表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/80

46.オネエは恥ずかしい格好が好きなようです

「順子先生。何やってんの?」


 試合を終え戻ってくると、デジタルカメラを構えた順子さんが地べたスレスレで寝こけていた。


 どう考えても悪い予感しかしない。ナニを撮ろうとしているんだ。


 どっかのカメラ小僧かよ。オッサンもカメラ小僧なんだから女性もカメラ小僧なのだろう。


「武道大会のクラスの生徒の勇姿を撮ろうと思って。」


 事前に考えてあったのだろう。順子さんはいけしゃあしゃあと御託を並べてみせる。


「それにしてはアタシたちのチームの試合のときしか居なかったけど。」


 クラスから柔道競技にでたチームは2チームだったはずだ。他にも剣道1チーム、空手1チーム、相撲1チームが出ているはずだ。でも順子さんは俺たちに張り付いて離れていない。


「他のチームは副担任が撮ってくれているわよ。きっと。」


 きっとかよ。事前に打ち合わせもしていないらしい。


「本気で通報されるわよ。というわけで、これは没収します。拙いものが映っていれば削除してから返すね。」


「あう。でもあっちはどうするのよ。」


 俺がデジタルカメラを取り上げると情けない顔の直後睨んでくる。怖く無い。怖く無いったら無い。


 順子さんが指さす3階席にはスマートフォンを構えた女子生徒や保護者の姿が見えた。まああそこからならお尻が映っていても詳細には見えないと思いたい。望遠レンズはついてないよな。


「順子先生が責任を持って没収してきて。」


「なんで私が?」


 どう考えても順子さんが悪い。こんな間近で撮って良ければ皆、撮っても良いと思うだろ。


「アラ。アタシのお尻が多くの人に見られてもいいのね。アタシのお尻を見る権利は順子先生にあると思ったのだけど。」


 俺が順子さんの耳元で囁くと顔が崩れていった。だらしないよ。


「何も言わなくても大丈夫よ。オネエというだけでも十分に格好悪いんだから、お尻を見られたからと言ってどうってことないわ。」


 タツヤが何かを言おうとしているところを止める。何か言われたら余計に恥ずかしいだろ。ソッとしておけよソッと。


「すまない。あんなことをするつもりは無かったんだ。」


 後ろから声が掛かる。


「それでどうだった。見た感想は?」


 振り向くとやはり対戦相手だった。ソッとしておいて欲しいのに声を掛けるなんて。少し意地悪な質問をしてみる。


「き、綺麗だったよ。・・・・・・いや・・・あの・・・。」


 うんうん。頑張って処理しているからな。男の娘でハミ毛なんてゾッとする。


「言わなくても解るわよ。ゲイじゃ無いって言い「・・・・・してくれ!」・・・たいんでしょ。ごめんなさい。聞こえ無かったわ。」


 なんか変な言葉が聞こえた気がするが聞かなかったことにする。順子さんが睨んでいるが気にすまい。


 対戦相手は顔を真っ赤にして走り出して行った。青春だな。あー楽し。あれだけ恥ずかしい思いをしたんだ。これぐらいの報復は許されるだろう。














 武道大会が終われば文化祭だ。中等部ではモデル出演があるし、翌日の高等部ではクラスの催し物に参加する。


「なんでアタシだけ黒服なのよ。」


 クラスの催し物は順子先生が主導権を握り、女子生徒に根回しして強行採決した倒錯喫茶だ。


 楽できると思ったのに渡された衣装は男装用の黒服だった。フリフリのウエイトレスさんやメイドスタイルが・・・決して良かったとは言わないが、あまりにも似合わなさすぎるのだ。


 他の女子生徒が着てみると黒いワイシャツから胸、黒いパンツからお尻が主張しており、格好良いのだが俺の場合、子供が大人の格好をしているみたいなのだ。


「いいじゃないか。オレたちの姿を見てみろよ。」


「ぷっ・・・・。除毛クリームぐらい買ってくれば?」


 ヒデタカが情けない顔でウエイトレスのミニスカートをめくってみせる。ちょろっと生えているスネ毛が笑える。


「笑いやがったな。この化粧を見てくれ。もうちょっとなんとかしてくれよチヒロ。」


 確かに昔のヤンキー姉ちゃんのような化粧を施されている。ヒデタカの肌は綺麗だから、俺が直せば女性に見えるところまではいきそうだ。だがそれでは隣の笑いを取るために頬に渦巻きが書かれているタツヤが可哀想すぎる。メイク担当の女子生徒が断念したらしい。


「ダメよ。身体で笑いをとってこそコメディアンでしょ。」


 順子さんが待ったを掛ける。ヒデタカなんかまだマシなほうなのだ。クラスの男子生徒の中には、そのまま自殺してしまいそうなくらい青黒い顔をしている人もいるのだ。アイツ絶対当日休むだろうな。


「ユウタは何故、黒服なんだ?」


 ユウタはこれ以上無いというくらい似合っていた。街中を歩いていればスカウトされそうだ。


「それは客引きの為の衣装よ。もちろんチーちゃんの分もあるわよ。」


 順子さんに衣装を手渡される。ウエイトレスの衣装だ。


「なにこの衣装・・・スカートの丈が短すぎるわよ。」


 スカートを押さえ込まないとパンツが丸見えなのだ。


「ユウタにはチーちゃんを抱きかかえて練り歩いてもらうからこれでいいのよ。」


 俺のパンツは客引きの道具らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ