表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
藍色吐息  作者: 久遠 ヒカリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

第十六話 命より大切なもの

 戦いは熾烈を極めた。


 魔王は強かった。


 想像を遥かに超えていた。


 何度も倒されそうになる。


 何度も限界を超える。


 そして。


 決定的な瞬間が訪れる。


『終わりだ』


 魔王の魔法が放たれた。


 黒い奔流。


 破滅そのもの。


 その標的は。


 アイトだった。


「っ!」


 考えるより先に。


 体が動いていた。


 私は飛び出す。


「ユズ!?」


 衝撃。


 激痛。


 視界が赤く染まる。


 HPが急速に減っていく。


「なんで……!」


 アイトの声が震えていた。


 私は笑う。


「だって……」


 苦しい。


 でも。


 言わなきゃ。


「アイトが大事だから」


 彼の瞳が見開かれる。


 言ってしまった。


 隠していた想い。


 全部。


 全部。


◇◇◇


 その瞬間。


 アイトの中で何かが切れた。


「返せ」


 静かな声。


「返せ」


 魔王を睨む。


「ユズを返せ」


 青い光が爆発した。


 彼の持つ剣が眩く輝く。


 今まで見たこともない力。


 今まで隠されていた本気。


 そして。


 彼は私を抱き起こした。


「アイト……」


「聞いて」


 真剣な瞳。


 震える声。


「帰れなくてもいい」


 私は息を呑む。


「え……」


「帰れなくても」


 彼は笑った。


 少しだけ泣きそうな顔で。


「君がいるなら」


 それは。


 告白だった。


 不器用で。


 遠回りで。


 彼らしい。


 世界で一番優しい告白だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ