第62話 奴隷解放9
今回は戦闘回です。
虫人達による大規模な攻撃が行われてから数日後だった。
デングンド都国臨時駐屯地司令部
三つの連隊と航空団の各隊長と特殊作戦群第1分隊の隊長吉川二等陸曹、他数人の士官がいた。
今回、集まったのはベスビアオルート超大規模初代奴隷収容所を一体どうやって攻略するかが問題だった。
立木一等陸佐「状況を説明してくれ」
士官1「はい、現在虫人達との戦闘で地面下の広範囲が空洞になっており車両等重量のある物が上に乗ると崩落する恐れがあります、かといって遠回りすると何ヶ月もかかってしまいます、それとレジスタンスからベスビアオルート超大規模初代奴隷収容所の攻略依頼の件ですが、レジスタンスから情報が入りました、収容所にいる所員は1万6000人ほどで、収容所は周りを薄い壁に囲まれているとのことです」
士官が、手元の資料を見ながら現在の状況を説明した。
立木一等陸佐「なるほど」
斉藤空将補「陸上戦力での、行軍が無理ならば航空戦力で収容所を攻撃すればいいだろう」
必然的に航空戦力に決着が着くのは、解りきっていた。確かに戦車や装甲車が行けないのであれば航空戦力での攻撃が妥当だろうが、今回はまたひと味違うのだ。
鈴木一等陸佐「収容所には人が沢山居る、万が一のことを考えて輸送ヘリを使って歩兵を輸送しよう、建物での戦闘も訓練されているから隊員達も存分に戦えるはずだ、輸送ヘリは主にCH-47チヌークを使って輸送する、歩兵部隊による収容所の占拠はどうだろうか?」
畠岡一等陸佐「うむ、確かにそれなら現実的でいいな、しかし、歩兵部隊といっても火力が高いと逆に収容所にいる民間人を殺害してしまう」
斉藤空将補「しかし、敵の収容所はかなりの所員がいるとのことだ、それを相手にするのならば...」
連隊長達は、輸送ヘリで歩兵部隊を運び収容所を占拠する作戦にした。一番迅速で現実的だから各連隊長はこの作戦に賛成した。
しかし、課題として本当に占拠できるかという疑問が残っていた。1万6000人という所員の数だ、いくら近世のマスケット時代の装備と言っても生半可な部隊の規模では全滅してしまうことが明らかだった。
畠岡一等陸佐「それならば我々第2連隊が収容所は制圧できると思います」
鈴木一等陸佐「それと第3連隊も作戦に参加したいです」
立木一等陸佐「よし、それでは畠岡一等陸佐率いる第2連隊と鈴木一等陸佐率いる第3連隊の2個連隊が、収容所を攻撃するでいいな、それでは早速、作戦の内容だが...」
会議の、大体の内容が決まったのでこの後は細かい所を決めて行くのだ。
5日後
兵舎代わりのテントにて、第2連隊と第3連隊の中隊長が集められて、明後日行われる作戦内容について話された。
主に説明するのは第2中隊の第1普通科中隊の中隊長である青山健一三等陸佐だが、隣には第2連隊長の畠岡一等陸佐と第3連隊の鈴木一等陸佐がいた。上層部が作り上げた作戦内容を青山三等陸佐が読み上げていく、その隣で畠岡一等陸佐と鈴木一等陸佐が静かに聞いていた。
青山三等陸佐「明後日行われる作戦について話をする、まず作戦名だが、ベスビアオルート作戦だ、作戦の内容だが輸送ヘリで現地まで移動する、潜入部隊である第2連隊の第2、3中隊と第3連隊の第1、2中隊が配置に着いた所で第2連隊の第1中隊がロケットランチャーで門を破壊と同時に、潜入部隊が破城槌で壁に穴を開けてそこから侵入する、おとり役の第2連隊の連隊本部と第1中隊と第3連隊の連隊本部と第3、4中隊は所員達を引きつけるために収容所正面を攻撃するから所員達が沢山出て来るだろう、連隊長は後方で各隊に指示を送る、それを私が各隊に伝える、その内に潜入部隊は収容所の管制塔を速やかに占拠する、管制塔を制圧した後は奴隷となっている者達と協力して残党を排除する、奴隷となっている者達を解放及び保護して、レジスタンス達に解放された奴隷達を預けて帰還する、これが今回の作戦の流れだ、質問はあるか?」
青山三等陸佐は、説明の終わりに質問を求めると第3連隊の第3中隊の中隊長が手を上げた。
青山三等陸佐「どうぞ」
中隊長1「はい、収容所にいる看守は一体何人くらいいますか?」
青山は、なるほどと言いながら手元にある資料をパラパラと数枚めくって質問に答えた。
青山三等陸佐「1万6000だ」
中隊長「ありがとうございます、それと、敵の装備はどういうものでしょうか?」
青山三等陸佐「敵の装備はマスケットが主力だ」
中隊長は、あまりも多い人数に驚きながらもなるほどと頷きながら再度「ありがとうございます」と言った。
青山三等陸佐「他に質問はあるか?」
誰も反応がなかった。これまで静かに静観していた畠岡一等陸佐が口を開いた。
畠岡一等陸佐「今回は、敵の数が遥かに多いが、ここを乗り越えれば敵の首都に攻撃を仕掛けられる、敵の首都さえ落とせば我々は平穏の世界に帰れる、各位の奮闘を期待する」
隊員達「はい!!!!!」
青山三等陸佐「よし、解散!」
畠岡一等陸佐の演説で、テント内は熱気に包まれて青山の掛け声で、テントにいた中隊長と小隊長はそれぞれのテントに戻って行き、今日、話した内容を隊員達に話して情報を共有していった。
ベスビアオルート作戦当日
臨時駐屯地は、朝から大忙しだった。
12機のチヌークがプロペラを回し始めて、チヌークに隊員達が搭乗していった。
チヌークは、大空へと飛び上がり編隊を組んで目的地へと向かった。
バタッバタッバタッ
空気を叩きつける音が、周囲に響き渡りそれを聞いた村人や都市からの避難民は空を見上げた。そこには無機質で茶色と緑の色の斑模様に覆われた何が、数十機が一定間隔で飛んでいた。
チヌークの編隊は、予定通りに目的地に着き、隊員達を降ろした。
小隊長1「よし、行け行け!これは訓練じゃないぞ、実戦だ!いつも通り深呼吸していくぞ!」
各中隊が自分達の定位置に着き始めた、第2連隊の第1中隊もロケットランチャーであるパンツァーファスト3を門に構えていた。
ベスビアオルート超大規模初代奴隷収容所はレンガ作りになっており門は鉄で出来ており、建物はどこか古めかしさを感じとれるようだった。建物の中央には管制塔というレンガ作りの古そうな塔があるが、その周りをグルッと比較的新しいレンガ作りの建物が囲んでいた。
各中隊は無線で今の状況を伝え合っており、いよいよ作戦の本格始動とも言える攻撃が始まりそうだった。
無線「こちら、第2中隊、各隊配置に着きました」
無線「こちら、第3中隊、各隊配置に着きました、いつでも行けます」
潜入部隊である、各中隊の無線報告を聞いた第1中隊はパンツァーファスト3を数名の隊員に持たせた。後はこの作戦の現場責任者でもあり現場指揮官でもある青山三等陸佐が合図を出すだけである。
青山三等陸佐「よし、射撃開始まで3...2...1...撃てええ!」
ビシュュュュュンドカーンドカーンドカーン
パンツァーファスト3の弾道は、真っ直ぐ飛んで鉄の門を木っ端みじんに破壊した。
この爆発音は収容所に響いていた、建物内だけではなく地下の収容所エリアにも爆発の振動が伝わっていたのだ。
兵士達「うおおおおお!」
この異常事態に所員達はマスケットを携えて、収容所の中からワラワラと出て来た。
すると、兵士の1人が兵士達に向けて命令を出し始めた、どうやら、彼がこの収容所を守る警備の隊長のようだ。
隊長「敵が来たぞ、広場で戦列を組め!建物内にいる者は建物から敵を射撃しろ」
隊長の命令によって、所員達はマスケットを手に持って戦列を組み始めた。
隊長「全体構えろ」
カチャカチャ
隊長「狙え!」
青山三等陸佐「撃てええ!」
ババババババン
ババババババン
ババババババン
所員達による一斉射撃が、始まる前にM249と62式7.62㎜機関銃、M240のよる一斉射撃が始まった。
この一斉射撃により所員は5.56㎜弾と7.62㎜弾の、苛烈な射撃によって所員の体は風穴だらけになっていた、かくして戦列を崩すことに成功した。
隊長「な、何なんだ、この攻撃はリロードなしでここまで撃てるとは、おのれ、このままだとここを突破されるぞ、各人射撃せよ、それと追加で建物から撃つ兵士もこっちに来てくれ!」
所員達は統率もなく各人で射撃していった、収容所からも所員達が止めどなくどんどんやってきた。
バンッバンッバンッ
青山三等陸佐「よし、単発射撃で確実に敵兵士を仕留めるんだ」
バンッバンッバンッ
隊員達の持っている89式小銃は、確実に敵兵士を仕留めていった。
一方、収容所に潜入している潜入部隊は、道中は敵と出くわすこともなく収容所の管制塔付近まで行くことに成功した、これは正面のおとり役が頑張っている証拠であった、そして、潜入部隊は所員達から銃撃を受けていた。
管制塔の周りは、広間になっていて収容所の建物がぐるっと360度囲んでいた、自衛隊員は建物から射撃するために陣取っていた、所員達は管制塔の周りに木の板を立てただけのバリケードを作ってそこから射撃していた。板は何枚も重なっておりマスケットの銃弾くらいは防げる代物だった、そのため、所員達は安心して木の板を信頼していた、マスケットの銃弾くらいは防げるのだから...
ダダダダダダダッ
ダダダダダダダッ
ダダダダダダダッ
正面での、機関銃による射撃と同じように管制塔の周りの木の板のバリケードの後ろに所員達を撃ち殺していった、所員達は、一体何が起こった分からずに機関銃の銃弾で命を落としていった。
中隊2「よし、管制塔に入るぞ」
一斉掃射から、数分間全く所員からのマスケットの射撃が無かったので中隊長は管制塔に入る、命令を下した。
管制塔への道はらせん階段になっており、慎重に階段を登っていった。そして、管制室のドアの前まで辿り着いた。
中隊長2「よし、ブリーチングチャージを設置しろ、いいか、レジスタンスからの話によれば武器を持っていない所員がここの所長だ、武器を持ってない奴以外は殺せ!」
中隊長は、今から突撃する隊員達に言ってブリーチングチャージを設置した。
ドカーン!
ブリーチングチャージが、炸裂して管制室のドアが粉々に吹き飛んだ。その爆発にビックリしてマスケットを撃ってしまう所員とドアの方向にマスケットを向ける所員がいた。
所員1「なんだ!?」
所員2「て、敵だ!」
ババババババン
ババババババン
ババババババン
自衛隊員の89式小銃によって、所員達は次々と殺されていった。
ものの数十秒で、管制室にいた所員達は1人を除いて全滅した。
隊員1「中隊長、こいつが所員と思われます」
隊員2「中隊長が言ったとおり、こいつは丸腰でした」
中隊長2「ご苦労だった諸君」
中隊長は、命がけで頑張った隊員達をねぎらいつつ所長らしい人物に詰め寄った。
中隊長2「あんたが、ここの所長だろ?」
所長は、所員よりも豪華な服を着ていた、所長はガタガタと震えており小心者だとすぐに分かった。
所長「あ、ああ、そうだよ、俺がここの収容所の所長だ、それよりもあんたら誰だ!そんな汚い格好でよくッ....」
所長は、中隊長に胸ぐらを掴まれて足が着かなくなっていた。
中隊長2「おい、このデブ野郎、俺が言ったことをすぐに実行しろ、そう出ないお前は数秒でそこに転がってる死体と同じになるぞ」
所長は、中隊長に言われたことを急いで実行した、中隊長の怖い顔と声に本気と伝わったのだろう。
こうして、奴隷達は解放されて収容所中は歓喜の声に包まれていた。所員達は奴隷達に奇襲される形で襲われて武器を奪われていった
所員達は、強烈な攻撃を繰り出す謎の集団と解放された奴隷達によって全滅した。
潜入部隊とおとり役は、奴隷達に帝国軍の一味かと危うく攻撃されかけたが、そんな汚い格好をする人達は帝国軍ではないと判断して私達を助けてくれた救世主として、お礼を言われていた。
奴隷になっていた人達には、人はもちろん獣人やエルフ、ドワーフ、虫人、爬虫類人等がいた。
獣人「ありがとう!私達を助けてくれて」
青山三等陸佐「いいえ、我々は任務果たしただけです」
特に奴隷達は、青山三等陸佐の周りに集まっていた。指揮官であったために彼が他の隊員の作業邪魔にならないように集めたのだ。
すると、獣人の女性が、青山三等陸佐にお礼を言うと謙遜していた。
エルフ「あなた方は命の恩人よ」
青山三等陸佐「我々は任務を果たしただけです」
綺麗なエルフの女性からも、お礼を言われて少し恥ずかしくなっていたが、いつも通り謙遜した。
ドワーフ「君達の武器見せてくれ!」
青山三等陸佐「これは見せられません、機密に関わることなので」
ドワーフ達の職人魂が、疼いたのか青山三等陸佐が持っている89式小銃をやたらと見たがった、それを全て退かせた。
虫人「我々を助けてくれてありがとう、君達は我々が恐くないの?」
青山三等陸佐「?怖くはありませよ」
青山三等陸佐は、虫人達に対して屈託のない笑顔を見せた。
解放された者達の反応はそれぞれだったが、ほとんどが感謝の言葉だった。それを全て丁寧を青山三等陸佐が受け答えている時にレジスタンスがやって来た。
青山三等陸佐は、解放された者達をレジスタンスに任せて輸送ヘリに搭乗して臨時駐屯地に帰還した。帰還するときに解放された者達が、手を振っていたのを隊員達も笑顔で手を振り替えした。
これで奴隷解放は終わりました。




