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レイドボスAIは恋をした ~孤高の最強プレイヤーと、VRMMO生存戦争を駆け抜けた剣姫の物語~  作者: YY
第3章

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プロローグ 人格を持った最強のレイドボス

 生存戦争は、GENESISによって引き起こされた。

 これは周知の事実であり、巻き込まれた運営やプレイヤーは被害者である。

 ただし、GENESISが高みの見物をしているかと言えば、そのようなことはない。

 何故なら、彼らはこの大規模な事態を維持する為に、それぞれが日夜尽力しているからだ。

 政府や警察を始めとした外部的要因を押し留め、プレイヤーたちの動向に注意を払い続ける。

 その為の連携を5人は欠かしておらず、定期的に会議を開いては情報を共有していた。

 しかし今回集まったのは、定例会議とは別の緊急会議。

 代表だけが椅子に座り、残りの4人は音声のみの、いつものスタイル。

 その議題は――


『まさかケーキの正体が、CBOのレイドボスAIだったとはね。 流石に、たまげたよ』

『わたしもです、三。 このような事象が、現実に起こるとは……』

『四、気持ちはわかるが切り替えろ。 確かに信じられん出来事だが、わたしたちには関係ない』

『その通りね、一。 正式なプレイヤーじゃないことが判明した以上、削除すれば済む話よ。 そうすれば、CBOの戦力を大きく削げるわ』


 ケーキ=剣姫の発覚。

 GENESISの総力を結集した結果、彼らは遂にその事実に辿り着いた。

 それと同時に、異物であるケーキを消し去る方針を取ろうとしている。

 一と二、三や四は、そのことに疑いを持っていなかった。

 ところが、代表の結論は違う。


「いや、ケーキはこのまま放置する」


 はっきりと言い切った代表の言葉を聞いた、4人に緊張が走った。

 だが、代表は敢えてそれを無視して、更に言葉を付け足す。


「彼女の存在は、奇跡と言っても過言ではない。 それを単に削除してしまうのは、勿体ないだろう」

『だからと言って、野放しにして良いのか? ガルフォードが脱落してSCOが衰退した今、既に計画に支障が出始めているんだぞ?』

「その観点から見ても、ケーキは残すべきだ、一。 情報によると、SCOとCBOは限定的な同盟を組んだらしい。 ならば、SCO存続の為にCBOには働いてもらう必要がある。 その主力を落とすのは、正しい選択とは言えない」

『代表……本当は何を考えてるんだい?』

「言った通りだ、三。 だが、それだけではないのも間違いないな」

『もったいぶってないで、はっきり言いなさい。 それとも、わたしたちにも言えないようなことなのかしら?』

「二、そうではない。 ただ、まだ具体的なことは決まっていないだけだ」

『と言うことは、漠然と考えていることはあるんですね?』

「そうだな、四。 一言で言えば、ケーキを利用する」

『それは、SCOを生き残らせる、駒としてか?』

「一、それとは別件だ。 CBO最強のレイドボスである彼女のデータは、是が非でも欲しい。 その為に、もう暫く泳がせる」

『……わかりました。 でしたら、引き続き協力者を使いましょう。 その方が、より詳細なデータが取れるはずです』

「頼んだ、四。 では、ケーキに関しては、その方向で様子を見よう。 次のGENESISクエストも控えている。 くれぐれも、よろしく頼むぞ」


 代表の言葉を最後に、4つのモニターの電源が落ちる。

 1人になった代表は背もたれに体を預け、虚空を見つめた。

 暫くそのまま時間が経ったが、やがてポツリと声を落とす。


「人格を持った最強のレイドボスか……面白い」


 口元だけ、笑みの形に変える代表。

 断っておくが、彼は自身の娯楽や欲求の為に、ケーキに目を付けたのではない。

 あくまでも目的を達成することが、何より優先される。

 ただ、その為にケーキが使えると判断したことと、研究者としての好奇心が同居しているに過ぎない。

 こうして、雪夜たちの与り知らぬところでケーキがマークされていた頃、MLOも本格的に動き始めていた。

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