第20話
宿に戻ると疲労感に耐えきれずに寝てしまった。
「よく眠れたか?」
「師匠。おはようございます。それはもう!ぐっすりと。」
「とりあえず飯にでもしよう。」
「はい!」
プライドとグリードは丸まってぐっすり寝ている。まぁご飯の時間くらいは大丈夫かな
「昨日は玉が急に現れたのは何かわかるか?わかるのだろう?」
「はい。師匠にはわからなかったと思いますが、あの時、俺だけが異空間に転移させられていてそこで天使と一戦交えてきました。天使って本当にいるんですよ!ただの壁画の伝承ではなくて本物の。そこでスキルのことはまだ解明されなかったけど、すこしやってみたいことが見つかりました!」
「やってみたいこと?それは?」
「遺跡探しです。今回のようなところがまだ他に6カ所あるようでそこで天使に会ってほしいと頼まれました。魔族領もこんなに広いのに世界はもっと広い!各地を回って旅をしたいなと。」
「そうか…それならばあと1年ちょっとでこの魔族領の旅も一旦終わらせた方がよいじゃろう。」
「終わり…ですか?なんで??」
「世界を知るには学園にいくのがおそらく一番良い。お主も兄弟がいたのなら仕組みはわかっておろう?12歳になればどこかで初級に入らねばならぬ。」
この世界では12歳になるとその地域、国で初級学校というところに入る。そこで初級、二級を取得して昇級試験に合格すると中立学園都市の中級学校にはいる。そこで三〜五級をとりまた試験を合格できれば上級学校に入る。そこで六、七、卒業試験を合格できれば無事卒業。
昇級は能力によるものなので飛び級なんかもザラにある。でも同じ級には三年までしかいられないため、グズグズしてると強制退学となる。
「でもなんで魔族の師匠がその仕組みを知ってるの?」
「魔族は龍人族とちょこちょこ交流があるのだよ。ワシにも友人がおる。お互い長命種だからもう何十年か会ってはおらんが元気にしとるじゃろうて。お主は元の国で学園には入られんのだろうからそのツテを頼ってみよう。」
「ありがとう。ありがたいけど、頼っていいのかなぁ?確かに年齢に達して学園に行ってないのは不自然だけど、そもそも俺たぶん死んでることになってるだろうから色々面倒くさいと思うんだよね。」
「時代は違えど同郷のよしみじゃ。お主はもうワシの息子のようなもんだし、今さら変に気を使われる方がむず痒いわ!学園で学び、その足で世界をまわったら話を聞かせてくれ。その見聞をワシに話すことが入学への礼にでもしてくれ。そもそもまだ1年ちょっともあるのだし、ゆっくり考えたらよい。」
「…ありがとう。」
「ひとまず龍神国へ渡るためにも西の端まで行かんとな!そこには山がなく平地に村が接しているだけでわかりやすく境界線もないのだよ。おかげで魔族との交流も盛んなのだ。ただ龍神国でみればド田舎の僻地じゃからそこからの移動も考えねばならんのぅ。」
「そろそろ部屋に戻りましょうか?グリードとプライド達起きてるかもしれません。あの子達のご飯もあげたいし。」
「それがよい。」
部屋に戻るとまだ2匹ともぐっすりだった。
「ごはんだよー!そろそろ起きてー!」
「きゅう?」
「ぐぅっ?」
出された皿には目もくれず俺の肩に乗ってきた。
「あれ?ごはんは?」
二匹とも首を横に振る。
「ご飯食べなくても大丈夫なの?」
2匹とも得意げにしている。
「こんなにかわいらしくてご飯代かからないって…最高じゃないか!!そうか…見た目は生き物だけどスキルの実体化だからお腹が空かないってことかな!」
「残りの時間も限りある。そろそろ出発しようかの。」
「はい!」
また西へ向けての旅が始まった。
しばらく経つと町についた。ここは天狼族のフォルダムという領主が治める領都のようだ。
「なかなかに賑わっておるようだな。ワシの領都と並ぶくらい人が多いな。」
とっても賑わっている。出店も多くでている。
ドドドドドドドド
「うぉーーい!」
「あっ…ここはあやつの領都だったか…マァトがんばれよ。」
「ん?何を?」
すっごい勢いでゴリラみたいなのきたんだが…
「ノブナガー!久しぶりだ!こちらにくるのなら知らせてくれたらよかったのに!闘技場も確認せにゃあならんだろうにー」
「師匠この人誰?闘技場?」
「今日はせっかくだからお主が相手をしてやれ。こやつはここの領主のフォルダム。天狼族といって生粋の脳筋戦闘バカじゃ。あやつとやるのはもう飽きたわ」
「バカとはなんだ!まずはそこの子どもが相手か?そのあとはノブナガとだな!我はここいらの領主をしているフォルダムという。強き者と戦うことが生きる楽しみとしてる。」
「ワシはやらんと言っておろうが!こやつはマァト。ワシの子どもみたいなものよ。今は魔族領をあちこち旅している。マァト!ステータスともスキルとも違う強さを持ってる者との戦いも1つの経験じゃ。いってこい」
「はい!俺はマァト・テミス。ニンゲン族ですが、よろしくお願いします!」
「若いが礼儀がなっているようだ。一戦いってみよう!闘技場に案内しよう。」
走ってきた時は勢いに気圧されたが、よくよく見てみると強者のもつ特有のオーラみたいなものを感じる。強いんだろう。
胸を借りるつもりで一発いってみよう!




