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待機時間  作者: レモナー
5/11

奇跡がくれた雪笑顔


 「タバコラスト一本吸おうかなあ」

 「吸って肺ガンなれ」

 「自慢じゃないけどこれまで一度もなったことないですよ」

 「健康体を称賛する。だからあたしに構わず吸え」

 「奇跡見たくないんですかあ?」

 「2回も見たし」

 「あの男の人かあっこよかったなあ」

 「ん」

 「そう思いません?」

頼むから放っといてくれ

さっき一瞬でもヤじゃないと思ったあたしが悪かったです


 「そう言えば誰を待ってるんですか?」

 「教える筋合いはないね」

 「またまた、2時間も話した仲じゃないですか」

 「うっすい仲だねえ」

 「じゃ、名前だけでも教えて下さいよ」

 「プライヴァシーの権利を使う」

 「やだなあ、その待っている人の名前ですよ」

 「なんで?」

 「茶髪のお兄さんも自分の名は言わずに拓ってだけばらしたじゃないですか」

確かに 聞いてないな名前

 「で?」

 「だから、待っている人の名前くらい良くないですか」

 「よくないです」

 「はあああ、聞きたいなあ」

無視


あたしは持参したおにぎりをつまむ

当然そいつは話しかけてきた

 「おいしそうですねえ」

 「ん。タバコの後は美味くないよ」

 「逆にうまいかも知んない。試してみましょう」

口がうまいな まあ一口くらいなら・・・

っておい!一つ丸ごと取ったな いや「盗」ったか

 「うわっんまっ。これ辛いけど最高ですね」 

辛い?塩しか入れてないはず・・・何故赤いのが見える

あ、思い出した

 「ははは、それは当たりだよ。友達に食べさせようとしてたやつだ」

 「じゃ、やっぱ唐辛子ですかこれ。うっ唇がマヒする」

おかしな音を立てながら辛そうに呼吸するそいつは

あたしのおなかがよじれるくらい笑わせてくれた

 「ひいっいい、辛いけどおいしいけど辛いいいい」


意地か何だかそいつは食べ切ってしまった

あーあ あげるはずのおにぎりが

 「ごちです」

 「200円」

 「逆に欲しいですよ」

 「やるかよ」

使った腹筋が震えている とまれ

 「なんか眠くなりましたねえ」

 「あんただけな」

 「あ」

見上げた先は駅舎の天窓 白い粒がちらちら

 「雪雪雪だああ」

 「うっさ」

そいつは我慢できないように飛び出して行った

 「・・・・・静かあ」

足音がまだ残っている

無邪気な 軽快な タッタッタ

ん 眠いかも


 「雪あらしい!!」

つめたっ うわっ冷たっっっ

そいつがわざわざ雪を運んでサービスしてくれたらしい

寝てた女性に不意打ちかよ

服が真っ白だぞ、ねえちゃん

 「優しいお兄さんが雪だるま一緒に作ってくれたんですよ、特大の!」

なぜか一瞬で想像できた

 「ふふふ、2年ぶりの雪ですね」

 「そだな。そうです・な!」

あたしは顔にのっかていた雪玉を放つ

 「つめたあああああ!!!くない」

訳わかんないことを叫んでから、服から雪玉を作る

うわっそれ反則だろ あたし雪ねえし

 「とああっ」

はずれ はずれ 運動音痴かお前


気付けば3時を回っていた

なあ誰か教えて

あたし何しにここに来たんだっけ

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