↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/186

31話 闘技大会④~初戦の相手がCランク戦士で、微妙だ。


 

 トーナメント表が発表された。


 魔法によって、全出場者の視覚に送り込まれて来たのだ。

 ただし、ラプソディとハニは初め、敵からの視覚攻撃と解釈し、排除していたが。


 レイは、トーナメント表を確認する。親切なことに、レイの名が赤字で記されていた。

 つまり、トーナメント情報を送り込んでいる視界の主の名が、赤字になるようだ。


 1回戦のレイの対戦相手は、聞いたことのない名だ。

 続いてレイは、主要な人物の位置を確かめた。


 トーナメントのブロックは全部で4つ。

 まず、ラプソディだ。

 ラプソディは、レイのいるブロックからは、決勝戦を挟んで『向こう側』のブロックにいた。よって、ラプソディと当たるとしたら決勝である。

 ハニは、レイのいるブロックの、隣のブロックだ。当たるとしたら、準決勝ということになる。


 オルとイワンは、どうか? 

 イワンは『向こう側』のブロックで、ラプソディの隣のブロック。つまり、2人が順当に勝ち上がれば、準決勝でぶつかることになる。


 問題は、オルだ。

 なんの嫌がらせか、オルはレイと同じブロックにいた。

 順当に勝ち進むと、レイは準々決勝でオルとぶつかることになる。


(SSSランクの戦士と、戦うのか。悪い冗談だな)


 さらに、謎の透明化する出場者も、トーナメント表のどこかにいるはずだ。


(とにかく、いまは1回戦を突破することだな)


 試合の出場者は、自分の番が来るまで控室で待機する。

 この控室は複数あった。対戦相手が同室にならない配慮だろう。もちろん、同じ控室に集まってもいいわけだ。

 レイ、ハニ、サラの3人で、一つの控室を独占した。


 控室には窓があり、戦闘フィールドを見ることができる。

 はじめに戦うのは、ラプソディの組み合わせだった。

 そのため、ラプソディと対戦相手だけが、戦闘フィールドに残った。


 対戦相手は、片手剣を装備した男だ。

 1回戦からラプソディと当たるのだから、くじ運のない男である。


 戦闘開始の合図に、銅鑼が鳴らされた。

 

 観客が湧く。レイ達も、控室の窓から見守る。


 片手剣の男が、ラプソディへと突撃する。

 ラプソディはあくびをしながら、待ち受けた。

 

 片手剣の男が攻撃に移る。それよりも速く、ラプソディのデコピンが放たれた。

 片手剣の男は、デコピン一発で吹き飛ばされ、戦闘フィールドから転げ落ちる。すっかり伸びていた。

 試合終了。


「……ラプソディ、容赦がないな。片手剣の男は、デコピンで負けてしまった。あれはもう、立ち直れないんじゃないか」


 レイが嘆くと、ハニが言う。


「ラプソディ様が手加減しなかったら、片手剣の男なんて、瞬殺されているからね。片手剣の男は、あれでも命があるだけ幸運だよ」


「それも、そうか」


 ラプソディが、レイたちの控室に入って来た。


「敵が弱すぎて、つまらなかったわ」


「……まだ1回戦だから」


 こうして、命がけの試合が、進行して行った。

 4つあるブロックの中で、レイのいるブロックが最後だ。

 レイは、自分の試合への緊張感を抱きつつも、様々な試合を観戦する。


 1回戦6試合目で、イワンが出て来た。

 イワンは〈アイス・ランス〉を放ち、対戦相手に致命傷を負わせる。対戦相手の戦闘不能で、イワンの勝利となった。

 ちなみに〈アイス・ランス〉とは、〈アイス・ニードル〉の上位魔法だ。


 1回戦9試合目で、ハニの出番となった。

 ハニは、対戦相手に対して、〈ファイヤ・ボール〉を連射。

 対戦相手は、連射される〈ファイヤ・ボール〉を避けて行く。

 しかし、これがハニの狙いだった。避け続けた結果、ついに対戦相手は、戦闘フィールドから落ちてしまったのだ。


 勝利したハニが、控室に戻って来る。


「やったな、ハニ」


「楽勝すぎるよ。ボク、準決勝まではヒマそう」


「準決勝?」


「オルが出て来るでしょう」


「なるほど」


 ということは、SSSランク同士の戦いが見られるというわけか。


(このコロシアム、崩れるんじゃないか)


 レイとハニの会話を聞いていたラプソディが、叱りつけるように言う。


「こら、ハニちゃん。準決勝に勝ち上がって来るのは、オルではなく、レイでしょ」


 レイは冷や汗をかいた。


「ラプソディ。おれを高く買ってくれるのは有難いが、オルに勝てる見込みはないぞ」


「では棄権するの?」


「いや。冒険者たるもの、戦わずして負けを認めることはできない」


 ラプソディが、レイに抱きつく。


「さすがよ、レイ。カッコいいわよ!」


「そうかなぁ……」


 ハニが呻いた。


「これが、バカップル」


 こうして、1回戦13試合が来た。

 レイの出番だ。


 レイの対戦相手の名は、ホブ。

 30代の男で、変わった剣を持っていた。鞭状が連結して、剣の刃となる。つまり、剣としても鞭としても使える、ブレードウィップだ。

 かなりの戦士でなければ、使いこなせない武器だ。


 戦闘フィールドに向かう前に、ラプソディがホブをスキャンした。


「ホブのステータスだと──Cクラス相当の戦士ね」


「Cクラスか……敵にとって、不足はないな」


 戦闘フィールド上で、レイとホブが向かい合う。

 銅鑼が鳴った。

 レイは両手剣を構え、ホブと距離を取る。ひとまず、ホブのブレードウィップの動きを見るつもりだった。


 さっそく、ホブが攻撃を仕掛けてくる。

 ブレードウィップの刃の連結を解除。鞭状となる。当然、射程距離も伸びる。この鞭が、レイを狙ってきた。

 鞭の動きは、まるで生きているかのようだ。


「行くぞ!」


 レイは姿勢を低くして、駆けだす。

 鞭の切っ先が、レイに向かって来る。それを紙一重で回避。

 そこから、さらにダッシュ。


 ホブは鞭を連結し直し、剣に戻した。


「いまだ、〈爆裂斬〉!」


 リガロンから教わった必殺技スキルで、ホブの剣を弾く。

 これによって、ホブの胴体が、がら空きとなった。

 この隙を逃してはいけない。


 レイは、渾身の斬撃を放つ。


 並みの相手では、殺してしまう破壊力だ。

 しかし、ホブはCクラスの力量があるという。ならば防御力も高いだろう。防御力が高ければ、ダメージも軽減する。よって、胴体が切断するようなことはあるまい。

 もちろん、〈茨道改〉を放っていたら、話は別だったろう。だから、ただの斬撃にしておいたのだ。


 レイの斬撃が、ホブの胴体に減り込む。


「ぐわぁぁあぁあぁぁ!」


 ホブは吹き飛び、仰向けに倒れた。斬撃の剣傷からは、激しい出血が起こる。もう戦える状態ではない。レイの勝利だ。


 ホブのもとに、彼の友人らしきヒーラーが駆け付けた。さっそく回復魔法を始める。

 命に別状はなさそうだ。


 レイは、控室に戻った。

 ラプソディが抱きついて来る。


「さすが、あたしの旦那さんね! もう、レイはAランクのレベルよ!」


「冒険者カードには、いまだEランクとあるけどな」


「冒険者カードに書いてあることなんて、デタラメね。破いてしまいましょう」


「よせ! 破られたら、失業だ!」


 こんなことをしているうちに、1回戦16試合目となった。1回戦は、これが最後の戦いとなる。


 戦闘フィールドに出て来たのは、オルだ。


 オルの対戦相手は、レイと同じ両手剣を装備した男。アレクという名だ。

 レイは、「あっ」と思った。


「見過ごしていたが、オルの対戦相手は、前回優勝者だぞ」


 ハニが、アレクにスキャン魔法を使う。


「へえ。アレクという男、やるね。Aランク戦士というところだね。とくに攻撃力は高いよ、レイを超えるかも」


 レイは、攻撃力にひたすら特化した身だ。そんなレイを上回る攻撃力とは。


「竜人のオルも、苦戦するのではないか?」


 ラプソディは小首を傾げる。


「それは、どうかしらね?」


 銅鑼が鳴った。

 そして──。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。