『輝いて』
ある日、俺たちは新作発表回と、G2初となる公式デビュー戦に招待された。
相手はランキング1005位――『閃光のルル』。
ちなみにECOは5260位。どう考えても格上で、勝てる気はしない。
ただし勝利賞金は200万円。
運良く勝てたら……いや、奇跡でも起これば……。
居酒屋を臨時休業にし、シン・シュウ・ECOの三人は、開催される隣町の巨大ドームへと向かう。
途中――。
少し前を歩く子供が縁石の上で無邪気にはしゃぐが、足を滑らせて車道へ飛び出した。
「おいおいおいおいおいッ?!」
シンは迷わず身を投げ出し、迫るトラックから子供を庇った。
鈍い衝撃。
視界が一瞬白く染まる。
バンダナに滲む血を押さえながらも、シンは歯を食いしばり笑った。
「……ハァ…だいじょうぶか?」
全身が痛む。だが子供は無事だ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
泣きじゃくる声に、シンは笑みを浮かべる。
「よかった……いや、本当によかった」
だが、自分の足元はふらつき、呼吸は浅くなっていた。
「__ちょっと…面倒事になったから……シュウ。お前に試合を任せる」
シンはスマホを弟に押し付け、笑ってみせる。
「大丈夫、ECOは強い。必ずやれる」
「兄?!、僕も残る。だって――」
「すごーくワガママな事を言う。俺は、お前とECOのタッグを見たい!」
シンは力強く言い切り、ECOを車椅子に載せた。
「お前に託す。……心配すんな…俺は必ず追いつく」
呼び止める弟に、親指を立てて笑った。
巨大なドーム会場
観客二万人。
天井から光が降り注ぎ、歓声は地鳴りのように反響する。
だが、それは祝福ではなかった。
「ガラクタだぞ!」
「場違いだ! 帰れ!」
シュウとECOは、嵐のようなブーイングに晒される。
しかし――その騒音を引き裂く声があった。
「やかましいッッッ!!! 愛の言葉も言えんのかッッァバカどもッッ!!」
客席で立ち上がったのは、みっちゃん。
みっちゃんの一喝に、観客は息を呑む。仁は黙って立ち、鋭い眼光で周囲を黙らせた。
その気迫に、観客は青ざめて口を閉ざした。
そしてみっちゃんは、にこやかにシュウ達に向かって手を振った。
仁はコッソリとみっちゃんに事情を告げ会場を後にした。
(頑張るのよECOちゃん、シュウ君、そしてシンさん)
アナウンスと同時に、試合が始まる。
『……シュウさん、開始です』
一方、
「なんで1005位の俺と5260位の旧型が同じステージに立ってるんだよ?!……だが、ルル、僕は優しいよな?遊んでやるぞ…」
理不尽な状況に怒りを抑えきれず、ECOに八つ当たりかのように砲撃ビット自体で体当たりしてきた。
「ECOさん!?避けてください!!えぇと…援護しなきゃ!!」
緊張で手が震え、シュウのビット操作は空を切るばかり。
ECOは防御に回るも、相手のビットの連撃に翻弄される。
力こそは無いものの、速さに圧倒される。
防衛のみが今のECOの手一杯
「あ~あ、やっぱりガラクタだわ!!」
「ガキには無理だ!」
「ああなったらもうおしまいさ」
「黙れ小僧どもッッ! あの子は可愛いんだから応援しなさい♡」
観客は一瞬で黙り、お互いに顔を合わせ、逆にECOに注目が集まる。
「「………たしかに」」
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一方的な試合にシュウの心は折れかけていた。
(……僕じゃ、兄の代わりなんて……!)
『弟様しっかりして下さい。何か策はあるはずです。
あなたは一番あの人の近くで試合を見てきたのです。』
「そんな……わからないよ…僕には兄みたいな柔軟な戦いなんて知らない…僕なんて…僕なんて…」
今にも泣きそうになるシュウ…
その時。
ぽん、と肩を叩かれた。
絶望しかけるシュウの肩を、力強く手が掴む。
「よ!遅れて悪い」
そこには兄が立っていた。
「兄……!」
「任せろ。――奇跡ってやつを、見せてやる」
シンはスマホを受け取り、前へ出る。
懐から光り輝く装備チップを取り出した。
「へいへい!!元気か?まだ、負けるには早いぜ、悪い、遅れた! とりあえずECO、空へ飛べ!」
『遅れてきた人間に早い遅い言われるのは不快です…で策があるのですか?』
「おうよ!」
「逃がすかよッ!」
ルルが放つビーム。
「使わせてもらうぜ親友__装備、【天照】」
ECOは光に包まれる。その輝きは太陽のように眩しく、新たな神の誕生を祝福するかの様にまばゆい光を放つ。
思わず観客席は目をつぶる。
そして、
八つの鏡が宙に浮かび、ECOを守るように旋回し、
ECOの背中に、光の翼のように広がった。
会場の誰もが、ただ“神様”と呼ぶしかなかった。
「なんだあの装備は?!……見たことないぞ!?」
観客は息を呑む。
みっちゃんは手を合わせて呟いた。
「ECOちゃん……女神様みたい……」
ルルのマスターまでもがその姿に動きを止める
「はッ?!ルル!遊びは終わりだ!一気に撃ち込め!!」
我にかえり、無数のビットがECOにめがけてビームが射出された。
「いくぜ!八尺瓊勾玉!」
光の勾玉が出現し、光を放ちECOの傷を瞬時に癒す。
「そして八咫鏡、展開!」
8つの鏡が空間を覆い、乱射されたビームを次々と弾き返す。
会場は反射光で虹色に染まった。
「な?!」
「行くぞ! 天の沼矛ッ!」
伸縮自在の光槍が唸りを上げ、相手を追い詰める。
会場中が、手に汗を握って見守った。
「調子にのるなガラクタがッ!!」
ルルが巨大エネルギー砲を解放。
その時だった。ECOの体から光は消え、装備が消えた
『マスター! 装備が……!』
天照の光が消える。
「あ、すまん、時間制限付きだった…かも……悪い、これで耐えろ!」
シンは巨大な盾を展開させた。
『また根性理論ですか?!非合理的です』
ECOは冷たく言い放ち、砲撃を受け止める。
「負けるなぁッ!!」
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誰もが息を止めた。
煙が晴れ――そこに立っていたのは、巨大な盾を掲げるECOだった。
次の瞬間、歓声が爆発する。涙を流す者、拳を突き上げる者。スタジアムは地鳴りのように揺れた。
「耐えたぞ!」
「ガラクタが!?」
シンの不安は希望へと変わった。
「相手にビットはもう残ってない! 殴れ!」
『了解』
ナックルユニットを展開し、ECOは突撃。
一撃をルルに叩き込む。
追撃で何度も何度も叩き込む。
「勝者――ECO!」
審判の声が響き、ドームが揺れるほどの歓声が湧き起こった。
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「すごい……さすがだよ…兄」
シュウが振り返る。だが、兄の姿はなかった。
そこには地面にスマホだけが落ちていた。
シュウは全てを察し、表彰式を抜け出し、みっちゃんと共に病院へと足を運んだ。
通路では看護師達が慌てふためいていた。
「先生!急いで下さい!!あの患者さんが…あの患者がッッ!!」
慌てふためく、看護師を目にしたシュウは最悪な事態を想定した。
「兄……兄………」
病室の前には見舞いで来たであろう常連さん達であふれかえる。
みっちゃんは彼らを押しのけ、病室を開け放つ。
「いい加減にせんかこらーッ!」
先生らしい人の怒鳴り声が廊下まで響。
そこではグラスを片手にシンが、常連たちと大宴会の真っ最中だった。
「カンパーイ!」
「天ぷらおかわり!いやぁ資さんの揚げ方には敵わないなぁ!!」
みっちゃんはスリッパでシンの頭を叩き、泣いて笑って宴に加わる。
少し遅れて、シュウとECOが病室に入った。
「兄……???」
「おう! 勝ったんだってな! ちゃんと見てたぜ!」
「え……?」
シンは、子供を助けたこと、不思議な体験、そして「天照」を手にした経緯を語った。
にわかには信じがたい話だった____
■天照(Ama-terasu System)
所有者:ECO(稼働時間:最大3分)
取得経路:シンが冥極より譲り受けた“未知の神器ユニット”
ECOの通常エネルギー容量では 最大3分 が使用限界。
起動中は“膨大な負荷”がECOの回路とシンにも反映されるため、
扱いには最大級の注意が必要とされる。
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●八尺瓊勾玉
分類:生命還元型アーティファクト
形状:宝玉。
効果:戦闘中に一度だけ、ECOの傷を修復し、体力を30%回復する。
通常の回復では不可能な損傷、行動不能寸前の状態にも反応する。
ただし一度発動すると勾玉は“灰色化”し、再充填は不可能。
実質ワンチャンの切り札。
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●八咫鏡
分類:自律防御・反射型防御装置
鏡面に宿る光学演算子が、周囲の軌道・熱源・魔力線を読み取り、
攻撃を自動追尾して“跳ね返す”遠隔防御兵装。
特にレーザー兵装との相性が良く、
“入射角を無視した反射”を可能とするため、
戦闘では実質的な 『第二の盾』 として扱かう。
ただし、出力過多の攻撃に対しては、
鏡面が“ひび割れ状態”となり防御能力が低下する。
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●天の沼矛
分類:多形態変換型・近接武装
柄に仕込まれた“変換コア”によって、
あらゆる刀剣・槍・鎖鎌・棍などへの換装が可能な万能装備。
原型は“棒”だが、その内部構造は可変金属と未知の技術でできており、
ECO、マスターの意思を読み取り、最適な武器に瞬時に変形する。
使いこなすには高度な判断力と反射速度が必要だが、
ECOは適応速度の高さから、“天照シリーズとの相性は最良”と診断されている。
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■総評
天照シリーズは、本来入手出来ない。ECOとシンのオリジナル装備となる。
ただし負荷も凄まじく、
3分を超えれ光となり消滅する為、使い所が重要。
「扱い方次第で、神にも鬼にもなる装備」




