人気ヴォーカリスト
「ふうーー」
なんか白い煙出てる
って お前、、、
「禁煙室だって言ったじゃん、さっき」
「でも、これうまいんすよ」
聞いてねえよ マスク装着
「あたしもたばこは好きだよ」
本当聞いてねえよ
「吸います?」
「ください」
図々しさレヴェルアップ マスク2装着
「息苦しくないすか?」
「あんたらが吸わないんなら外せる」
「無理」
ほう
「んまい」
「これ、スターリザックつうんすよ」
「聞いたことないけどんまい」
「願いがかなうって有名で、信じてこれしか吸ってないすよ」
「いいね」
二人が笑っているところにお邪魔する
「どうでもいいけどあんたの友達はいつくんの」
茶髪の男がはにかむ
「オレは拓っつう2年前から合ってないやつ待ってんです」
「2年前から、、?」
「お互い大学卒業の時、格好つけて連絡先さえ教えなかったんす」
熱くね
「じゃなんで今ここに待ってるの?」
タバコ吸いながら能天気にそいつは聞く
「なんでですかね、っていうのも変すけど。6年前に約束したんで」
「ん?約束はしたの?」
「大学1年時、一度ここの待合室に来たんすよ」
「へえ」
相槌はお前に任せるか
「で、また会おうぜって言ったんす。拓が。変すよね、だって翌日大学で会うんですから。ただ今なら分かるっていうか、なんかうまく言えないんすけど。じゃあ、6年後にしないかって」
何で6年後?微妙じゃん
「何で6年後?微妙じゃない?」
おお、最高の相槌
「卒業しても会いたいって意味で。しかも5年後じゃなんかありきたりだから6年後だって」
面倒っ その会話6年前にしたのか
「そしたらすよ。最近すっげえ人気出てきたバンドのボーカルが拓っていうんで、まさかって思っ て。顔もめちゃくちゃ似てるんすよ」
「バンド名は?」
「レヴァーズドントラビングアウェイ」
知らねえええっっ いくら音楽に疎いあたしでもそのネーミングセンスはあり得ねええ
「知ってる。すっごい声きれいだよね」
「マジ!?なんか嬉しいな。いや拓って決定もしてねえのに。オレって」
なんかまぶしいな 照明が強くなったのかな
「来たらいいですね」
「あいつは来るよ、約束破った事ねえし」
「六年前の口約束を信じちゃってんの?」
「ちょっそんな言い方ないじゃないですか!」
あたし見んなよ 言ってないから
「あたしじゃない・・・」
三人は同時にドアを振り向く
それこそ音が鳴るほどに
そこには、黒いレザーを着た男が立っていた
「そんな言い方ないよな?」
『たくっっっ!!!』
待て 何故お前まではもって言ってんだよスモーカー
「ったく。お前まで覚えてたのかよ、あの約束」
「ったりめえだろ。お前より頭いいんだからよ」
「今は、俺のがルックスも知名度もいいけどな」
「今はって何だよ、今でも俺のほうが頭はいい」
「認めるよ」
二人は右手を打ち合った ハイタッチ
「お前汗かきすぎだろ。今何月だと思ってんの?」
「1月だと思ってるぜ。お前が待っていそうだから走ってきたんじゃねえか」
「現に1時間待った」
「嘘だろ、今が1時だぜ」
「嘘だろオレの時計2時だぞ」
茶髪は腕時計を、ヴォーカリストは携帯を示し合う
「狂ってんな」
「お前のがな」
はい 中立のあたしの時計は・・・1時36分を示しております
「はは」
二人は同時にはにかむ
「よかったじゃないですか」
そいつが言う
「6年の間に二人の中が元通りで」
日本語がおかしいけど許す 感動的な再開のシーンだし
「じゃあね、姉さん達」
「もう行っちゃうんですか」
「拓と東京で遊ぶんすよ。そういう約束だったから」
一つ聞いてみるか
「そこの黒い男、あんたの職業は?」
「オレ?レヴァーズ・ドントラビング・アウェイのヴォーカルだよ」
本当だったのか 後で検索して一曲聞いてみよ
「じゃ、一時間近く楽しい会話どうもッす」
「タバコは?」
「姉さんらにあげるよ。俺みたいに願いがかなって待ち人に会えるよ」
「3本しか入ってない」
図々しさレヴェエルアップ




