拠り所‐ななつめ
早朝、アスカが目を覚ます。外は儚げな明るさをしている。
「おはようございます。」
アスカは、リビングへと向かう。
既にヴァーゼがなんてことなと家事をしている。
「おはよう。ごめんなさいね、昨日はいつの間にか寝ちゃってたみたいで、ホント、ありがとうね。」
アスカは、首を振りながらいえいえと、瞳を閉じる。
「アスカさん朝ごはん?用意するわよ。」
「えっ・・・本当ですか?いいんですか?じゃぁいただきたいかな、なんて・・・へへ」
そうするとしばらくして、緑と赤の挟まれたパンが出される。そしてコトっと昨日見たコップが置かれる。
アスカは一口すする。真水それは朝にはありがたかった。
すっと冷たさが喉を通り、目覚めとは何たるかをアスカに教えていく。
潤い、際立つ渇きがさらにアスカの口を進ませる。
パンを噛み、水を通す。噛み、流し込む。
それを繰り返し、朝食を済ませると、ようやくアキナ達も目覚め、どたどたをリビングへと入り込んでくる。
ヴァーゼは再び、朝食の準備をし、食卓を彩らせる。
皿を置き、片していく。それの繰り返し、そうしてようやく、自分の食事もになると、次には洗濯物を干している。
服やら布やらを叩き、水分を飛ばしていく。竿にかけ、思わず日差しに目をくらます。
桶にためておいた水を流し、それも竿に吊るす。
「次は掃除、掃除・・・・」
ヴァーゼは、頭に頭巾を被せ、埃やら汚れとやらを始末していく。
雑巾を絞り、手を洗う。
額を拭い、髪を梳く。
せわしなく動いていたヴァーゼがようやく椅子に座ると、両腕を枕に机に伏せる。
そして言う。
「アキナさん。お昼ごろになったら起こしてくれるかしら。少し眠ります。」
アキナがはいっと答えるがヴァーゼからの返答はなく、すでに夢の世界に入り込んでいる。
アキナは外をみる。
無邪気なヴァサーがアスカ達とともにまた遊んでいる。
木の棒を振り回し、カンカンとそれぞれの持つ木の棒で打ち合っている。
そんな姿に、周囲の緑も楽しそうにそよいでいる。やけに強い風ととももに、アスカの髪が揺れている。
「綺麗・・・・」
アキナから思わず言葉が漏れると、その口を塞ぐために片手が勢いよく動く。
振り返り、ヴァーゼを見る。
ピクリとも動きはしない。そのまんま机に伏している。浅い呼吸のまま、静かに眠りこくっている。
昼が過ぎ、夜になる。
また酒の匂いが残るコップをアキナ達が洗い、片付けを済ませる。
そうして暫くたってから、ヴァーゼが食後の眠りから目を覚ますと、のそのそと身を動かし、寝る支度をしていく。
日記をつけ、火照る体を冷ましながら、ぼうっと外に視線をおくる。
一時間、二時間と、ただただ時間が過ぎていく。
窓枠に収まる闇の世界にふわふわ、ふわふわと蛍が飛んでいく。
髪紐をほどき、ヴァーゼの体はベットに沈み込んでいく。するとようやくその瞳が閉じるのだった。




