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プレーオフ!

野球王国の二部リーグでは9月の後半から10月の始めにかけてプレーオフが始まる。

五つある二部リーグの一つで如月レイカーズは優勝を果たし、プレーオフに進出した。

プレーオフでも順当に勝利を納め、レイカーズは一部リーグ降格の可能性のある天海チーフスと対戦する。


「何とか3勝3敗ね。」

瞳子は話す。ここ何年も降格したチームがいないことを考えれば、やはり一部リーグは強い。


「そうですね。でも出来るだけのことはしました。あとは選手と監督を信じるのみです。」


「昨年は完敗した。でも今年はまだ敗北が決定してない。流れはうちにあるわ。」





「試合も終盤戦。7回ではどんな攻防を見せるのでしょう。」

実況アナウンサーと解説者は試合を語る。


「昨年は如月レイカーズは一部リーグ降格チームとほぼ互角に渡り合っていました。」

一部リーグ降格と昇格を争うシリーズ。試合の得失点差としてはレイカーズは相手のチームに負けている。やはり実力では相手に軍配が挙がる。

しかし接戦で白星をもぎ取り、このシリーズでは何とか3勝3敗で最終戦に持ち込んだ。


「今回もそうですね。プレーオフ最終戦の第7試合までもつれこみました。」


第7戦。降格チームとレイカーズは初回に互いに得点を入れるが、その後は同点のまま7回まで進んだ。


レイカーズの守備のイニング。7回に登板した投手は連打を浴び、1死で走者は一二塁。


「さて如月レイカーズはこのイニングで相手の攻撃を止めることが出来るのでしょうか?。」


「この回で失点するのはレイカーズにとってはとてもダメージが大きいですね。」

解説者が話している間にレイカーズ監督は投手の交代を審判に伝える。その後、観客席ではどよめきが生じる。


「おおっと、レイカーズ。このタイミングでクローザーが出て来ました。」


「監督の判断は悪くはないですね。この回が試合の流れが決まる瞬間だと感じたのでしょう。」

相手チームの打順はクリーンアップでランナー一二塁のピンチ。

レイカーズ監督はこのピンチに対して、ブルペンで最も信頼のおける投手を起用した。


「二部リーグではありますが、優勝チームのクローザーになれる選手。実力は一部リーグでも活躍出来る能力はありますね。」


レイカーズクローザー武田。

登板した後、最初の打者は力勝負の末に三振に打ち取る。

この投手は最近の2ヶ月は最終回以外でも登板していた。試合前には監督と投手コーチとの相談で最終回以外で最大のピンチがあれば起用すると明言されていたので、身体と精神的な準備は事前で出来ている。


「この投手は最近は臨機応変に使われていますね。クローザーの地位に就いている選手ではありますが。」


「このタイミングで使いますか。いやでも悪くはないですね。ここで失点すれば決勝点になりかねない。」


二死一二塁。武田は追い込んだ末に外野フライに打ち取る。会場は大きくどよめいたが、立派に火消しは完了した。





流れというものは人の目には視えるものではない。しかしわかるものには感じられるように、確かに存在する。ピンチが訪れた後には必ずチャンスは来るものだ。向こうに流れた波は今度はこちら側へ流れて来る。


試合は9回表。ノーアウトで四球でランナーが生まれると、今度はセンター前のヒットでランナーが貯まった。

「今度はレイカーズにチャンスが巡って来ました。」


「バッターは今季からレギュラーの定着した東條。」


「あまり注目はされてはいなかったバッターですが、今季は20本塁打-20盗塁とブレイクしました。」


「一塁手の割にはよく走る選手ですね。」


「しかし求められる結果は得点でしょう。若い主軸は見事に結果は残せるでしょうか?」


しかしチーフスは投手の交代を行う。9回でのピンチにチーフス監督は別のリリーフ投手で対応することにした。

しかしここで名前を告げられたのはチーフスクローザー田沢ではなく別の投手。


「クローザーの田沢を出しても良かったとは思われますが。」


「延長戦を考慮した結果でしょうか?」


「一部リーグで18セーブを挙げたチーフスクローザーはまだブルペンで待機中ですね。」



チーフスクローザー田沢はレイカーズ東條を簡単に2ストライクに追い込む。しかし東條はその後の投球はファールで粘る。選球眼の優れた東條は簡単にはボール球には振らない。

そしてカウント3-2

東條はフルスイングした。


「打球が飛びました。ぐんぐん伸びるっ!。これは。」


「入りました。3ランです。レイカーズが勝ち越しましたっ!」


レイカーズは9回表で3点の勝ち越し。球場が湧くなか、チーフスクローザー田沢はブルペンでその声援を聞いていた。チーフスブルペンで一番信頼できる投手はこの試合では結局は一球も投げずに。

その後、9回裏のチーフスの攻撃は1点入れることは出来たが、結局そこで終わってしまった。



「瞳子さん。」


「勝ったのかしら?」


「はい。でもこれで終わりではありません。」


「そうね。仕事はこれからね。」

MLBのプレーオフのある試合を参考にしました。

名将と言われた監督がまさかのクローザー温存での敗退。

逆に信頼できるセットアッパーを縦横無尽に使ったチームが最後まで残った年でもありました。

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