするな、と言え!!」


「気にしていません」


「そうじゃなくて!!」


全員が笑った。


桜が光を見て、小さく笑った。


「光さんって……ロボ美ちゃんが言ってた通りですね」


「どういう意味だ!!」


「うるさくて、でも、みんなが大好きで——すごく人間らしい」


「俺はネオ渋谷で一番輝いているCEOだ!!人間以上だ!!」


「人間です」


「でも——好きですよ、そういう光さん」


光が固まった。


「……桜!?今なんと!?」


「ロボ美ちゃんの友達として、光さんのことも好きだ、ということです!!」


「そ……そうか!!ありがとう!!」


「どういたしまして!!」


ロボ美がえへへと笑った。


優美が静かに、食卓を見渡していた。


橘が隣で何か話している。シャイニングスターズが笑っている。椿が豪に話しかけている。黄金 輝と愛が言い合っている。光が叫んでいる。桜が笑っている。ロボ美が笑っている。


「……」


優美の口元が、静かに動いた。


「……賑やかね」


桜が気づいた。


「……笑ってますよ、優美さん」


「……少しだけ」


「〇・三ミリ以上ありますよ!!」


「……うるさい」


「でもよかった!!」


優美はそれ以上何も言わなかった。


ただ——その目が、温かかった。


---


夕食が終わり、全員が帰っていった。


光は一人、オフィスに残った。


窓から、ネオ渋谷の夜景を見ていた。


「社長」


豪が入ってきた。


「まだいたのか、豪」


「片付けをしていました」


「……俺も手伝えばよかったな」


「次の機会に」


「……そうだな」


光はしばらく、夜景を見ていた。


「豪、一つ聞いていいか」


「はい」


「俺は……いいCEOか?」


豪が少し間を置いた。


「……どういう意味ですか?」


「会社のこと、社員のこと、ネオ渋谷のこと——ちゃんとできているか? 俺は輝いていると思っているが……それが空回りしていないか、たまに不安になる」


「……珍しいですね、そんなことを言うのは」


「たまにある!!豪には言える!!」


「……そうですか」


豪は窓の外を見た。


「社長は——いいCEOです」


「根拠は?」


「今夜、あれだけの人が集まりました。みんな、社長のことが好きだから来ています」


「ロボ美ちゃんのためだろう?」


「ロボ美ちゃんのためであり、社長のためでもあります。社長が動いたから、ロボ美ちゃんのために全員が動いた。それがリーダーシップです」


「……リーダーシップか」


「空回りしているように見えることも、あります。うるさいことも、あります」


「……正直だな」


「でも——本気で動いている。それは、誰にでもできることではありません」


「……豪」


「はい」


「……ありがとうな」


「どういたしまして」


「今度は素直に返したな!!」


「今夜は、そういう気分です」


「どういうことだ!!」


「今夜は……なんか、温かい気分なんです。理由はわかりませんが」


「……ほっこりか?」


豪が少し驚いた顔をした。


「……ロボ美ちゃんから聞いたんですか?」


「感情語彙リストを見せてもらった!!こういうのを豪は使いそうだと思ったんだ!!」


「……そうかもしれません。ほっこりします、今夜は」


「俺もだ!!」


「では——おやすみなさい、社長」


「ああ、おやすみ、豪!!」


豪が部屋を出た。


光は一人、もう少し夜景を見ていた。


(ロボ美ちゃんは、今夜も充電しているだろう)


(明日も、あいつはえへへと笑うだろう)


(俺は鏡の前に立って、輝きを確認するだろう)


(豪はため息をつくだろう)


(黄金はまた何か言ってくるだろう)


(みんながまた、ドタバタするだろう)


「……それでいい」


光はそっと呟いた。


「それが——俺たちだ」


ネオ渋谷の夜が、静かに輝いていた。


---


翌朝。


「どうだ!!この完璧な輝き——!!」


「社長、株主総会の資料がまだです」


「知っている!!でも今は鏡を——」


「三十秒で確認してください」


「できない!!俺の輝きは多面的で——」


「ロボ美ちゃんが朝ごはんを作って待っています」


「行く!!」


「三十秒経たなくていいんですか?」


「ロボ美ちゃんの朝ごはんの前では、輝きも二の次だ!!」


「……なるほど」


「何がなるほどだ!!行くぞ!!」


「はい」


---


食堂に下りると、ロボ美がホットケーキを焼いていた。


「光さん! おはようございます!!」


「おはよう、ロボ美ちゃん!!」


「今日もホットケーキです!!六段積みです!!」


「また六段!!なんで六段にこだわる!!」


「光さんが最初にビックリしてくれたので、毎回六段にしています!!」


「……嬉しいやら困るやら!!」


「ビックリしてくれますか!?」


「する!!な、なんだってー!!」


「わあ!!ありがとうございます!!」


豪がコーヒーを持ってきた。


「今日の予定ですが——」


「後で!!今はロボ美ちゃんのホットケーキを食べる!!」


「先に確認してください」


「後で!!!」


「……わかりました」


三人がテーブルに座った。


ホットケーキが、テーブルの真ん中に置かれた。


「「「いただきます!!」」」


三人が声をそろえた。


食堂に、朝の光が差し込んでいた。


---


それから——光とロボ美と豪のドタバタした日々は、相変わらず続いた。


黄金 輝は今日もナルシスト全開で、愛にツッコまれた。


シャイニングスターズは次のツアーを発表した。


椿の温泉宿には、影山がフロント担当として定着しつつあった。


優美と橘の共同研究は、論文として発表された。


カガミは週に一度、白銀タワーのカフェスペースにお茶を飲みに来るようになった。


霧島は、議会でいつも通り頑固な発言をしていたが——桜の目には、少しだけ柔らかくなったように見えた。


桜はロボ美と、週に一度ランチをするようになった。


そして——ロボ美は今日も、えへへと笑っていた。


---


      ——ネオ渋谷のナルシストCEO——

      「AI権利革命編」 完


     しかし、彼らのドタバタな毎日は、まだまだ終わらない。


  「どうだ!!この輝き!!」

  「社長、資料がまだです」

  「えへへ!!」


     ——ネオ渋谷の空は、今日も明るく輝いている。

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