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最終ラウンド・拳闘(ステゴロ)聖女爆誕?



 (……この脳筋……絶対に負けてたまるもんですか)


 お互いに見合いながら、ミライクとカテーナが次第に距離を詰めていきます。しかし、カテーナの意気込みに対しミライクは力まず、いつもと同じ構えで待ち受けます。


 最初に出たのは、やはりカテーナでした。手に持った杖を地に突き刺し、短詠唱で飛翔の術式を駆使すると、地を這うような低さを飛び、真下から突き上げるようなパンチを繰り出したのです!!


 懐深く突き刺さるような右フックを十字受けで止めたミライクは、その重さに軽く身を浮き上がらせましたが、


 「おっ!! やるじゃん!!」


 全然気にしてません。いやむしろ嬉しそうです。変態です。


 「それじゃあ、お返しっ!!」


 真上から叩きつけるようなアームハンマー! 両手を握り締めたまま、全力で振り下ろす乱暴な一撃は、


 「……手加減抜きって、訳ね」


 辛くも避けたカテーナの脇を抜け、風圧で彼女の髪をふわりと舞わせました。


 「でもね、当たらなければ……無意味よ?」


 その至近距離でカテーナは更に【身体強化】を重ね掛けし、上乗せした膂力を駆使した激しい乱打を打ち込みます!


 小柄な者同士の戦いですが、カテーナも戦い方の(ことわり)を知っている者です。的確に正中線を外さぬ打撃を、防御を掻い潜りながら次々と打ち込んでミライクを追い込んでいきます!


 「ぐっ!? すごいなぁ……プロボクサーだって、こうは効かないよ……」


 避けたつもりのレバーブローがミライクの表情を変え、動きの止まった彼女の側頭部目掛けてカテーナの膝が飛びます!


 「っ!? 止めるとは……流石ね」


 しかし、辛くも腕を挙げてガードが間に合い、カテーナの一撃はミライクの上体を揺らすに留まりました。


 「ひとつ、聞いてもいいかしら」


 カテーナは距離を取ってからミライクに問い掛け、


 「……口の利ける内なら、いいけど?」


 ミライクも応じてガードを解かぬまま、一歩後ろに下がりました。



 「……あなた、ヤレンナー君と一緒になって、何がしたい?」


 意外に普通な質問に、ミライクこと郁美はちょっとだけ考えた後、さらりと答えました。


 「うーん……そうだなぁ、世界統一、かなぁ?」




 「はああああぁ~っ? な、何言ってんの!?」


 柄にも無く動揺するカテーナに、ミライクは平然と答えます。


 「……この世界って、あんなデッカイロボットで戦したりしてんでしょ? それに、カテーナさんやジレッテーナさんも……戦って国を守ったりしててさ。だったら……」


 そう前置きしたミライクは、構えを解いて、空を見上げながら、言いました。


 「……だったら、私が世界統一王者になって、チャンピオンになれば……いいんじゃない?」






 ヤレンナー君と私は、それから正式に婚姻の儀式を終えました。まあ、形だけの結納みたいなもんでしたが、私は別に気にしてません。


 ハラグローリィ家の三人と和解した私が、それから沢山の人と出会いながら、大陸制覇に向けて戦いを繰り広げていくのですが……まだ、それは先の話。





 「じゃー、ヤレンナー君は腹筋五百回ね? 私も付き合うから、直ぐに始めようね」


 「はいいいぃ~っ!?」


 今は、取り敢えずお義父さんと同じ位にマッチョになってもらう為、ヤレンナー君を鍛えています。


 チャップマン爺始め、アルフロート家の方々の生温かい眼に見守られつつ、彼を細マッチョに仕立てる為に。でも、これも全~部、彼の為だよ? だって……




 (……世界制覇するんだから、旦那がガリガリじゃあ、割りに合わないでしょ?)


 そう思いながら、ヤレンナー君のお腹に丸めた皮の塊を投げ付けます!


 「あおっ!? そ、そんなん……死んじゃうぅ……」


 「へーきへーき! 私も手加減してるから大丈夫だよ?」


 ぼすっ! と勢い良く投げ付ける玉が、ヤレンナー君のお腹にジャストヒット!! そろそろ限界かな? と思ったら、白眼を剥いて倒れちゃいました♪


 「もー、だらしないぞ!! ヤンデルナちゃん! 回復したげて!」


 「ヒトをアゴで使わないでよっ!!」


 何時もの調子で言いながら、でも素直に回復の呪式を始めるヤンデルナちゃんは、今じゃすっかり仲良しになってます。でも、絶対にハイって言わないんだよね~。全くもう……恥ずかしがり屋さんなんだから!


 そんな感じで、私は筋トレに励んでます。そのうち、しゃくれ丸に合う武器とか欲しいなぁ。やっぱり、釘バットかな?


 「さ、復活したから始めからやり直しだね! いくよ、ヤレンナー君!」


 「アーーーーーーーッ!?」






 ひとまず、おしまい。





と、そんな感じで締めます。ほんの少しの間だけ、この小説に付き合って下さった読者の皆様、そして稲村某に付き合ってくださっている皆様、ありがとうございました。


このお話の続きをいつ書くかは判りません。しかし、いつかまた書き始めた時は、またお付き合いくださいませ。


それではまた、いつか。



ご精読ありがとうございました!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンションが高く、娯楽作として徹している! [気になる点] ロボットの描写が弱いかな? ロボットを出したのだから、そこをもっと生かせてほしかった。 [一言] 毎日これを書いたのかっ⁉ それ…
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