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左右で目の色が違う子供は“禍の子”と呼ばれる。オッドアイは、調和を乱す不吉の象徴とされているからだ・・・。
俺は左右で色の違う両目が、幼い頃から大嫌いだった。ちぐはぐで、気味が悪くて・・・そしていつも俺に孤独を突き付けてくる。
「汚らわしいっ!!」
「我等の前に姿を見せるなっ!!」
「忌々しい“禍の子”めっ!!」
同族達は皆俺を不吉だと忌み嫌い、甚振った。危険な魔術の実験道具にされる事もよくあった。
家族からの愛情も受けた事が無かった。向けられるのは、唯々憎悪の籠った目だった。
「こっちを見ないで!!お前のそのオッドアイで見つめられると・・・気持ち悪くて仕方が無いのっ!!アーシェ・・・お前なんか、産まなければ良かった!!」
母は俺に罵倒を浴びせながら、俺の左目に思い切り杭を突き立てた。激痛を堪えその場を去った俺を待ち受けていたのは―
同族の者達からの死刑宣告だった。
「アーシェ・・・お前はヴァンパイア族に害悪をもたらす“禍の子”だ。この世から消えて貰う。」
同族達が俺を殺そうと一斉に身構える。情け容赦の無い冷酷な殺意が、空間を支配していた。
死にたくないっ!何故俺ばかりこんな目に遭わなければならないんだっ!!
生きたいという強い生存本能と同族達の殺意に対する激しい怒りが溢れ出して抑え切れなくなり、俺は自身の中の魔力を解放した。黒い刃は同族達を斬り刻み、瀕死に到らしめた。
殺されるのは真っ平御免だ。こんな所、さっさと出て行ってやる。
俺は左目を包帯で巻いて隠し、遠くの地を目指して逃げだした。そして行く宛も無く彷徨い続けた。一匹狼のヴァンパイアを行く先々の人々が歓迎する筈も無く、俺を恐れた人間達は俺を排除しようと武器を手に取り襲い掛かって来た。俺はその度返り討ちにし、人間達の血を飲み干していった。そんな事を繰り返し歩き続けた末に辿り着いたのが、この廃墟だった。この廃墟は居心地が良かった。煩わしい怨嗟の声を聞く必要も無いし、とても静かだ。俺は此処に居座る事にした。それから400年・・・俺はずっと、この廃墟に1人きりで生きてきた。大嫌いな己の瞳から、目を逸らし続けながら・・・。




