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10話
2度目の満月の夜から吉継様は口数がとても減りました。
それに、いつにもまして疲れているようにも見えます。
―――何かあったのでしょうか・・・
お初は心配でたまりませんでした。
幾度となく問いかけをしても清継様はそれに応えることなく、
淡々と日は過ぎていくばかりでした。
そして3度目の満月の夜まであと2日ほどでしょう。
清継様に頂いた紙が残り少なくなってしまいました。
そして清継様が牢に姿を現さなくなり、3日経ちました。
お初は、牢に入って初めて寂しいという感情を抱きました。
そして、その晩も吉継様が現れることなく翌日の夜を迎えました。
すると久しぶりに、上の方から足音が聞こえてきたのです。
お初は期待に胸を膨らましました。
ですが、現れたのは吉継様ではなく清継様でした。
清継様はたった一言冷たく言い放ちました。
「明日の夜、刑の執行だ」
分かっていたこと、頭の中で整理をしていたつもりでしたが、
やはり現実を突きつけられると、恐怖というものを感じるのです。
しかし、お初が味わった恐怖とは「死」の恐怖ではなく
吉継様に2度と会えないかもしれないという「絶望」という名の恐怖でした。
お初は、牢に入って初めて涙を流しました。
「吉継様・・・・・・」
お初は静かにつぶやき、残り少ない紙と筆を手に取りました。




