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【完結御礼】新説信長公記! ― シスコンお兄ちゃんが大好きなんだけど、モテすぎだしハラスメントな信長さまだから、織田家滅亡のお手伝いをするね! ―  作者: 香坂くらの
第六章 兄・信長包囲網(志賀の陣) 

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73話 兄・信長包囲網④ 連戦連闘



 ― 兄・信長 ―



 全身泥だらけの一団が賑やかしく帰還した。 


「いやー。まいったまいった。あの居並ぶ種子島(てっぽう)の豪射、全身粉々になるかと思ったわい」


「とか言いながら、このおチビちゃん、なかなかの戦巧者ぶりだったわよォ、悔しいけど、なんだか尊敬しちゃったわぁ」

「なんのなんの。変人なお手前こそ劣勢をものともせん豪胆ぶり、まさに武者の鑑でござった! 天晴れじゃ!」


 おチビちゃんの帰蝶と、変人な松永弾正(タンジョー)は本陣の幕をまくるなり、ガッチリと握手。……なんだ、おまいら? 肩まで叩き合ってるし。意気投合したのか、単に張り合ってんのか、どっちだ?


「それにつけても本願寺の教徒ども。塀高く堀深くを見事に体現した城塞じゃ。しかも、備える火器のなんと多いことよ。あんなのを落とせるのは、進撃可能な巨人くらいじゃよ」

「しゃーないわね。こっちも機関銃を実戦導入しましょうよ。マキシム式なら安価で売ってるかも。ちょっとアマ〇ンさんでポチッてみるわね?」


 アホかコイツら。


「こら、そこのマンガ大好きババア、もう少し建設的かつ有益な発言をしろ。それと変態ヤロー。マキシム式とかいつの時代の代物だ? ここは二百三高地か。逆に骨董扱いで高けーわ。てーか、頼んで届くのか、それ?」

「法に触れなきゃ届くわよ」

「じゅーぶんっに触れとるわいっ」


 オレらはあくまで一般市民。少なくともイカスルメルではな。地球(げんち)でのことは不問に付されても、地球(ここ)へ至るまでの行程は公的な事柄か特例でもない限り、何かと規制される。


 以上、後付け設定だ。


「それは困ったのう。困った困った」


 帰蝶オマエ、イカスルメルの法令なぞ、知らんだろが。なんでそんなに物知り顔でうなづく?


「おいっ、安藤社長!」

「呼んだかーい? 信長くん?」

「ドローンを飛ばせ。城中の様子を調べるんだ」

「えーっ。金掛かるよォ、幾ら出すの?」


 そんなコト言える立場か。しゃちょーよ? オレはちゃんと知ってんだぞ?


「姉川ではずいぶんと世話になったな。無断撮影料と放映料、いったいギャラどんだけ出してくれるんだろーなぁ、タノシミだなぁ」

「わーった、わーったよぉ、今回はぜーんぶ安藤プロダクションが持つから! 過去は全部水に流そう。ね、ね?」


 社長は逃げるように自陣に戻っていった。


「信長よ。ワシと松永もある程度は調べたぞ?」

「へー。敵情を? そうか、さすがだな! 報告してくれ」


 帰蝶はマイリュックからキャンパスノートを数冊取り出し、ペラペラめくった。「あ、これ違う。うー」などと、マンガを模写した落書きノートを照れながらしまいつつ、ようやく一冊選定した。その挙動、さりげにカワイイ!


「えーっとじゃ。まずは本願寺(ほんがんじ)顕如(けんにょ)。浪花のオッさん。ゼニは来るもの拒まず、去るもの咎めず。次に教光院(きょうこういん)如春尼(にょしゅんに)。顕如のヨメ。公卿の娘で六角の縁者で、『ほんまにウチ、信長はん好かん』が口グセ。本願寺(ほんがんじ)教如(きょうにょ)。顕如の長男で、朝倉義景の娘の婚約者。脳筋ボーイじゃ。そして次に……」

「……ちょっと待て」

「なんじゃ?」

「かわゆく首かしげるな。……もーいい。オレが知りたいのはそーゆーのじゃない」


 わっはっは。と帰蝶。


「たのしーじゃろ? こーゆーフザけた話でもせんと息苦しくなるのでな。んじゃ、ワシ、行水でもしてからちょっと寝るわ。ダンジョーよ、あとヨロシク」

「まあまあ。マイペースなロリっ子ねぇ。じゃ、しゃーないからわたしから。下間(しもつま)頼廉(らいれん)。お寺に詰めるヤクザ。あと鈴木重秀。雑賀衆の頭目のひとり。孫市を名乗るひとり。よーするにヤクザ。みーんなヤクザ。全員ヤクザよ」

「……オマエも。それしか言うことないのか?」

「無いわね」


 松永弾正(ダンジョー)も相当疲れ切ってやがるな。


「分かったよ。オマエもいい。下がって休め。とにかく二人とも無事で良かったよ」

「まあっ! ウレシイッ。ホントはバッドニュースがあったんだけど、今日は報告するの、やめておいてアゲル」

「待て待てっ! なんなんだ、そのバットニュースってのは!」

「……だって。この話題を出したら、ノブちゃん怒るもの」

「この場合、言わんほうが怒るわっ」


 ダンジョーの耳打ち。

 ヤツの生あったかい吐息に鳥肌が立った後、その報告内容でアタマが真っ白になった。


「な、なんだと……。浅井と朝倉の連合軍が、近江を抜け、京の都に迫っているだと……!」


 市……! なんでなんだ!



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