58.オネエはタマタマが好きなようです
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はあぁ。
思わず溜息が出てしまった。着替えを済ませて、皆のところへ行く。
ウエイターの格好の女子たちと並ぶと自分の貧相な身体がよりハッキリと解る。インナーマッスルといえば聞こえがいいが外見には一切出ない筋肉しかない。
「どうしたの? 溜息なんか吐いて。」
プールの後、仲良くなった娘が俺の溜息を聞きつけて来た。
「アタシって、どっち付かずよね。お尻パッドを持って来るべきだったかしら。」
着替えの際に他の男子にジロジロ見られるのが嫌で体形を補正するものは何も持ってきていないのだ。
順子さんに買って貰ったシリコンと水着を付ければ、それなりにサマになっただろうか。それに女装用パンツに付ける尻パッドがあれば女性らしいお尻になっただろうか。
「何言ってるのよ。この可愛い顔だけでも羨ましいのに細い首に華奢な肩。折れそうなくらい細い二の腕。なんと言っても、この小さなお尻に細い太腿なんて羨ましすぎる。」
今は近くに順子さんが居ないせいか、いちいち俺の部位の触って確かめてくる。まさか女子にお尻を触られるとは思わなくて、声をあげそうになったくらいだ。
「だってっ。」
「ほらタツヤくんを見てみなさいよ。プ。いくら筋肉があるからって。プ。いや筋肉質だから・・・笑いが取れるのか。プっプププ。」
何処で特注してきたのかミニスカにヘソ出しルックのウエイトレス姿に皆笑いを堪えるのに必死だ。筋肉隆々の胸は1メートルを越えるトップバストに、これも1メートル近い肋骨がヘソの上に露出しており、ミニスカートからニョッキリ出ている太腿はまるでダチョウを思わせる太さだ。
しかも優子さんにお願いして剃ってもらったらしく全身に毛が無くツルンとしているのだ。地黒の肌とあいまってボディービルダーが女装しているみたいである。
☆
「しっかし、売れたなあ。このタピオカドリンク。」
「うん。アタシも、ここまで売れるとは思わなかったわ。」
実は銀座にもタピオカドリンクのお店が立ち並んでいる。
一部の行列店は店頭で飲み、分別廃棄してくれるほど行儀が良い客が大半なのだが、その他の店には分別廃棄する場所さえなく、飲み残しのタピオカや氷などのゴミが街中にポイ捨てされて問題化していたのだ。
そこで銀座9丁目を取り纏める陽子さんの指導でゴミ問題を啓発するキャンペーン『タピオカパラダイス』イベントを開催することになったのだ。
しかしイベントに参加したいタピオカドリンク店は多かったのだが、他店のゴミを受け入れてくれる店は皆無でゴミ処理の根本解決策を見出せず頓挫しそうになっていたのだ。
街中にゴミを捨てられる場所が無いのである。昔は銀座の商店街としてゴミ箱を設置したこともあったのだが近隣住民が夜中に家庭ゴミ持ち込むことが多く閉鎖してしまっている。
一時的にイベント会場にゴミ捨て場を作ろうとか清掃部隊が活動しようという案は出たのだがイベントが終れば元の木阿弥になるのは目に見えている。
イベント企画段階の関係者に聞いたところ、このごろのイベントはイベント自体を企画運営することを楽しみ、参加することを楽しみ、終ってしまうのが普通なのだそうだ。決して目的を達成することは必要ないらしい。マスコミを惹きつける題目としてだけあればいいと言われてしまった。
実際に賛同してくださる地元出身のアイドルが盛り上げてくれるために来る予定だったり、イベント初日に新聞社が取材に来る予定が入っていたりしていた。それだけでも楽しいに違いない。だがそれだけでは嫌なのだ。
そこで考え出したのが空き店舗を活用し、他店のゴミを受け入れるタピオカドリンク店を作ってしまおうということだった。資金は俺と陽子さんが折半し、陽子さんが店舗と人員、俺がタピオカドリンクのアイデアを用意することで、頓挫しそうだったイベントがなんとか形になった。
試作段階では銀座ということでお酒を入れたタピオカテキーラなるドリンクも開発され仲間内では好評を得たのだが酒類の販売は警察の許可が要るとかで無理なんだそうだ。マボロシとなったタピオカテキーラは銀座9丁目のバーで販売されるらしい。
そういった試作段階のタピオカドリンクをウチのクラスの倒錯喫茶で出してみたのだが飛ぶように売れ、昼過ぎには予定数を完売してしまったのだ。
「マンゴープリンタピオカは特に人気だったな。」
流行物は得意なヒデタカも初見のアイデアだったらしい。
マンゴープリンタピオカは生タピオカに柔らかいマンゴープリンを入れ、さらにマンゴーラッシーを入れたドリンクで500円という人気店並の価格を付けたにも関わらず1番に完売してしまったのだ。
「そうよね。意外と売れたのがスポーツドリンクタピオカかな。」
スポーツドリンクタピオカは生タピオカにアミノ系のゼリー飲料を入れ、さらにスポーツドリンクを入れたドリンクで300円と少しリーズナブルで喉の渇きを癒したい男の子に売れていった。
この他にも、コーヒーゼリータピオカや葡萄ゼリータピオカ、そして定番のミルクティータピオカも生タピオカにミルクプリンを入れて、その上に濃い目のダージリンティーを注ぐという3種類の食感を楽しむというコンセプトドリンクに仕上げたのだ。
「これなら人気店に近い実店舗でも売れるかもしれないわね。」
1店舗でも他店ゴミを受け入れる店が出ると不思議なものでイベント会場に近い超有名店が2店舗、他店のゴミ受け入れに協力してくれることになったのだ。
まあウチの店はズルをしてイベント会場予定地の目と鼻の先に開くのだけどね。売れ行きが悪くても1年は継続する予定で他店のゴミ受け入れに協力してくれる店が増えれば、商店街からの援助額が増えるので3年くらいは持つかもしれない。
タマタマ(タピオカ)ドリンクの試食は大変そう。
絶対デブりそうですね。




