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33.サプライズゲストを依頼されました

「ねねね。ちゃんとパンツ穿くから、腰マッサージもお願いします。」


「本当にするんですか?」


 ちょっと間違えばエッチする体勢だ。普通の女の人ならパンツを穿いていても嫌なんじゃないのか。


 今までの行為が思い出される。そういうことなら嫌だと言って欲しかった。


「あっ。赤くなってる。さては大人の階段を登ったな!」


「そんなことも解・・・っ・・・からかいましたわね。」


「随分、早かったのね。えー、私が手ほどきしてあげようと思っていたのに。早すぎるよ。」


「そういう口説き文句はアタシ要らないわよ。」


 その手の口説き文句は始終言われるのだ。本気にしたのは始めの1回くらい。大抵は挨拶代わりに言ってくるのだ。イチイチ付き合ってられるわけがない。


「えー本気だったのに。」


「本気でも絶対に要らないわ。一生ネタにして、絶対にからかうに違いないんですから、絶対に嫌よ。」


「絶対って3回も言った。和重。嫌われている? 私はトモくんが大好きなのに。」


 この人の好きって犬猫が好きと大差ないからなあ。良く和重さんは婚約者なんかやってるよ。


「お前のことを嫌いなヤツがマッサージなんてしてくれるかよ。」


「アタシのオネエキャラは女優モードの志保さんがベースですので、どうやっても勝てないので嫌いです。」


「じゃあトモくんの中の男はどうなの。好き? 嫌い?」


「解っていて聞いてるでしょ。だから、アタシそういうところが嫌いなんです。何、パンツ穿いているんですか。シャワー浴びにいくんでしょ。まさか和重さんの前で腰マッサージをするんですか?」


「俺、退散するよ。明日の記者会見で志保のモンローウォークが見れないのは勘弁してほしいからな。」


 結局、腰マッサージまでやらされた。それは構わないんだがやってる最中にニヤニヤ笑うのは勘弁して欲しい。その後、フェイスマッサージや頭皮マッサージまで行い、髪の毛を漉けば終わりだ。


「ねえ。シャワールームで髪の毛も洗ってよ。私、トモくんに髪の毛イジられるの好き。」


 疲労状態からマッサージを受けたのだ。動けなくなるのは解る。解るがそうなることが解っていてギリギリまで勉強していたんだから自業自得でしかない。


「アタシをイジりたいだけでしょ。はいはい。タオルドライにドライヤー。それから後でオマケの三つ編みまでやってあげるから、今日はゆっくり寝てくださいね。」


 まあ今くらいは優しくしてあげるか。そのうち復活するだろ。


「トモくん大好き!」


 抱きつかれてキスまで奪われた。こんなの大型犬に顔を舐められたみたいなもんだ。


     ☆


「ヒデタカ君から聞いたが『黒川瑞枝』のことを知りたいんだって。」


 和重さんが出て行ってから1時間が経っていたからか。ヒデタカから情報を引き出していたようだ。ビール片手に作り置き惣菜を食べていたが。


「女優としてのキャラクターと本人の性格が同じとは限らないでしょ。志保さんは同化しつつあるけど。」


「志保はあの性格が隠れていたんだと思うぞ。」


「また2人して酷いこと言って・・・ああっ。和重! 私の今週のご飯。もうこんなに食べて。」


 俺よりも少し遅れて志保さんが顔を見せる。少しだけ美貌が戻ってきている。流石に目の下の隈は残っている。こればかりは十分に寝て貰うしかない。


「『西九条れいな』・・・さん?」


 ヒデタカが驚いた顔をする。


「本当に『西九条』さんだと気付いてなかったんだヒデタカ。どう100年の恋も覚めた? 好きなタイプだったんでしょ。」


 しかし母親が共演している女優で医大生といえば志保さんしかいないはずなんだが、母親に興味が無いのか。それとも志保さんが医大生というのが浸透していないのか。多分、後者だろうな。


「仕方がねえよな。あんな女が女優やってるなんて疑うだろ普通。俺も良く婚約者やってると思うもん。」


 うんうん。俺もそう思うよ和重さん。


「また2人して酷いことを言って。」


「それよりも『黒川瑞枝』を良く知りたいのなら。2人共、明日の記者会見に来ないか? 花束贈呈役をやって貰いたいんだ。」


 和重さんになかなか面白い提案をされた。女装して派手派手に着飾った俺がヒデタカと腕を組んで登場すれば、第1印象は最悪だ。第1印象が底辺にあればあるほどちょっとしたことでも印象が良くなるのだ。逆に第1印象が良すぎるとそこから上げるのは至難の技なのだ。


「アタシ行きたいヒデタカ!」


「あの人の仕事姿は1度見てみたかったんです。」


 あの人(・・・)


 なんかいろいろと根深い問題がありそうだな。でも友達ならとことんまで付き合ってやるか。


「明日はクランクアップの記者会見でしたわよね。」


 確か明日の夜6時からの予定だ。それまでに志保さんは睡眠優先で時間があればエステで仕上げ、メイクは専門家任せだ。俺もその時間なら十分間に合いそうだ。


「志保の映画に関して言えばそうだな。あの監督は次回作の宣伝も同時にやる場合があるからな。志保、何か聞いてるか?」


「ヒロイン役を請われたけど断ったわよ。近々クランクインするようなことを言っていたわね。」


「また勝手に断ったのか。事務所の社長に怒られるぞ。そうそうフォローばっかりしてやれないからな。」


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