↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロストソング  作者: 雪那 由多
23/38

兄登場!

新年最初の投稿なのに酷いタイトルだと思いますが、よくよく考えればましなタイトルは少ないので今年もこんなノリででいきたいと思います。

今年もよろしくお願いします。

 最初に室内に入って来た男性とそれによく似た少し控えめな服装をしている三人の男は村で見た事はなかったけどこの王都に来てから見ない日はないと言う位見かけたこの国の騎士団の制服を纏っていた。


「学園長御無沙汰してます」

「シュヴァインフルト第五部隊隊長もお噂は届いておりますぞ」


 言いながらも二人は握手を交わして、学園長は何処かで聞いた事のある家名の男に椅子を勧めていた。

 良く知ってる奴に似ていて、何所か聞いた名前……


「そうだ、ヒューイだ」


 思わずシエル先生に確認してしまえば正解と指でわっかを作ってくれた先生と苦笑する学園長。

 ちょっとびっくりしたようなヒューイに似てるような気のする人と目を吊り上げる背後の二人。

 うーむ、危険ワードだったかと視線を反らせてしまうも反らせた窓のガラスの反射を利用してまで睨んできた。

 こえーよと心の中でシエル先生に向かって訴えれば


「フィール君、少し部下の人を落ち着けさせてね。

 ファロード君は学生なんだよ?」

「シエルは何時まで経っても変わらないなぁ」

「ふふふ、ブレないのがシエルの美点なのだよ」


 二人は知り合いと言う様に笑いあう二人。


「知り合いなの?」

「昔の学友でヒュアラン君のお兄様よ。

 学年上位を争うフィール君と最下位を争うシエル先生と言う謎のコンビは名物だったんだよ」

「足して二で割れば平均の法則かよ……」


 思わず突っ込むも


「だけど、最後まで私は魔術剣術体術面で総てシエルに勝てなかった」

「そこがシエルの最大の魅力なのだよ。だから君は今もシエルに勝てないまま。

 だから友達でいられるんだよ」


 惚れちゃだめだぜなんているシエル先生にヒューイ兄は苦笑するもその後ろの人達は目を吊り上げている。


「大丈夫だよ。一応これでも跡取りなんだ。

 伝説のシエル様みたいな危険人物に父は友達以下になる様に今も進められてるくらいだからね」

「むー、ちょっとしたお茶目だったのにね」


 失笑しているきっと事件その場にいただろうヒューイ兄はそれでも場を切り替える様にお茶を一口飲む。


「それで学園長、先ほど連絡させていただいた通り彼がそうなのですか?」


 面白そうな顔で俺を見上げる視線は確かにヒューイとよく似ていた。


「彼はファロード・アズリル。

 君の弟と同じクラスメイトでヴァイナス騎士団長推薦で入園している」


 一瞬目を見開き、一つ息を飲んでゆっくりと口を開いた。


「君が……

 噂はヒューイから聞いてるよ。面白い友達が出来たと報告を受けた。

 早速会えて光栄だ」


 差し出された手を見て少し考えながらも握手をする。

 主に後ろの二人が怖かったと言えばそれまでなのだけど。


「握手する習慣がないので失礼しました。

 俺もヒューイからいろいろ噂を聞いてます」

「ほう?」


 少しだけ面白そうな視線が何をと聞くので


「魔石を投げつけられて星が見えたとかそう言った話」

「あのバカ……

 帰ったら〆る……」


 両手で顔を隠しても恥ずかしさから赤く染まる耳は隠しきれない様子に何やら背後に立っている二人まで顔を赤くしているのは割愛しておく。


「兄弟仲良きことは素晴らしきかな。

 そろそろ報告をしようかの?」

「ああ、すみません学園長」


 そう言って学園長は俺をすぐそばまで来る様に手招きする。

 学園長の隣に立つようにリマに誘導されればヒューイ兄が見上げてきた。


「緊張しないでいくつか質問に答える簡単な調査だから協力をお願いするよ」

「はい」


 言えば背後の二人が何やら立ったまま板の上に書類を置いてメモを取る体勢に入っていた。


「本日半刻ほど前だね。

 学園から騎士団でも測定できるほどの魔力が発動された様子だが、君が原因で間違いないかい?」

「ちょうどその頃シュトルムカイザーって魔法を使ったな」


 思い出すように顎に手を当てながら言えばヒューイ兄の後ろの二人はあからさまにむっとした顔になった。


「シュトルムカイザーを使えるのか、すごいな。

 ちなみにヒューイは使えないし、私もあの長い呪文を覚えるにはずいぶん苦労したよ」

「ああ、なんかすごくめんどくさい位に長い呪文だから大体いつもは詠唱破棄して使ってるから……なんて呪文だったか忘れたな」


 さすがにやばい、レイに知られるとまずいと思わず焦るも


「詠唱破棄してって、それであの威力?」

「ファロード君、シエル先生は詠唱破棄できるけどフィール君はまだ詠唱破棄して発動できないみたいだからそっとしておいてあげてね」

「シエルうるさいよ」


 少し涙目のヒューイ兄はシエル先生に向かって口を尖らせるもシエル先生はニコニコとするだけ。


「さすが騎士団長様推薦の子だと感心したんだけどね、どうも騎士団長様の知り合いの知り合いの遠い知り合いの子らしくってねぇ、まだ二人とも面会した事がないんだって。

 推薦状のお礼がしたいって言うから面会する事は出来ないかな?」

「それは私の方からお伝えしよう。

 悪いが、騎士団長は分刻みのスケジュールで面会を入れる時間は今の所難しいんだ」

「ひょっとしてまだお隣さんのいざこざに巻き込まれてるの?」

「いざこざだったらまだましさ。

 別のお隣さんとの問題がそのお隣さんの主家さんが立ちあがって国際問題になってな。

 金銭的にかたがつきそうだからいいが胸糞悪い話でって、一般市民が聞くような話では居な」

「ああ、うん。

 でもシエルその辺は知ってるから問題ないよ。

 ひきこもり主家さんの所が相当できるらしくってシエルも聞いた時耳を疑ったぐらいの金額を要求して、お馬鹿さんがサインしちゃった話しきいたよ。

 騎士団長が値引き交渉って言う後始末してるって言う噂も聞いてるし、表向きはお隣さんの支援金って事になってるとか、国境沿いのお馬鹿さんの領地をお隣さんの土地になったとかこれこそ庶民が知らない方が良い話だね」


 どれだけ何を知っているのだろうかその情報量にヒューイ兄は表情を硬くし、後ろの二人にメモに書くなと手を上げて止めていた。


「どこから聞いたその話……」

「現地に行けばみんな知ってるよ。お隣の村人さんが話してくれたけど土地はいらないから目先のお金でいいから書面の金額をちゃんともらいたいってぼやいてた」

「油断ならない村人だな」

「シエルが押されるぐらいの凄腕って言うか、村人さんの標準戦闘力が全員シエル並みってすごい可笑しな村だったよ!」

「シエルみたいなのが何人もいるんじゃ変態の住処だな」

「シエルは多分そこの生まれだったんだよー」


 二人は一見無駄話にも聞こえる冗談のような恐ろしい話をポンポンと交わしている。

 学園長も初耳だったのか顔を青くしてるし、書記の二人も顔を青くしている。

 楽しそうな会話の口調なのに二人の目はものすごく真剣でお互い何所まで知っているのか確認しているようだった。

 少し考え込んでいたヒューイ兄だったが顔を上げたかと思えば俺を見て


「よければ今度騎士団に遊びに来ると良い。

 シュトルムカイザーの無詠唱の実演を依頼したい。

 若手騎士団に見本を見せたいんだ」


 私も含めてねとはにかむ様に笑う顔は確かにヒューイの兄だった。

 

「さて学園長、長くお時間頂いて申し訳ありません。

 そうそう、ファロード君。

 悪いけど魔力値だけはちょっと計らせてもらいたい」


 書類に必要なんだと言って綺麗に磨かれた魔石を頑丈そうな箱から取り出して手渡してくれた。


「使い方は入園初日に魔石で計った時と同じように魔力を少し流して貰えればいい」

「ファロード君良かったね。

 初日体調悪くてちゃんと計れなかったからここで一度自分の魔力の持ち量を知っておこうね」

「りょーかい」


 俺の口調に背後の二人にまた睨まれてしまった。

 一体何がいけないんだと感じわるーとさっさとやって帰ってもらおうと魔力を流せば

 

パリン……


 涼しげな音が学園長の室内に響いた。

 他人の物を壊してしまったと焦る俺と、そんな事があっていいのかという書記官二人。

 壊れる事がないはずの物が壊れてあっけにとられた残りの三人の無言の空間の中いち早く動いたヒューイ兄は


「おかしいな、ヒビでも入ってたのだろうか?」


 こんだけ粉々に砕けてヒビはないだろうと心の中で突っ込むも、何故か全員そろって


「何だ、ヒビでも入ってたのか」

「フィール君は意外と物を乱雑に扱うからどこかでぶつけたんじゃないの?」

「不備があった事を管理局に文句言っておきますね。

 ファロード君も怪我はなかったかな?」

「ガラスじゃないから大丈夫です」


 なるべく被害者ぶって手の上に乗ったままの破片をどうしようかと思うも、ちゃんと取り出した時に使った箱に入れるように差し出されたからわりと丁寧にその箱の中に砕けた魔石を入れたと同時に書記の人が床に砕け落ちた魔石を拾って箱の中に入れていた。

 リマも慌てて箒と塵取りを持ってきて丁寧にかき集めてくれていた。

 素晴らしいのは余計なごみは一切なく魔石の欠片のみ集めたという所だろうか……


「でも何も調べられなかったって言うのはさすがにまずいな」

「俺全属性使えるって言うのは判ってるからそれだけでいいんじゃないかな?」

「素晴らしい。全属性使えるとなるとますます騎士団に欲しくなる人材だな。

 是非ともヒューイと一緒に騎士団の門を叩いてくれる事を願っているよ」

「まだそこまで将来の事考えてないけどヒューイは一番の友達なので」

「そう言ってもらえると兄として鼻が高いよ」


 そもそも友達と呼べる間柄が片手もないとは言えないが、喜んでくれるなら良しとしよう。


「ですがこの室内にいた方全員約束をしてほしい。

 先ほど私とシエルが交わしていた世間話しは他言無用お願いします。

 学生であるファロード君もうっかりヒューイと話をしてしまうかもしれないが、あいつにはまだ聞かせたくない話だ。

 これからお隣とどういった付き合いになるか判らない以上、弟を戦争に巻き込むような事態にはさせたくない。

 協力をお願いする」

「戦争は俺もまっぴらだから協力はするけど、なんかのはずみで話してしまった時は勘弁してくれ」

「いや、そこまで言ってくれれば問題ない。ありがとう」


 兄として頭を下げるヒューイ兄にちょっとだけ尊敬してしまうも、その背後が帳消ししてしまう視線に俺はどうにかならないのかとシエルを見るも知らないと視線を反らされてしまった。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。