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えらい事に俺の力を見せる事になりました。

 ミリアが放つあの攻撃は勿論物理近距離魔法などでは無い。


 あれは剣技で名は【魔神斬り】である!!

 魔神斬り自体覚えるのは力寄りの中級クラスの戦士であれば覚えていても不思議では無いのだが・・・その使い勝手の悪さに皆使用する事が無い剣技である。その魔神斬りの条件下は【己の力を信じて力の限り振り抜く、1/1000の確率で1000倍の力を発揮999/1000で力が−10倍になる。】なのだが・・・・

 あの後5回戦闘をこなしたのだが・・・ミリアの攻撃は全て恐らく1/1000を引き当て力が1000倍になっている・・・


 そして俺は思い出す、ミリアは戦闘が終わるといつも「おっ宝〜おっ宝〜」と言ってはお宝を何処からか持って来る事を・・・お宝を引き当てる確率は俺でも数1000回に1度あるか無いかなのにも関わらずミリアは100%の確率で持ってくる・・・強運恐るべし・・・


 俺は運というパラメーターの評価を最高位まで引き上げた。


 他の冒険者からすれば異常とも思えるこの編成、力の限り杖を振り抜き前衛で破壊の限りを尽くす魔法使い、中衛で仲間に切り込む戦士、後衛で魔法を放つ武道家・・・だが形にはなった・・・嫌・・・最高のパーティーが誕生したのだ!!




 そんな3人に目を向ける

 もう・・・俺が居なくてもやっていけるであろう・・・


 俺の頬を涙が一つ溢れる。俺はそれをミリア、リー、ダルクに悟られない様に後ろを向き、頬に流れる涙を拭き取った。




 「かなりの収穫ね、そろそろ街戻ろー」


 そう言葉を発したのはミリアだった。その言葉に従い俺達は森をでる。


 そして街が見えてきた時に俺は立ち止まり、ミリア、リー、ダルクに声をかけるのであった。


 《俺は楽しかった・・・本当にいい仲間に出会えた・・・》


 「なぁ〜少し話があるんだが・・・」


 ルーはうつむきながら話す。


 「・・・何どしたの?」


 ルーの方に顔を向ける3人


 「俺そろそろ行くわ!」


 ルーは上げ笑顔を向ける


 「何処に?」


 3人はキョトンとする


 「いやぁ〜あっちかな・・・はははは」


 頭を描きながら適当な方向に指を指す。


 「なんで?上手くいってるじゃん?」


 ミリアは不思議そうにルーの近くゆっくり足を進める。


 《だからこその別れ・・・》


 「俺居なくても、もう大丈夫だろ?」


 笑顔のルー


 「何言ってんの!!もう仲間でしょ!!」


 ミリアは足を止め地面に向かい大声を出す。


 「・・・ダメなんだ・・・・」


 ルーは3人から目を逸らし鼻をかく。


 《そう3人は知らない・・・》


 「・・・何よ!私達足手まといって言いたい訳?!!」


 ミリアはルーの顔を見ず地面に大声を出す。


 「・・・そ、そうだ・・・」


 ルーは困った様な顔をする。


 「・・・じゃ〜俺行くわ・・・」


 ルーは指を指した方に体を向け足を進める。


 「・・・ふざけないでよ・・・」


 ミリアは凄く小さな声で呟く


 「・・・ふ、ふざけんじゃーないわよ!!」


 ミリアはルーの背中に顔を上げ大声を出す。

 リーとダルクは俯いたままである。


 《俺がハーフエルフである事を・・・》


 「何言ってんのよ!ルー!どうしちゃったの?なにか有ったの?私なんかした?本当にごめんなさい、ねっこれでいいでしょ?ねぇー・・・ルー・・・何とか言ってよ・・・」


 ミリアはルーに縋る様に声をだす。

 その言葉にルーの足が止まる・・・



 その時突然


 「ガギオゥゥゥーー」


 「この声は・・・」


 声のする空を見上げる4人

 そこには上空を飛ぶ羽が生えた爬虫類がいた。


 「ド、ドラゴン!!」


 リーが魔物の名前を言葉にする。


 「・・・嫌・・・違う・・・確かに普通のドラゴンにソックリだが・・・」


 ルーには分かったのだあれが只のドラゴンでは無い事を、ルーでも数回しか戦った事が無い存在、その名は【エンシェントドラゴン】である事が・・・


 ドラゴンはこの地上で存在する中でも最強に属する生き物でその力は年齢を重ねる毎に強大になっていく。攻撃・スピードは勿論の事ドラゴンとは比べ物にならないくらい強力なのだが、それよりも物理防御・魔法防御は破格の違いがある。ドラゴンの鱗が年を重ぬる度に固くなりからである。地上で存在する一番の強度を誇るアダマンタイト鉱石ですら、その鱗を貫く事は出来ないのである。

 ドラゴン自体であれば中級クラス上級クラスの冒険者でも狩る事が出来るが・・・エンシェントドラゴンとなるとマスタークラスでも手を焼く相手である。


 一番の懸念それはドラゴンの素材は余す所無く高価格で取引される事である。

 エンシェントドラゴンが向かう方向は・・・カンカウレの街・・・欲に溺れた冒険者が手出ししなければいいのだが・・・

 エンシェントドラゴンは人間など相手にしない、ドラゴン族にとって蟻程の価値しかない者を誰が好き好んで相手にするものか、しかしそれは自分に害が無い場合に限る、もし冒険者が手を出そうものならカンカウレの街は壊滅するのは必然である。


 「チィッ」


 ルーは舌打ちするとカンカウレの街に向かって駆け出していた。


 「ちょっと待ちなさいよ」


 ミリア、リー、ダルクも同様にカンカウレの街に向かい駆け出す。


 ルーはエンシェントドラゴンを目で捉えながら走る。

 そして不安は的中した。


 「ドォーン、ドォーン」


 ほぼ同時にカンカウレの街を囲う壁の上から大砲が6発放たれる。

 大砲の弾が2発エンシェントドラゴンに被弾してカンカウレ街から約1kmの位置に落下する。


 「ドォーン、ドォーン」


 続けて6発の大砲が落下したエンシェントドラゴンに向かい発射される。

 エイシェントドラゴンは足をバタつかせ起き上がると口から閃光をカンカウレの街に向かい放つ、しかし先に発射された大砲の弾がエンシェントドラゴンの狙いを狂わせ、放った閃光は街の壁を掠め遠くの山に被弾、その山は大爆発と共に山の形を変える。


 続けてエンシェントドラゴンが閃光を放とうとした時・・・


 「大地の巨壁【風水超位魔法】」


 放たれた閃光の前に地面が盛り上がり壁が現れる。

 閃光が壁と衝突して壁が消え閃光が消える。

 砂ぼこりが舞い上がり突風がその砂ぼこりを払う、そこに一人の人間が立っている。そうルーである。


 「ふぅ〜なんとか間に合った・・・」


 格好良く現れたら割には締まらない容姿と態度。


 「小僧今のはお前がやったのか?」


 エンシェントドラゴンはとても低い声で問いかける。


 「ああ、俺がやった、なぁ〜見逃してるやるから見逃してよ」

 「ぐぁははははは」

 「どーすんの?見逃す?見逃さない?」


 ルーは腕を組んで面倒くさそうに話す。


 「蟻が・・・死ね!!」


 エンシェントドラゴンが再び閃光を放とうとする、勿論ルーはそんな隙だらけのモーションを黙って見ている訳も無く、すぐ様地面をひと蹴りしてエンシェントドラゴンの顎を下から上に突き上げる。

 吹き飛ぶエンシェントドラゴンは体を回転させて羽で勢いを殺しその場で羽ばたく。ノーダメジである。


 「・・・結構本気なんけど・・・まぁ〜こんなもんか・・・」

 「・・・やるな蟻!!」

 「なぁ〜見逃せよ!!」

 「ぐぁははははは、愚か!」

 「はぁ〜〜じゃ覚えたての奴お見舞いしてやるよ!!蟻、蟻っていっぺん蟻になってみな!!気持ち分かるかもよ」


 ルーは両手を胸の前手を合わせ力を入れるとルーの体が発光する。

 合わせた手に魔法陣が空中に描かれ魔法陣の文字が時計の様な動きをする。

 一つ刻めばその円より一回り大きな魔方陣が出現し、逆に時計の針を刻み、1つ刻めば更に大きな、1つ刻めば更に大きな魔方陣が出現する。

 その魔法陣の美しさに皆が目を奪われている。

 そして1分程の時を刻んだ時その魔法陣の大きさは景色を見渡す限りの大きさになっていた。

 そしてその魔法陣はルーの手の中に一気に収縮する。


 両手をゆっくり開くとそこからは片手で収まる程の黒い球体が現れる。

 そしてその球体から叫びが聞こえる・・・その叫び・・・それは誰にも理解出来ない叫び、幾多の生命なのかそれとも命を持たない者の叫びなのか理解が出来ない・・・でも分かるそれが悲痛の叫びである事が・・・


 その叫びを聞いた者は体を折りたたみ耳を塞ぎ恐怖で体が震えだす。

 カンカウレの街の中の住人、街を囲う壁に居る門兵、ミリア、リー、ダルク、そうこの叫びが届く限りの生き物が・・・そして勿論エンシェントドラゴンも震えている


 「な、な、な、何をしている!」


 体の震えが理解出来ないエンシェントドラゴン。

 あり得ない・・・そうあり得ないのである!自分が最高峰の位置に君臨している事を理解しているエンシェントドラゴンにとって只の蟻の価値しか成り得ない者に対してのその恐怖が!!その恐怖によってもたらされる・屈辱・拒絶・恥・侮辱・汚辱・面恥・恥辱・不義理・それが今エンシェントドラゴンをルーの前に対峙出来ている理由である。


 「まだ何もしてないよ、これからさ・・・」


 ルーはその球体をそっとエンシェントドラゴンに向かい放つ・・・


 「輪廻転成りんねてんせい【神位魔法】」

読んで頂いてありがとうございます。

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