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【完結御礼】新説信長公記! ― シスコンお兄ちゃんが大好きなんだけど、モテすぎだしハラスメントな信長さまだから、織田家滅亡のお手伝いをするね! ―  作者: 香坂くら
第六章 兄・信長包囲網(志賀の陣) 

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74話 兄・信長包囲網⑤ 第三回会合開催



 ― 妹・お市 ―



 最近の季節、お尻が冷えるし、まずは板敷の床にオザブを敷いて、と。


 つぎに床の間に据えた大型テレビの電源をオン。同時に通信機器もオンしてすばやくリモコンを取り、入力切り替え! ケーブルのばして端末スピーカーを、和式の、いわゆる座卓に載っけてスタンバイ完了ォ。


 ほどなくして、ビービーと連続してアクセス音。そのコールに応えていちいち受信ボタン。


「全員いますかー?」


 五つに分割されたテレビ画面に、オジサンたちの姿が映し出された。今回はだいぶ慣れたみたいでうろたえた表情でリモコン押してる御仁は居ない様子。


「じゃ、ナガマサ。どーぞ」

「ええっ! 市が話せ。オレはこーゆーの苦手だ」

「毎回ゆーよねー。んじゃ。――こんっにちはー! 浅井(あざい)御市(おいち)でーす! 只今から会議を始めまーす! 聞こえたら手を挙げてくださいーい」


 パラパラと遠慮がちな手が挙がる。ひとり息の荒いオジサンがいる一方でおずおずとはにかみ挙手しないお兄さん発見。


「将軍! 聞こえてないデスかぁ?」


 そしたらやっと手が挙がる。


「第三回、《信長を泣かせる会》。テーマは織田包囲網について。まずは忌憚ない意見をお願いしまーす。」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


会議名:第三回 信長を泣かせる会   主催:近江国 浅井家

会合日:元亀元年八月二十七日


 出席 :足利義昭将軍、武田信玄、本願寺顕如、朝倉義景、小早川隆景、浅井長政 (敬称略)

 進行 :浅井御市

 議事 :浅井御市


1.決定事項


 各位、役割を遂行し、織田家討伐を推進する。各役割は以下の通り。


・足利義昭将軍

 織田信長に従うふりをして、彼の言動、作戦を聞き出し、各位に展開 (情報共有する)

 【無期限】


・本願寺顕如

 伊勢一向一揆衆に声掛けし、蜂起させ、織田軍の後方攪乱する

 【期限:年度内】


・武田信玄

 上洛のため、上杉謙信と講和し、出馬。徳川を駆逐する

 【期限:来年度中】


・朝倉義景

 浅井長政と共同戦線を張り、京に進出。三好に呼応して織田軍にゲリラ戦を挑む

 【期限:継続実施。本願寺戦線の状況による】


・小早川隆景

 毛利家中の反織田意志統一と、本願寺への援助 (人と金)

 【期限:保留】


2.主な課題


 ・織田軍は公称四万の大軍で野田、福島の三好勢に向かっている。雑賀鉄砲衆の石山寺入城を急ぐ必要あり。但しくれぐれも極秘に。(将軍ご意見)

 ・毛利の吉川元春氏が反織田戦線への加担に難色を示している。説得の成否は不透明(小早川氏)

 ・上杉謙信の直近の動向不明。北条と連携する必要あり。(武田氏)

 ・武田氏より要望。朝倉氏に対し、浅井との連携を更に強化して欲しい。朝倉氏、前向きに検討と回答。

 

3.その他事項


 ・テレビ会議システムの請求書処理について

  浅井はホスト役を務めるため、費用五分割し、浅井以外で支払う前回会合での案について、全会一致で賛成。それぞれ稟申し経理処理する。但し今後のメンテナンス費用は六分割で折半とする。


4.次回会合


 ・次回会合は来月二十五日に予定。


以上。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 議事録作成完了。出席者にLINE送信っと。彼ら《共戦》同志らにはすでに第一回会合の時にスマホを配布し、使い方勉強会を行ってる。


 いまいちまとまりがなくって、グダグダ感は否めなかったとは言え、ある程度の意見交換は出来たし、それぞれの役割り分担もしたし、これから回を進めるごとに団結心が芽生えるだろうね、きっと。



 ――思えばここまでの道のり、大変だったんだよォ?


 朝倉さんの斡旋で足利将軍に謁見してプレゼン。お兄ちゃんの悪辣ぶりを強調し、叛意をあおった。でも気弱な彼はモジモジするばかり。


 そこでわたしは以前ウワサでお兄ちゃんから聞いたことがあるオタクグッズで釣ることを発案。さっそく実行した。


 イカスルメルット・マーケット(通称イカマ)で販売していた新刊をネットで爆買い、手土産に持参した。そして彼の心の門戸のこじ開けに成功。そこまでくればこっちのもので、あとはわたしのキラキラトークで何とか懐柔して最終的に反織田に傾かせた。


 でも本願寺さんや朝倉さんはなかなか手強かった。一族との調整とか、ご先祖とか、檀家がどうとかナニ悩んでんのか、ギモンしかなかったほど。


 ちょうどそのとき、武田スケルトンカセット信玄さんがアポを取ってきた。ズバリ、わたしに会いたいと指名してきた。

 でも前のゲームバトル(十三話~十六話)のことがあったんで厳重警戒したのだけれど、結局背に腹はかえらんないので会うことにした。


 案の定、結婚しろだのチューさせろだの、相当ハラスメントな要求してきたので、ナガマサに間に入ってもらって《握手券一枚》の発行で、同盟契約にたどり着いた。


 ナガマサは今でもその話が出るとハラワタ煮えくりかえるそう。

 ……それって嬉しすぎるなぁ。


 さぁ。

 対お兄ちゃん包囲網は着々と進行中よ!


 慎重で、狡猾で、奇想天外なお兄ちゃんを追い詰めるのはわたしなんだから! ゼッタイに後悔させて、反省させて、目の前で謝らせてやるんだから。


 あんなハラスメントでモテすぎお兄ちゃんなんて、滅ぼしてやる!



 じゃあ、今日はもう寝ます。



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