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アンダーグラウンド・サンクチュアリ:49歳の穴掘りから始まる異世界再生  作者: 盆ちゃん


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第80話:星の査定官(アセット・マネージャー) ―50歳、宇宙の「断捨離」を差し止める―

第80話:星の査定官アセット・マネージャー ―50歳、宇宙の「断捨離」を差し止める―

1. 空から降りてきた「合理的絶望」

 辺境の村の井戸掘りを終えた盆山とベアの前に、それは音もなく現れた。

 銀色の滑らかな流線型をした、巨大な「モノリス」のような物体。そこから投影されたのは、古代の衣服を纏った中性的な姿のホログラム――月の裏側の廃棄エリアを統括する自律型エージェント『セプテントリオ』だった。

「……惑星番号309。評価:修繕不能な老朽資産。……現住種族による無秩序なパッチ修正(盆山の工事)を確認。……しかし、中長期的な維持コストが資産価値を上回っています。……本惑星を『解体処分』し、構成物質を純粋エネルギーとして回収する工程を開始します」

 盆山茂(50歳)は、作業ズボンの膝についた泥を払い、一歩前に出た。

「……おい。勝手に他人の家を『事故物件』扱いして取り壊そうなんて、どこの悪徳地上げ屋だ?」

2. 施工:歴史と汗による「資産価値の再証明」

 セプテントリオは無機質な瞳で盆山を見下ろした。

「……個体名:盆山。あなたの補修は『一時的な延命』に過ぎない。数万年単位で見れば、この星の地殻疲労は限界だ。解体こそが、宇宙の熱力学における『正解』です」

 盆山はニヤリと笑い、バックパックから一冊の分厚い「資産台帳」を取り出した。それは彼がサンクチュアリを立ち上げてから今日まで、世界中で行ってきた全工事の「保守点検記録」だった。

「ベア、ルナ、アイリス。……全ネットワークを同期しろ。……この査定官殿に、俺たちがこの数年でどれだけ『耐用年数』を伸ばしたか、数字で叩きつけてやれ」

 盆山が示したのは、単なる強度計算ではなかった。

「……見ろ。バベル・シャフト(第55話)が運んでいるのは荷物だけじゃねえ。地上の熱を宇宙へ逃がし、星の呼吸を助けてる。海底トンネル(第71話)は、地殻の歪みを吸収する『緩衝材』として機能してる。……俺たちは壊れた星を直したんじゃない。……星を『生きた機械』としてアップデートしたんだよ!」

3. 50歳の職人談義:『寿命』は誰が決めるもんじゃない

 盆山と仲間の執念がこもったデータが、セプテントリオの論理回路を埋め尽くす。

「……修正。……現住種族による『自主管理能力』を上方修正。……解体工程を1000年間の『経過観察』へと変更します」

 銀色のモノリスがゆっくりと上昇し、雲の向こうへと消えていく。

「……ふぅ。……1000年か。……現場監督の保証期間としちゃ、まずまずだな」

 盆山は震える手でタバコを出し、火をつけた。

「……いいか、ベア。……誰かに『もうダメだ』と言われた時が、本当の仕事の始まりなんだよ。……職人ってのは、その『ダメだ』を『いける』に変えるために居るんだからな」

80話~完~

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