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16ラウンド目・どっちが……動かすのが上手か勝負しよっ!!



 平穏な筋トレの日々|(?)を過ごしていたミライクこと郁美でしたが、そんな日常は長く続きませんでした。


 ヤレンナーとの婚礼を二ヶ月後に控え、郁美はとりあえず父親(細マッチョ)と祖父(シルバーマッチョ)の血筋がきっと凪がれているだろうと自分に言い聞かせ、彼との婚礼に踏み切る決意をしました。まあ、その方が楽に暮らせそうな気がしたのですが。


 さて、そんなある日。ミライクはジレッテーナとヤンデルナの家に招かれました。ヤンデルナはともかく、ジレッテーナとは筋友|(??)ですので、特に断る理由も有りません。


 迎えに来た馬車を断り、軽いジョギング気分で一時間程走った先に目指すハラグローリィ家のお屋敷が見えてきました。


 (……当家の場所? 近くまで来れば判るだろうね。君のお屋敷と同じようなのが庭に有るから)


 そうジレッテーナに言われた時は、何を言ってんの? と思いましたが、段々と近付くにつれてハッキリと判ったのです。


 「おおっ!? 真っ赤な【しゃくれ丸】!!」


 そう、名前はともかく、ミライクのお屋敷に有る【機甲猟兵】が、庭の片隅に置かれていたのです。あと、しゃくれ丸は無いでしょうに……。


 色違いの機体を眺めながら、ミライクはハラグローリィ家の門をくぐりました。





 「ようこそ、ミライクさん。妹達が世話になっているらしいね。姉として礼を言わせて貰うよ」


 ミライクを出迎えたのは、ジレッテーナとヤンデルナの姉、カテーナでした。


 「今日は、来るべき日に備えて、お互いの事を良く知っておくべきじゃないかと考えてね。お招きした訳ですのよ」


 紫色の髪を緩やかに舞わせながら、静かに語るカテーナはミライクに座るよう促しながら、侍女に茶器を並べるように指示をしつつ、自らもソファーに腰を降ろしました。


 「ふ~ん、そうなんだ。で、表に置いてあった……えーっと、何だっけ? あ、パンツァー何とかは此処のなの?」


 ミライクの質問に小さく頷いてから、カテーナは答えます。


 「勿論、当家の機甲猟兵です。有事の際には私が騎乗し、前線に赴く為の物です」


 「おーっ! そうだったの!! じゃあ、乗る為に沢山筋トレしたの!?」


 興奮気味に訊ねるミライクでしたが、皮肉っぽい微笑みを浮かべながら、カテーナが再び答えました。


 「成る程……噂通りね。あれに乗る為に筋力は必要ないわ。ただ、魔力に乏しい者や男性は……筋力で無理矢理に動かしてしまうけれど」


 そう言いながら、カテーナは生徒に教えるように説明し始めました。



 ①機甲猟兵は蓄えた魔力で動く。


 ②魔力の無い者が動かす為には筋力で動かす【変換機構】を介する方法のみ。


 ③魔力に優れた者は【変換機構】を省略し各部の動作機関を直接動かせる。



 「……つまり、私のように生まれ持った才能の有る者が操作するのが、一番効率的に運用出来る、という訳ですわ」


 そう締め括ったカテーナは、ミライクに向かって口元を隠しながら、


 「まあ、筋力だけで動かすのも不可能では無いですが……非効率的ですし、何よりも、野蛮……の一言に尽きますわね」


 蔑むように言い放ちました。流石に妹達のジレッテーナとヤンデルナも(言い過ぎじゃない?) と危ぶみましたが……


 「ふ~ん、そうなんだ。成る程ねぇ……」


 意外にもあっさり納得するミライクの言葉に、安堵し「じゃあ、一回試してみる? 野蛮ってモンをさ!!」た瞬間、威勢良く立ち上がりながらビシッとカテーナに向かって指差し、


 「私とあなた、どっちが……パンツァー何とかを動かすのが上手か勝負しよっ!!」


 ……と、高らかに宣戦布告しました!!


 


 

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