第123話 『変わる景色 変わる意識』
2026-01-02公開
〔王国歴378年 準陽神月 25日〕
「やはり被害は甚大になったか。初めての地震に耐えられ無かった建物が多かった様だな」
「チベタニア領も他人事では有りませんな。やはり既存の村に手を入れずに、ダンジョンに避難場所を造る方が確実でしょうね」
「そうだな。地割れと地形の隆起が思ったよりも厄介そうだ。地盤が緩いのだろうな」
今は筆頭従士のディック・テイホフと簡単な打ち合わせ中だ。
『西方大魔震災』発生から15日が経って、現地の被害状況が徐々に入って来ていた。
とは言え、本来なら情報伝達網の末端と言って良いチベタニア領では、遠い地の事など何もしなければ得られる情報はごく僅かだ。
幸いな事に神殿経由とスタール子爵経由とエレムからと3系統も揃っているから、鮮度は落ちるがそれなりの情報は得られている。
被害が拡大した理由は明白だ。
諸神教を異教とする地域が多く、魔震災発生予告の情報を頭から無視したからだ。
もし、精霊絡みの宗教だったらむしろ正確な情報を得られたであろう。
現にルクナ村は、村を庇護している精霊、ルクナマクス様から情報を貰って、魔獣の氾濫に備えて戦力の強化に努めていた。
アルマとエッサの2人が武者修行の旅に出ていたくらいだからな。
だが、西方の地では大昔に或る教祖が立ち上げた宗教が存在し、その教えを守る人由来の宗教が主流だったので、ほぼ備えも無く魔震災に見舞われた格好になった。
「明日には避難計画の素案が上がる予定です。避難所の設計案、想定される必要数、それに合わせた資材の手配、そして建築期間、人手の手配、まあ、叩き台くらいにはなるでしょう」
「優秀な官僚団を持っている領の強みだな。まあ、そうでなければ俺が忙しくてたまらんから有難い限りだ」
「とは言え、閣下の先進型鎧兵が居なければ、机上の空論になりかねませんが」
「まあ、それ込みでこの領を任されたんだ。陛下のご期待には応えたいからな」
この領に連れて来た先進型鎧兵は22体だ。
リリーの警護にゼロゴウとサンジュウキュウゴウの2体。
開拓、土地開発、兼建設用特化したジュウヨンゴウ、ジュウゴゴウ、ジュウロクゴウ、ジュウナナゴウの4体。
警備、治安維持用のゴジュウゴウ、ゴジュウイチゴウ、ゴジュウニゴウ、ゴジュウサンゴウの4体。
戦闘部隊としては、イチゴウ、サンジュウサンゴウ、サンジュウヨンゴウ、サンジュウゴゴウの第1小隊。
ヨンゴウ、サンジュウゴウ、サンジュウイチゴウ、サンジュウニゴウの第4小隊。
ナナゴウ、サンジュウロクゴウ、サンジュウナナゴウ、サンジュウハチゴウの第7小隊。
計3小隊12体になる。
うん、たかが男爵領に居て良い戦力では無いな。
どう考えても国王陛下直属にしておかないと反乱を疑われてしまう戦力だ。
「そう言えば、先進型鎧兵に対する反応はどうだ? 3ヵ月も経つからそろそろ馴染んだと思うが」
「かなり好評ですね。グスタフソン騎士爵領の時にも思ったのですが、治安を担う者が腐敗しないという事は安心感と治安の良さに繋がります。今は畑仕事に従事している先進型鎧兵も農民とは比較にならない力持ちですから、かなり頼られている様ですよ」
そりゃあ、戦闘関連の能力を減らして建築や農作業に特化させているからな。
高位の討伐士が常に身体強化を掛けて農作業している様なものだ。
「追加の先進型鎧兵はもうしばらく待たなくてはならんのがもどかしいな。ああ、贅沢な悩みだという事は分かっている」
アキとアケの2体の妖精が頑張っている事を知っているから焦っても仕方ない事は理解しているし、そもそも他領では全て人力か使役獣でこなしている作業だからな。
「おっと、そろそろ新兵の訓練の時間ですね。参りましょうか?」
「そうだな。『御強い領主様』の時間だな」
発足して間が無い領衛隊は現在、新兵としての訓練期間だ。
討伐士上がりも多い為、一度、高くなっている鼻っ柱を折る必要が有った。
バラゴラ戦役に従軍した時の様に、戦闘部隊の先進型鎧兵を使っても良かったんだが、やはり最初は人間の方が良いだろうという事で俺が担当する事にした。
何気に剣技だけでも実力は3級討伐士の下の方には届いているから、適任と言えば適任だ。
それに強い領主という事を実際に体験した方が統制を取り易いしな。
さあて、何故俺が『戦鬼男爵』と呼ばれるかを心身ともに叩き込んでやろう。
「閣下、あまり暴れられると新兵どもが自信を無くし過ぎるので、ほどほどでお願い致します」
おっと、ちょっとやる気が過ぎて、戦気が漏れていた様だ。
あけましておめでとうございます\(^o^)/
今年もよろしくお願い致しますm(_ _)m
春頃までには本作を終わらせたい今日この頃(´・ω・`)
まあ、無理でしょうけど(^^;)
次作は異世界孤児院モノか現代ファンタジーモノを書きたい気持ちが有ったり・・・(*´ω`*)




