火を吹く水入りの吸い殻入れ
こんな悪夢を見た。
私はベランダでいつものようにタバコを吸っていた。
いつも通りのこと。それがいつまでも続くと思っていた。
その日もいつも通りタバコを吸い終えて、水入りの吸い殻入れに入れていた。
だが、今回は違った。
いきなり吸い殻入れが火を吹いて、近くの私の洗濯物に火が移ったのである。
あまりにも急なことに、私の理解が追いついていなかった。そして、火が私に迫っていた。
その瞬間、吸い殻入れに水を入れて消火しようとした。急に吸い殻入れから火柱が生じたのである。
小火が目立ってしまう。どうしてこうなったのだろう。洗濯物が燃えてしまう。間に合わない。足が竦んでしまった。
ベランダから部屋へ脱出しなくては。消防署に連絡しなくてはならない。番号は何だったか。パニックになっている。落ち着け。落ち着くためにはタバコを吸わないと。しかしそれはできない。ベランダにある灰皿代わりの水入りの吸い殻入れから火が出ているのだから。
パニック状態が続いている。どうしてこうなったのだろう。早く消火しなければ。じゃないと大家さんに、管理会社の人に怒られてしまう。それは避けたい。なのに、金縛りにあったように身体が動かない。
汗が出る。冷や汗が。動いてほしい。そう願うのに。私の意思に反して、身体は動かない。
電話しなくては。消防署に。火を消してもらいに。
そこで私は目が覚めた。あの悪夢は一体何だったのだろうーー。




