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勇者の成長

勇者として、私が国民に宣言したあの日から、本格的に座学と実技を学び続けて5年余りが過ぎた。

この5年の修行の間に、私はいつの間にか、ラウルとセシル、ガレスを攻略していた。


いや、なんで??

直接私が攻略をしていった覚えはないのだが、強いてあげれば、ダンジョン攻略での‘何か’だろうとは思う。

だけど、‘攻略’なんてする要素なんか、私は何もしていないはず、、、


このゲーム、RPG風恋愛シミュレーションゲームと言ったが、勇者軍と魔王軍がただ戦うだけっていう単純なゲームということでもない。それだけでは戦闘力のレベル上げが行き詰まるし、好感度上げも戦ってばかりじゃ膠着するだろう。

そのため、というかまぁ、これもゲームでよくあるだろうけど、日常生活でのイベントとかでふとした会話に選択肢を持たせたり、ミニゲームとして幾つかのダンジョン攻略を、攻略対象者と行うものがある。

これは、攻略対象の仲間たちと一緒に魔王討伐のレベル上げをするだけじゃなくて、恋愛要素のお決まりとして、好きなキャラの好感度を上げる目的がある。

因みに、ダンジョン自体は昔からこの世界に幾つかあるんだけど、これは負の感情が溜まると活性化するっていう設定がある。一応、魔物と魔人族の間に因果関係はないと偉い人は言ってるけど、ヒト族の皆んなはそう思っていないよね。だって、魔王が宣戦布告したタイミングでダンジョンが活性化するし、どっちも‘魔’が付くんだから、何かしら関係があるんだって、思っちゃう。

セシルたち3人もそう思ってたらしいんだけど、ちゃんと説明したら納得してくれたし、負の感情を抑えることでダンジョンの魔物も倒しきれて、1つ目は完全攻略できた。


だから、ってことはないが、何故か軒並み全員の好感度が上がってて、私をとても慕ってくれている。

いや、だからなんで??

一緒に魔物討伐してただけなのに……??

私に惚れる要素なんて、何一つなかったのではなかろうか、、、??それに、まだ物語の始まる前、10歳に満たない子ども、私。。。

セシルはまぁ、何となく理解できる。魔物攻略時にズッコケて魔物に襲われそうになったところを助けたという実態があるから。

でも、それだけであんなキラキラした目で見るようになって「イリス様、貴女のその勇気に、私は助けられました、、、!!」なんて、言い出してくるなんて、理由が見当つかないし…というか、セシル、私は女勇者であって、男勇者ではないんだが、それでいいのだろうか、、、??

ラウルはまぁ、元々チョロインってだけはあるから、何が琴線に触れたか私もわからないけど、ダンジョンの完全攻略が終わった時には、私を見つめて「イリス様、君の強さは知っていたつもりだった。。。だけど、そんなことはまやかしだった。僕たちを守る、君の優しさで攻略できたこのダンジョン。まさしく君は、真の勇者だ。」って、言い出すし、、、いや、急に真の勇者って、なんか怖い。。。

ガレスなんて、ダンジョン攻略の時は無口で私と話すなんてこともなかったというのに、黙々と魔物を倒していただけで、何故か好感度が上がっていた。

「イリス様、貴女様の強さに追いつけるよう、私はこれより誰よりも、何よりも、精進いたします。」って、声高に宣言しだしたし。

いやいや、このダンジョン自体初級者向けで、私たちのレベルなら攻略できるようにされているはずのもの。それにも関わらず、こうも持ち上げられる要素が皆無すぎて、理解が追いつかなかった。

だけど、もう今は彼らの奇怪な言動には諦めて、次のダンジョンに進めるよう、レオン様に更なる訓練をつけてもらっている。そして、私の場合は魔法も使うので、その理論や応用をエリオット様の推薦した元魔法師団長に稽古をつけてもらいながら過ごしている。



でも、今のままでは中級のダンジョンには、私たちは行けない、、、

それは、現在の私たちの布陣が、前衛と後衛のみ。中衛が、何故だかいないのだ、、、



本当は、このまま魔王討伐のパーティーにもなれそうなほど私たちの連携の練度は上がっていた。実際私も、あの頃の弱々しい小娘からは卒業して、初級ダンジョンの魔物であるが、一撃で倒せるほどに戦えるようになっている。

だけど。。。前衛と後衛、私とガレスが突っ込んで、ラウルとセシルは後方での支援魔法と回復魔法。中衛がいないことで、やはり連携に中途半端さを感じていた。

そんな気持ちは彼らにもあったみたいで、エリオット様やレオン様に、このままではパーティーとして成立しない、中衛を必要とする考えはあるのかって聞いてくれていたみたい。


すると、やはりゲームの設定どおりというか、中衛のキャラでもある貴族のセドリックと以前お会いした王女であるリディア様が候補にいることを教えてくれたんだそう。

だけど2人は、私たちと違って身分もある人たちだから、こちら側との訓練を始めるとしても、私の年齢が上がるまで会わせるべきでない。なんて国の重鎮が宣ったんだそう。

要は、何をしでかすかわからない子どもだから、分別のある年齢になるまでは、信用出来ないんだとか。というか、身分の低い素性の怪しい勇者たちと会わすことを渋ったんだとか。。。

いやいや。勝手に勇者候補とお供候補にしといて、自分勝手な人たちではないだろうか?

それに。。。

そんなことをしてたら、旅立ちの日に初対面することになって、何も出来ないまま出発することになってしまう。。。ましてや、ダンジョン攻略も全て終えてない状況で旅立っても、魔王を討伐するなんて、夢のまた夢なのだが、それは彼らは理解しているのだろうか、、、??

そんな状態では、魔王のところまですら、行き着くはずがない。だからエリオット様たちが交渉をして、頭の固い重鎮たちを説得してくれたんだって。


本来は魔王と戦えるようになるのに、10年という期間しかないにも関わらず、旅立ちまでに勇者との連携が取れない状況はおかしいのでないか?そう、エリオット様たちが話した結果、分からず屋との妥協点を探してくれたんだそう。

初対面のタイミング。これを私たちの旅路まで残り5年となった、今の頃合い。私が10歳となり、大人に近づくタイミングで顔合わせをするというもの。これくらいなら、分別のある子どもには成長しているだろう、という妥協点。

そして戦技訓練の連携に至っては、、、

顔合わせを済ました後は、どのように連携の訓練をしていくか、会ってみないとわからないので、その状況で判断しましょう、と濁してくれたみたいなのだ。

だから、私が今度の誕生日に10歳になる次の日に、初対面が予定されているんだと教えてくれた。


けれど、エリオット様やレオン様も、決まりが悪かったようで、どう私たちに話そうか悩んでいたら、ここまで来てしまったんだって、、、いやいや、悩みすぎですよ。ズバッとスパッと、私たちに話してくれればこんなに気を揉むこともなかったんだよ。。。?

でも。。。

「イリス様たちの、各個人の成長が、著しい状況なのです。我々の想定以上の速さで強くなっておいでなので、この後の強化計画なども、行き詰まり始めておりました、、、」

「パーティーの連携に至っては、我らが教示できることが少なくなるほど、とても良いものになっておいでなのです。。。反対に口を出すことで、今の連携を壊しかねないほど、完成されております。。。」

「そうだとしても、中衛の方々に会わなければ、私たちも行き詰まってしまい、精神的にも疲弊するではないですか。普段はしっかりと私たちを導いてくださるのに、この様なところで尻込みなさらないでくださいよ、、、」

ガレスが突っ込んで呆れていた。

騎士であるガレスは当然だが、ラウルやセシルも、戦闘に関して才覚がある。自分たちの戦いやすい環境の最適解をいつも模索しているのだ。それならば、中衛の必要性や、戦闘のバリエーションなどにも考慮くるだろう。

やはりエリオット様たちは、育成計画の行き詰まりを感じていると言っていても、それを私たちに話してくださらないのは、まだまだ子どもとしてしか、私たちを、捉えていないのだ。

「私たちは勇者パーティーになる予定です。今のまま中衛もなく訓練を続けていけば、それこそ、戦い方での行き詰まりが出てしまいます。ですので、本来は連携についても、早期に訓練すべきだと思っていました。」

「我々の尻込みが、貴女方の成長を停滞させていたとは、大変遺憾の極みでございます。ただ、今の貴女方は、一人ひとりが、騎士としての平均的な成人男性以上の強さになっているのです。その上で中衛との邂逅をしなければならず、どの様な有り体を説明すべきか、決めあぐねておりました、、、」

なんと、気づいていないだけで私たちの成長は、実際そこまで進んでいたのか、、、

勝手に私は、騎士の中でも新人レベルだと思っていた、、、

12歳のラウルと、15歳になるガレスがとても強くなっていたのは感じていた。だから、ってことではないけど、それに劣っても対等に渡り合うセシルや私も、ある程度の強さなのだろうと、低く見積もっていたのだ。だけど、もう、だいぶ前に進んでいたのか。。。


エリオット様たちは確かに、私たちに心を砕いてくれている。だけどそれは、一般的な目線で立って、である。通常の訓練では間に合わないのだ。。。

勇者の、世界を魔王と取り合う存在のレベル上げにおいては、周りも未知数なことがあるのだろう。

こんなにも、予想が良い方で外れるのか。。。

だけど、魔王に勝てるほどの強さには未だ至っていないのは事実。私たちは、中衛候補に会うことを、とても心待ちにすることになった。。。

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