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9話

それからも吉継様は牢を訪れては世間話をして去っていく日々を続けました。


そんなある夜のことです。


「初、ここでの生活はつまらくないか?」


「はい、大丈夫です。不自由なく過ごさせていただいております」


「何か、趣味とやらはないのか?」


「そうですね・・・。言葉を書くことは好きです」


「そうか・・・」


吉継様はそう言うと、去ってしまいました。


そして、その次の夜。


吉継様は墨と筆とたくさんの紙を持ってきてくださいました。


「吉継様っ・・・このような高級な物を私なんかが・・・」


吉継様が持ってこられた紙はなかなか手に入らぬ品であり私なんかが使用していい物ではない。


「いい、それは私が使わず余らしているものだ」


「ですが・・・」


「明日は満月だな」


「もうそのような時が経っていたのですね」


「初、もう1度問うが死ぬのは怖くないのか?」


吉継様は1つ前の満月の夜と同じ問いを私にしました。


「本当のことを言いますと怖いです。ですが、それ相応の罪を犯してしまったので」


私は精一杯の笑みを作りました。


「そうか・・・」


そう言ってまた吉継様は去っていきました。



「お初は死なせない・・・っ」


吉継にとって先のお初の笑みは悲しい笑みにしか見えていませんでした。


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