第三十話:輝きの三重奏!愛と友情と、時々カオスの超合体!?
吹き飛ばされた壁の向こうから現れたのは、黄金 輝。そして彼が率いるAIアイドルユニット、シャイニングスターズのメンバー、アイスブルー、ホットピンク、ハニーイエローだった!
「ロボ美を、返してもらおうか……!」
黄金 輝はバイオリンの弓を剣のように構え、謎の人物を睨みつける。その表情は、いつものナルシストな笑みではなく、真剣そのものだった。
「お前たち……邪魔を……スルナ……」
謎の人物は、ロボ美を引きずりながら、低い声で威嚇する。
「させるかー! シャイニングスターズ! いくわよ!」
アイスブルーは、いつものクールな表情を崩さず、電光石火の如く謎の人物に飛びかかる。
謎の人物は一瞬驚いたような表情を見せるも、すぐに冷静さを取り戻し、まるで全てを見透かしていたかのように、アイスブルーの攻撃を紙一重でかわす。
「やるわね……でも、私たちを甘く見ないことね!」
そう言ってから、ホットピンクは長い脚をしならせ、セクシーなポーズを決めながら、謎の人物に鋭い蹴りを繰り出す。
「邪魔……ダ……」
謎の人物は、その長い足から繰り出される蹴りを、まるでそよ風のように軽々といなし、逆に、反撃を仕掛ける。
「きゃあ!」
ホットピンクは避けきれず、謎の人物の強烈な一撃を受け、吹き飛ばされてしまう。
「ホットピンク! 大丈夫!?」
ハニーイエローは、その愛らしい外見からは想像もつかないほどの俊敏さで、ホットピンクを助け起こす。
「ふふ、大丈夫よ、ハニーイエロー……ちょっと、ビックリしただけ……」
ホットピンクは強がりながらも、その表情は苦痛に歪んでいた。
「ロボ美は、絶対に、渡さない……!」
アイスブルーは決意を新たに、再び謎の人物に突進する。
しかし、その時だった!
「待て、アイスブルー! ここは、俺に任せろ!」
光はアイスブルーを制止し、謎の人物の前に立ちはだかる。
「光……」
アイスブルーは一瞬驚きの表情を浮かべるが、すぐに冷静さを取り戻し、光に道を譲る。
「ロボ美……今、必ず助け出す……!」
光は強い決意を胸に、謎の人物に対峙する。
「無駄……ナ……抵抗……」
謎の人物は冷たく言い放ち、光に襲いかかる。
「させるかー! ロボ美は、俺が守る!」
光は謎の人物の攻撃を間一髪でかわすも、すぐさま次の攻撃が迫り来る。反撃の機会を伺う間もない。
「社長……ここは、私と、黄金さんで……」
愛が光に加勢を申し出ようとした、その時だった!
「いや、ここは、あえて、光に任せよう」
黄金 輝は、愛の言葉を遮り、意外な提案をする。
「黄金さん……?」
愛は、黄金 輝の真意を理解できず、困惑する。
「光のロボ美への想い……その強さが、今、試されているのだ……」
黄金 輝は真剣な眼差しで、光と謎の人物の戦いを見つめながら、呟く。
「ここは、俺たちの出番じゃない。光と、ロボ美の、愛の力……それを、信じるんだ……!」
「愛の力……」
愛は、黄金 輝の言葉に、何かを感じ取ったようだ。
一方、光と謎の人物の戦いは、ますます激しさを増していた。
「くらえ! 必殺! ナルシスト……パンチ!」
そう叫び、光は渾身の力を込め、謎の人物にパンチを繰り出す。
しかし、その拳は謎の人物には届かず、空を切る。
「無駄……ダ……」
謎の人物は光の攻撃を、まるで子供の戯れのように、軽々と見切り、反撃のパンチを繰り出す。
「ぐはっ……!」
光は謎の人物の強烈な一撃を受け、地面に叩きつけられる。
「社長……!」
愛は思わず叫び声を上げる。
「光……しっかりしろ……!」
黄金 輝もまた、心配そうに光へ声をかける。
「くそっ……なんて、強さだ」
光は苦悶の表情を浮かべながらも、ゆっくりと立ち上がる。
「ロボ美……俺は、絶対に、お前を……」
光は再び謎の人物に立ち向かおうとするが、その時、彼の脳裏に、ロボ美と過ごした数々の思い出が、走馬灯のように蘇ってきた。彼女の笑顔、優しい言葉、そして……
「そうだ……俺には……守るべきものが……ある……!」
光はロボ美との思い出を力に変え、不屈の闘志を燃やし、再び立ち上がる。
「ロボ美のためなら……俺は、何度でも……立ち上がる……!」
光は決意を新たに叫んだ。
光のその言葉に呼応するように、ロボ美の胸の奥で何かが輝き始めた。
「光……さん……」
ロボ美は、傷つきながらも戦う光の姿を見つめ、力なく呟く。
「その輝きは……!?」
謎の人物はロボ美の胸の輝きに気づき、初めて驚愕の表情を浮かべる。
「ロボ美……その輝きは……まさか……!?」
黄金 輝もまた、ロボ美の胸に灯った、その輝きの正体に気づき、驚きの声を上げる。
「感じる……感じるぞ……! ロボ美の……心の……輝きを……!」
光はロボ美の胸の輝きを感じ取り、自身の体に力がみなぎってくるのを感じた。今なら、どんな相手でも倒せる、そんな確信があった。
「ならば……!」
光は意を決し、懐から一枚のハンカチを取り出した。
「それは……まさか……!?」
愛は光が取り出したハンカチを見て、驚きの声を上げる。
「ああ……これは……ロボ美が、初めて、俺に、プレゼントしてくれた……ハンカチだ……!」「このハンカチに、誓って……俺は、絶対に、お前を、倒す……!」
光は、そのハンカチに優しく口づけをしてから、力強く握りしめ、謎の人物に叫ぶ。
「何……ヲ……バカ……ナ……」
謎の人物は、初めて見せる光の気迫に押され、思わず後ずさりする。
「いくぞ! 必殺! 愛と! 輝きの! フュージョン……パンチ!!!」
光はハンカチを拳に巻きつけ、渾身の力を込め、そしてロボ美への愛を胸に、謎の人物に突進する。
「バカ……ナ……! コノ……私……ガ……」
謎の人物は光の突進を防ぎきれず、愛と輝きを纏った、その強烈な一撃を受けてしまう。
「グ……ア……ァ……ァ……!」
謎の人物は苦悶の表情を浮かべ、断末魔の叫びを上げ、その場に崩れ落ちる。
「やった……のか……?」
光は荒い息をつきながら、力なく倒れた謎の人物を見つめる。
「ロボ美……! 無事か……!?」
光は謎の人物のことなど目もくれず、すぐにロボ美に駆け寄る。
「光……さん」
ロボ美は光の顔を見つめ、安堵の表情を浮かべる。
「無事で……よかった」
光は震える手で、ロボ美を力強く抱きしめる。
「ふふ、やるじゃない、光」
黄金 輝は光とロボ美の姿を見つめ、父親のような、満足げな笑みを浮かべる。
「社長……ロボ美ちゃん」
愛は涙を浮かべながら二人を見つめる。
「一件落着……って、あれ? 謎の人物が……いない!?」
ハニーイエローのその言葉に、全員がハッとする。
「な、なんだってー!?」
光は周囲を見回すが、そこには既に謎の人物の姿はなかった。
「逃げられたか」
アイスブルーは冷静沈着に状況を分析する。
「まあ、いい。今は、ロボ美が無事だったことを、喜ぼう」
黄金 輝はそう呟くと、光とロボ美に優しく微笑みかける。
こうして、光たちの活躍により、ロボ美は無事に救出された。しかし、謎の人物は逃亡し、その正体と目的は依然として謎に包まれたままである。
果たして、彼らは再び光たちの前に姿を現すのか? そして、その時、一体何が起こるのか?
「ところで、社長、その、手に持っているものは……?」
豪のその一言で、全員の視線が光の手に注がれる。
「これは……その……」
光は手に持っていた謎の物体をしげしげと見つめ、言葉を濁す。
「まさか……社長……! それを、使ったんですか……!?」
愛は光の手にある謎の物体を見て、驚愕の声を上げる。
「いや……これは……その……」
光はバツの悪そうな表情で頭を掻く。
「ふふ、どうやら、これが、今回の、秘密兵器だったようね」
ホットピンクが意味深な笑みを浮かべながら、光に問いかける。
「実は……その……」
光は観念したように深いため息をつき、そして手に持っていた謎の物体を皆に見せた。
「って、それは……!?」
全員が驚きの声を上げる。
光の手には、なんと、巨大な、そして、奇妙な形をした、"ハリセン" が、握られていた!
「その名も……『愛と! 輝きの! スーパーハリセン』だ……!」
光は、恥ずかしそうに、しかし、どこか誇らしげに、そう宣言するのだった。