第11話 勇者一行が魔王城へ侵入してきたので、清掃の邪魔になりました
ついに勇者一行が魔王城へ。
そして最初に出会ったのは――当然、清掃員です。
魔王城。
東門。
その日。
警報が鳴った。
「侵入者だ!」
「人間だ!」
「勇者一行が入ったぞ!」
城内が一気に騒がしくなる。
その頃。
俺は。
廊下を掃除していた。
シュッ。
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《東棟第3廊下を清掃》
MP+9200
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「よし」
綺麗になった。
次。
曲がり角。
そこに。
泥。
かなりひどい。
「誰だよ、こんな汚したの」
足跡。
何人分もある。
しかも。
奥から。
ドン!
ガキン!
大きな音。
「戦ってる?」
嫌な予感。
掃除したばかりなのに。
俺はモップを担いで向かった。
角を曲がる。
そこには。
人間が4人いた。
先頭。
金髪の青年。
剣。
白銀の鎧。
その横。
杖を持った少女。
弓を持つ男。
そして。
神官服の女性。
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《勇者一行》
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「勇者?」
金髪の青年が俺を見る。
「人間?」
「そうですけど」
「なぜ魔王城に?」
「仕事です」
「仕事?」
「清掃員です」
4人とも。
固まった。
「清掃員?」
「はい」
後ろで。
魔王軍兵士たちも固まっている。
そのうち1人が。
俺を見て叫んだ。
「レン様!」
「様はやめてください」
勇者が眉をひそめる。
「レン?」
「はい」
「お前が噂の」
噂?
「魔王城の怪物か」
「誰が怪物ですか」
また変な噂。
勇者が剣を構える。
「悪いが」
「はい?」
「魔王の手先なら、通してもらう」
「いや」
俺は床を見る。
勇者たちの足元。
泥。
血。
砂。
ひどい。
「その前に」
俺はモップを構えた。
勇者たちが身構える。
「来るぞ!」
「魔法準備!」
違う。
「動かないでください」
「何をする気だ!」
「掃除します」
「は?」
シュッ!
光が走る。
「うわっ!?」
勇者たちの足元。
泥。
血。
砂。
全部消えた。
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《勇者一行周辺を清掃》
MP+18400
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ピロリン!
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LV105 → LV107
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「2つ上がった」
「今の魔法は何だ!?」
勇者が叫ぶ。
「清掃です」
「そんな清掃があるか!」
よく言われる。
その時。
杖の少女が。
俺を見る。
目を見開いた。
「待って」
「どうした?」
「この人……」
少女の顔色が変わる。
「魔力が」
「魔力?」
「見えない」
勇者が眉を寄せる。
「どういう意味だ」
「大きすぎるの」
沈黙。
「大きすぎて」
少女の声が震える。
「測れない」
全員。
俺を見る。
「いやいや」
俺は手を振る。
「そんなわけないですよ」
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レン
LV107
総合戦闘力:268000
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いや。
確かに。
ちょっと増えた。
勇者を見る。
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《勇者・レオン》
LV96
総合戦闘力:118000
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「……あ」
俺の方が上だ。
でも。
黙っておこう。
絶対。
「お前」
勇者レオンが剣を下ろさない。
「本当に清掃員なのか?」
「はい」
「ならなぜ」
勇者が俺を見る。
「魔王軍の兵士が、お前を見て震えている」
俺も知りたい。
その時。
後ろから。
魔王軍兵士が叫んだ。
「勇者ども!」
「レン様に近づくな!」
「様やめてって!」
レオンが。
一歩下がる。
「……やはり」
「何がです?」
「魔王軍の幹部以上の存在か」
「違います!」
「ならなぜ兵士が守ろうとしている!」
「知らないですよ!」
話が進まない。
その瞬間。
ドオオオン!
天井が揺れた。
「何だ!?」
別方向。
爆発。
黒煙。
そして。
俺は。
床を見る。
「……最悪だ」
勇者が構える。
「来るのか!?」
「違います」
「何がだ」
「せっかく掃除したのに」
黒い煤が。
廊下に。
降ってくる。
「また汚れた」
俺はモップを握った。
「ちょっと」
「何だ」
「戦うなら」
一拍。
「外でやってもらえません?」
勇者一行。
魔王軍。
全員。
沈黙した。
お読みいただきありがとうございます!
勇者LV96。
レンLV107。
ついに主人公が勇者をレベルで上回りました。
しかも勇者側から見れば、
「魔王軍に恐れられている正体不明の清掃員」
にしか見えません。
次回――
勇者の必殺技で廊下が壊れたので、清掃員がキレました
レン、初めて少し怒ります。




