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ワンスは今一度、状況整理を兼ねて、更新すべき情報がないか周囲に聞き耳を立てた。
するとどういうわけかは知らぬが、情報は案外近辺から舞い込むのであった。
「シックサ………どういうつもりだ」
「はて。どういうつもり、とはなにを意味しているのか理解できませんね」
ツードの執事たるシックサに噛み付く勢いで詰問する男がいた。
庭師のセブンヌだ。
数十分前に屋敷の玄関で会ってから一度も目にしていなかったので、所在が気になっていたところだ。偶然にも近くにいたのが幸いだ。
そしてセブンヌはシックサに隠しもしない憤りの剣尖を突き付けている。シックサは子犬の威嚇程度にしか考えていないのか、さほど強い警戒はせず、両手をフリーにしてセブンヌの睥睨と相対する。
「なぜギルティを家のなかに招き入れたのかと聞いているっ」
「あなたはなにを仰っているのですか? 雨が降っているのではありませんか。これから雨脚も強くなる。ツード様の愛犬を、雨晒しにしろと? ………随分と冷たい方ですね」
ギルティというのはツードが飼っている犬のことだ。
番犬ではなくペットとして。ただし、富豪が飼っている犬だけあって、待遇はかなり優れている。一般家庭で飼育されている犬など比べものにならないほど。
この別荘に連れて来れば庭師のセブンヌが世話をしていて、どうやらその方針についてシックサと舌戦を繰り広げているらしい。
「今すぐ戻せ。ギルティはまだ遊びたがっている! それすらもわからない素人が余計な手出しをするな!」
「ご冗談を。いつもならこの時間には室内に入れているではないですか。………それともなにか? 今晩はギルティを外に出さなければならない特別な理由があるとでも申されるのですか?」
「………小僧が。生意気な口を」
「あなたこそ口を慎まれた方がいい。あなたは、ご自身の立場をお忘れですか?」
なんとも、言葉の剣を交わすやり取りだ。
今はまだ切っ先同士を突き合わせる程度の小手調だが、このままでいけばいずれ確実に本格的に戦闘が行われかねない。
「あなたはただの、一介の庭師だ。庭師風情が………おっと失礼。あなたが元執事であった経歴を失念しておりました。私の上司であったことも。であれば、この程度の些事など容易に理解に及ぶはず。いやはや、わざとではないのです。どうかお許しください。庭師のセブンヌさん?」




