奇妙な空気到来
「なんだかんだ言って行っちゃったねあの人たち」
「何も言ってねえだろ」
「タバコ吸わない?」
「禁煙してんの」
「おなかすかない?」
「さっきおにぎり食ってただろ」
「遅いなあ」
こいつの思考回路はどうなってんだ
よくコロコロと舌が回るな
「あ、誰か来た」
ウイーン 自動ドアが開く
「あのお、髪の長い大きいバッグ持ったサングラスのスペイン人来てません?」
来てねえよ つか来ねえよそんな特徴あるやつ
「そうですか」
「ここで一緒に待ってましょうよ」
「そんな悪いわ、お邪魔します」
おいおい、矛盾 矛盾
「彼ね、ビザ持ってきてないから。私が一緒じゃないと」
おいおいおい 不法侵入者じゃねえかあああっっ
「いいですよ、私たち似た様なものじゃないですか、ね?」
悪いが嘘でもそんな犯罪者にはなりたくね
あああ、頭痛いってこいつらの会話
「へえ、それで彼と出会ったの?」
「そうなんですけど、彼がプレゼントしてくれたの手袋だけなんですよ」
「あらあら、暖かくていいじゃない」
「そうなんですねえ」
「そのキーホルダーは誰から?」
「あ、これは自分で買ったんです」
「いいわねえ、どこで?」
「忘れちゃいました」
「でも素敵ねえ」
中身がねえよ 会話の意味がない
「あなたは何歳?」
こっちに振んな しかも社交辞令的なああ!
「外見からして19歳」
お前は黙れ
「やあねえ、27歳でしょ」
遠ざかった てかそんなふけてんのかあたし
「・・・21歳です」
「素敵ねえ。これから恋とかしていくのね」
「私も21歳」
聞いてねえって
「同い年なの?いいわねえ」
頭が割れる
「彼遅いわあ」
彼氏なんかな 興味ないけど
「どんな関係なんですか?」
「兄なの」
まじかあああ スペイン人の犯罪者が兄かああ
「国際的ですねえ」
あり得ないフォローだな
「でしょ」
そうだった こいつらは常識外でした
「でも来ないかも」
「また、なんで?」
「だって初日に警察に捕まったって言ってたのよ」
「初日って?」
「・・・昨日?」
ここに脳内宇宙の素晴らしい人がいるっ
是非ともサインをもらおうではないですか!
不法入国者を一日で解放してくれると思ってんですから
「なら、望みありですね」
やめろ やめろおお
あと何分あんたらと付き合うことになんだよっ
ああ、早く来てくれ




