ママ‐じゅうにこめ
数日たって、アスカの手元には新たな依頼書が届いていた。
「ハッセン・・・・・はやく見つけ出さないとだなぁ。」
アキナは、アスカの顔の横からそれを覗き、そうねと同意する。
「まっ!一個ずつね、行きますか。依頼もこなして、ハッセンの情報も集めて、また頑張りましょう。」
アスカは、体を伸ばしながら、首を二度三度鳴らす。
そしてアキナの母の言葉を思い出したのか、自分の腕やら脚やらの太さを確認していく。
「お世辞よ。あんまり気にしなくていいわよ。きっと。」
「ええ、結構うれしかったんだけどな。」
最近は闘うことも多いし、と愚痴を溢しながら自分の体を見続けていく。
「でも母親ってああゆう感じなんだよな。俺の母さんは、もう死んじゃってるんだけど。」
「・・・・触れずらいわね。」
「確かに。まぁでもなんか俺は若干楽しかったよ。あそこ。アキナはどうだったかは分かんないけど。」
「そうねぇ・・・・・思ってたよりも・・・・・なんか、うん。やっぱり言わない。これは私だけのもの。だから内緒。」
アキナは、唇で指を立て、はにかむように笑って見せる。
赤みのある頬が持ち上がり、目元に近づく。
泣いてたときみたいだとアスカは思うと、ぐっと身が固まる。しかしそれを強引に緩め、笑い返す。
「じゃぁ、俺も内緒ってことで。」
「ええ、じゃあって何よ。じゃあって。」
そんな会話もイエレナが転んだことで一度途切れる。
両方の手を繋がれたせいか、両足を引きずりながら体だけが前に推し進められていた。
「だ、だいじょぶ?」
イエレナは一度、手を自由にし、足元の砂ぼこりを払う。
アキナもそれを手伝うかのように帽子の位置を直したり、羽織っているものを直したりなどしていく。
「気を取り直して、行きますかね。」
そうして、アキナの故郷から完全に離れていくのだった。




