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ぼ、僕、ルク・ベイダーのこ、今後はど、どうなってしまうのでしょうか?③

ダルク過去③です。

 今ルクが出来る事は少なかった。父ダスに教えて貰った剣の練習方法を唯ひたすら繰り返す日々が続く・・・春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来てそしてまた春が来た・・・幾度の季節を繰り返し唯ひたすら剣を振り続けた・・・ダスが死にベイダー卿の家督を継ぐ事となったルクであったが所詮は女性の振る剣、誰も関心を示さずルクが剣を振るう場所は無かった。


 父ダスは他の貴族から疎まれる存在であった為ベイダーの屋敷に訪問する者は無くやがて廃れいく貴族と成り下がった、そんな時一つの転機が訪れる事になったのである。


 それは今はもう殆ど疎遠に近い王家からの書状で、謀反人シス・マッドスターの拘束を知らせる書状であった。


 王家はベイダーの家督を継ぐルクに仇討ちの機会を与えたのだ、それは正式な決闘方式で行われるものであり、今ベイダーの家督を継ぐルクにとっては自分の剣・・・嫌・・・代々受け継がれてきたベイダー家の剣を再度世に知らしめる絶好の機会で、勿論ルクはこの申し入れを受諾したのである。



 そして今ルクは一番奥の部屋に居る母の部屋の前に居る。昔いたメイドはもう居ない・・・今は父ダスが健在であった時の蓄えで生活している。勿論警備も手薄で何度か広い屋敷の備品を盗まれる騒ぎも起きた程であった。


 そしてルクは母の部屋を3回ノックする・・・


 「ダス?」


 部屋の向こうから弱々しい声で今は亡き父の名を呼ぶ母マリア・・・


 「お、お母様入りますね・・・」


 ドアを開け部屋の中へと進むルク、そこにはあの頃の面影が全くない瘦せ細り皮と骨だけの母マリアがベットで横になっていた・・・


 「お、お母様、王家から書状が届きそれを受諾致しました・・・」


 その手紙を母マリアの枕の横に置くルク・・・

 そして・・・


 「では暫く留守にしますので、御用が有りましたらメイドに申し付け下さい・・・」


 そう言葉を発するルクの顔はまんべんな笑顔であった。


 ルクは後ろを振り向きその場を去ろうとする・・・そしてマリアは痩せ細った震える手でベッドで横になったまま書状に目を通す・・・


 ルクがドアを開け外に出ようとした時・・・


 「・・・ころせ・・・」


 母マリアは弱々しい声でルクに声をかける・・・


 「・・・ころせ・・・ルク・・・この男を殺しておくれ・・・」


 その声も弱々しく震えていた・・・

 その言葉で一度立ち止まるルクであったが・・・後ろを振り向く事無くルクはその部屋の外に出てドアを閉める前に・・・


 「お母様・・・では行ってきます・・・」


 と部屋のドアを閉めるのである。


 ドアを閉めたルクではあったが暫く一歩も動かずその場に佇んでいた、誰も居ない廊下は音が一切聞こえず、唯一そんなルクの足元でポタポタと落ちる音だけが廊下に小さく響いていた・・・


 ルクは屋敷を出ると馬を引き屋敷を眺める・・・至る所が痛み、広大な敷地は雑草が所々生えている。父ダスが健在だった頃の面影は全くなりルクはそんな屋敷に微笑み言葉を発するのである・・・


 「父上見ていて下さい必ず・・・」


 その言葉を掛けるとルクは馬に跨り振り返る事無く屋敷を後にして王家の元へ馳せ参じるのであった。




 ルクが王家に着くと通されたのは謁見の間であった・・・その道中貴族達の声がルクの耳に入る・・・


 「ぷっ、なんだよ、あれ・・・おままごとでもしに来たのか?あはははは」

 「ベイダーの名も地に堕ちた・・・あれが今の継承者?ふざけてるのか?」

 「オイ見ろよ!アレがベイダーの愛娘だってよ、いい顔してるじゃ〜ないか!側室で迎えてもいいけどよ、へへへへ」


 それは決して仇討ちを行いに来た者に掛ける言葉では無かった。昔の力無き自分達が味わった屈辱を発散する為だけに掛けられた言葉の数々であった。会う貴族会う貴族に鼻で笑われ、出てくる言葉はルクを卑下する言葉ばかり・・・しかしルクは顔を前に向き臆する事なく堂々と謁見の間迄足を進めたのである。


 暫くしてルクの前にインダスタル8世が姿を現せた、ルクは謁見の間に入った時から一歩も動く事無く片膝を落とし頭を下げていた。


 「面をあげよ」


 暫く経ち・・・


 「面をあげよ」


 2回目の言葉で顏を上げるルク、インダスタル8世の顔を見る・・・インダスタル8世の顔は明らかにルクを見下した顔をしていた。しかしルクは力強い顔を崩さず言葉を掛けるのであった。


 「この度は仇討ちの機会を頂き誠にありがとうございます」

 「よい気にするな・・・所で勝算はあるのか?」

 「はい、父より習った剣の基本を今まで欠かさず繰り返して来ました、必ずご期待に添えるかと・・・」


 この言葉を聞いたインダスタル8世の顔が笑顔で緩む


 「では、もし期待に応えられなかった場合はどうする?」


 ルクはインダスタル8世が何を意図しているのか理解が出来なかった。


 「ふむ・・・やはり口だけか・・・」


 ルクはその言葉に怒りを覚える、そして・・・


 「もし期待に添えなかった場合は何なりとお申し付け下さい!」


 ルクは少し起こり気味に言葉を発した・・・その言葉を聞いたインダスタル8世はニンマリと笑う。


 「うむ、よく申した!ではもしワシの期待に添えない場合は、ベイダー家の断絶、財産没収と致そう!皆もの聞いたな?」


 ルクは固まる・・・


 「はい!確かに聞きましたぞ」


 その場に居た他の貴族も笑顔を浮かべ王の問いに答える。


 呆然とするルク・・・


 そう・・・この仇討ちはベイダー家を不憫に思い設けられた場では無く、仇討ちを利用した財産を没収する口実を作る為に設けられた場なのであった・・・


 それを理解したルクは口惜しかった・・・父ダスは何の為に死んだのだろう・・・何故この王家の為父は人知れず悩んで居たのであろう・・・こんな王家の為に何故自分達は苦しまなければならないのであろう・・・そんな事ばかり頭を過ぎる。


 ルクは悔やしさで歯をくいしばる・・・

 そんなルクを他所に


 「では明日楽しみにしているぞ」


 インダスタル8世はそう言葉を残し高笑いをしてその場を去ったのである・・・


 インダスタル8世が謁見の間を去り、貴族達も高笑いをしてその場を去る・・・一人拳を握り締めてルクはただ悔しくて王の玉座を睨み付けるのであった・・・




 そして次の日が訪れる・・・


 場所は兵士達が訓練する為に設けられた場所であった。王を始め多数の貴族達がルクとシスの決闘を一目見ようと集まっている。


 ルクは昨日の怒りはあるものの冷静に仇であるシスが来るのを待つ。


 暫くして2人の警備兵に鎖に繋がれボロボロの服を着たシスが連れて来られた。その男は見た目屈強な戦士であった、闘士をむき出しに本当に捕らえられた男なのか?そう思わすにはいられない程堂々と歩く姿、警備兵の方がオドオドしこちらが囚人なのでは?と一見みると感じてしまう程であった。


 シスの鎖が外されシスにバスターソードが渡される、その大きさは成人男性並の大きさで掠めただけでもタダでは済まないと思われた。

 それに対してルクも腰に掛けてある片手剣を鞘から抜き構える、その片手剣は細く一見すればレイピアと間違われる細さであった。


 ルクの武器を見て周りの貴族から笑いが溢れる。


 そんな事には気を止めないルク


 2人が武器を出し構えた所で警備兵は逃げる様に来た道に戻り、インダスタル8世の手が高々と上げられる・・・そしてインダスタル8世の手が下に振り落されほぼ同時に開始のドラムの音が響き渡る。


 最初に仕掛けたのはシスであった・・・地面を数回蹴り一気にルクとの間を詰める・・・剣を横に振りかぶり突進の勢いと合わせて地面と水平に振り抜く・・・終わったか!!と思われ貴族達から歓声が上がる。


 シスは元インダスタル2番目の剣の腕を持っていた男で、剣聖には劣るもののその剣の名は近隣諸国に知れ渡る程の実力の持ち主であった。その一撃を正面から受けたのだ!誰だってそう思うのは当然!!


 しかし貴族達の予想に反してルクはその細い片手剣でシスの渾身の一撃を受け止めていた・・・それを見た貴族たちは理解が出来なかった・・・ルクの細い腕・すぐに折れそうな剣で何故!岩をも砕きそうな一撃を受けられるのか理解が出来なかったのである。


 シスは剣を直に引き戻し再び振りかぶろうとした時・・・ルクがシスの懐に入り込み片手剣の柄でシスの溝内に軽く当てる・・・貴族の誰もがそれを見て失笑する、軽い・・・軽すぎる、誰もが口を手で塞ぎ笑いを堪える。


 しかし・・・そんな貴族達の考えとは別に・・・シスの顔が苦痛で歪む・・・顔色がみるみる蒼白になる、脇腹を剣を持っていない方で抑える膝を崩すシス・・・


 貴族達の顔が呆気に取られ額から汗が流れる・・・見ている光景が理解出来ない・・・あのシスが遊ばれているのである・・・


 そこからはルクの一方的な攻撃であった。ルクから繰り出される一切の無駄が無い神速の剣を、ただ体が隠れる程大きいバスターソードで身を隠しそれに耐えるだけのシス・・・


 貴族達誰もが口を開けその光景に釘付けになる・・・只々ルクの剣の技に目を奪われる・・・


 そしてさらにルクの剣が速くなる・・・バスターソードが左右に大きく揺れるドンドンその揺れの大きさが大きくなる・・・そして・・・シスのバスターソードが上空に舞い・・・地面に突き刺さる。


 ルクの剣先がシスの喉元を撫でる・・・


 「僕の名前はルク・ベイダー、剣聖ダス・ベイダーの一人娘、我が父の無念ここで晴らさせてもらう」


 シスは驚く・・・ダスに愛娘が居る事は当然知っていたシスではあったが・・・剣の腕がここ迄達人だという事もそうなのだが、何より今目の前にいる人物がダスの愛娘という事の驚きが強かった。そしてそれが分かったシスの顔は自然に笑顔が作られた。そんなシスから言葉が掛けられる・・・


 「しかと受け止めた!貴公の剣捌き正に父剣聖の如し、我が命をもってその名、天に届けられたし!!」


 その声はその場に響き渡りそこに居る誰の耳にも聞こえる大きさであった・・・


 「け、剣聖だと・・・」


 一人の貴族が言葉を漏らす・・・その言葉に反応して他の貴族達の額から汗が流れる・・・またあの屈辱の日々が訪れる、そう思い貴族達は歯を食いしばる。


 ルクは後喉元に突き立ている剣先を軽く突き出せば決着がつく、誰もがそう思い固唾を飲み込んでいたのだが・・・ルクの顔には悲痛に苛まれた表情が姿を表していた・・・


 ルクは男親という者を余り知らなかった、父が亡くなり訪れる年配の顔を見る事も無く、自分に笑顔を送る人・自分を褒め称賛する者など今迄只一人しか居なかったのである・・・この場に居る只一人を除いては・・・それは皮肉にも父の仇であるシス、この一人だけ自分の剣を認め、この一人だけ自分に笑顔を見せてくれる・・・



 そう・・・


 ルクは幼い時見た父の姿を今目の前に居るシスに照らし合わせて居たのである・・・

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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