第58話
「さぁ〜てとりあえず寮に戻るか!」
疲れる程の試験ではなかったが、時間を持て余したからとりあえず部屋に戻って一眠りするかと歩いていて食堂に通りかかった時だ…
ドークスが食堂からでてきた。
「くっ!卑しいお前がどうして!のうのうと!さっさと視界から消えろ!ゴミが!」
「いやいや、たまたま通りかかってばったり会っただけなのにひどい言いようですね。こっちもあなたに用はないのでいなくなりますよ〜だ!」
アイツは研究棟の方へ歩いていった。
…まぁ警戒はするけど、そこまで気にしないのがいいかな。
試験合格していい気分だったのに何か一気にダルさがでてきた。はぁ〜本当にテミス家と縁が切れてよかった。あんなのが兄貴なんだったら人生半分以上損してしまう。
部屋に戻ると机に書置きがあった。
「どうせ合格してるんだろうからお祝いしよう!ハルとフラウとお姉様にも声かけとくからね!場所は商店街にあるレストランで。 スティア」
か〜っ!ルームメイトに恵まれて良かった!
とりあえず…時間…あるし…眠いや…おやすみなさい。
……………………
トントントン
「マァト起きて!時間だよ!予約してあるんだから起きて!」
「ん?あぁ…」
思ったよりぐっすりと眠ってしまったようだ。あたりは日が落ちて黄昏の空が広がっていた。
「一応…確認だけど…合格…してるよね?ね?」
「それが…実は…」
スティアは大丈夫なんだろうと思いながらも恐る恐る確認してきたから少しためてからかってみた。
「え?嘘!落ち…」
「合格してるよ。もちろんね。」
「もう!なんだよ!ビックリしたじゃないか!でもマァトにとっては当たり前なのかもしれないけど、合格おめでとう!無事通過したみたいでよかった。さぁ!時間だから行こうか!」
「うん!」
店に入ると既に三人は到着していた。
「「「マァト!おめでとー!!!」」」
そしてガシッとタックルしてくるのは姉である。
「マァ君は次から同級生だね!私は楽しみでたまらないよ。」
「姉さんは試験大丈夫なの?」
「まぁ…大丈夫…な…ハズだよ。」
本当に大丈夫なのだろうか…
「私も一緒に上がる予定だからディケさんよろしくね!マァト1人だけ飛び級なんて許さないんだから!」
「ハルもスティアもフラウも今度は俺が先生になるからちゃんとついてこいよ!ビシバシいくからな!」
「マァトのビシバシはちょっと怖いから加減してね。…スティアもちゃんとついてこれるのよね?」
「大丈夫だよ!フラウ。マァトは出来ないことは言わないさ。ちょっときついかもしれないけど…いや、ちょっとじゃないかもしれない。」
「みんなのがんばりに精一杯応えられるように俺もがんばるよ!実習の練習もいるならいこうか?」
「マァ君と練習できるなら私はお願いしたいな!」
「あ!ズルい!私もお願いするつもりだったのよ!実技の訓練もお願いするわ!」
「わかったよ。みんなまとめて進級頑張ろう!でもすぐは手伝えないかも…」
「「「どうして??」」」
「まだ確定ではないんだけど、先生にお願いしてダンジョン攻略許可をもらおうかと思ってる。試験官の先生は問題ないと思うって言われたから明日にでもお願いしてくるつもり。そうなれば何日かは潜りっぱなしになるだろうからそれが終わってからね。」
「あなたがメチャクチャ強いのは実習でも見てるから知っているけど、無理はしないでね!ちゃんと帰ってくるのよ!」
「ハルは俺の母親かよ!大丈夫!命が一番大事だから無理はしないさ。ただ、自分の実力がどこまでなのかを調べるためにもね!もし踏破できたらまたみんなでお祝い頼むね。」
「もぅ!いつあなたのお母さんになったのよ!せめて…」(せめて奥さんくらいにしてよ!)
「ん?なに?ゴニョゴニョして聞こえない」
「知らないわ!もう!せっかくのご飯冷めてしまうから食べましょう!」
……………………
「あ〜お腹いっぱい!楽しかった!みんなありがとう!今度は俺がみんなを祝う会を開かせてもらえるようにがんばってね。」
「せっかくいいルームメイトと一緒になれたかと思ったらすぐ一人部屋になるんだもんな〜マァトいなくなった分ここにフラウが来てくれるなら最高なんだけども…」
「スティア何言ってるのよ!私が男子寮に行けるわけないでしょ!…」(いけるなら私も行きたいわよ!)
「私もフラウと離れちゃうのか〜寂しいな〜!ご飯は一緒に食べられるだろうけど…たまに私の部屋に泊まりにおいでよ!」
「行く行く!…ってそれってできるの?」
「同性で1人までならたまにできるそうよ。」
「え〜私も混ぜてよ〜!マァ君の部屋には行けないからせめてハルのお部屋には遊びに行きたいな!」
「是非!いらっしゃって!私も遊びに行きますね!」
あ〜女子のキャッキャウフフは見てて尊いな…
楽しい夜の時間はあっという間に終わってしまうようだ。
翌朝授業時間前に先生にダンジョン許可を取りに行ったら試験官から聞いていたのか許可証を持って待っていた。
「あ!先生。もう知ってたんだ。ダンジョン入って大丈夫?ソロの予定なんだけど…」
「あぁ。お前の強さなら心配ない。でも20層より先は未踏領域だ。十分に気をつけろ。入るなとは言わないが、自分の命を守る境界線は踏み越えるなよ。そうだな…とりあえず10日間までとしておこう。それ以後は一旦俺の許可を再度取りに来い。安全のためだわかってくれ。」
「10日ね!それだけあればベッドが恋しくて戻ってくることになるよ。心配してくれてありがとう。楽しんでくるよ!」
その日は商店街で食料や必要物資を買い込んで準備を終えた。
翌朝、今までの踏破済みの5層に転移で移動した。
「さぁ!攻略開始だ!」




